第四十七話
オレは洗面所で顔を洗っていた。
異世界での生活もずいぶんと慣れてきた。
モンスターを討伐して日銭を稼ぐ、という生活にもずいぶんとなれていた。
異世界にある冒険者ギルドというところは、案外悪くない。
冒険者ランクを上げると、それだけで日銭を稼げるようになるし。
ランクの高いモンスターを討伐すれば、それだけ多くの日銭を手に入れることができるし。
Cランクの冒険者になれて、オレはようやく稼げる冒険者になってきた。
今までなら酒や飯にすべてのお金を費やしてきたが、ようやく少しだけどお金が貯められるようになってきた。
貯めようと思わなくても、たまってくるほどの日銭を稼ぐことができるようになった。
まあせっかく異世界に来たのだから、お金を貯めるだなんてそんなことはせずに、すべて飯と酒にお金を費やしてもいいのだが。
これ以上飯や酒にお金を使う場合は、高級なお酒にでも手を出さないと、このお金は使いきれないだろう。
一日に金貨五枚ほどの日銭を稼げるようになってきたからな。
案外冒険者ランクを上げると、使いきれないほどのお金を手に入れてしまうらしい。
とはいえ、いい武器を買ったり、いい防具を買ったり、いいアイテムを買ったりすれば、たちまち今あるお金など飛んで行ってしまうのだろうけれど。
いやあ、いい武器ってほんと高い。
いい防具ってのはほんと高い。
いい回復回復アイテムってのはほんと高いぜ。
武器のレベルを上げるのも、結構お金がかかるしな。
「おっさん、おはよう」
といって、ユイカが入ってくる。
ユイカは言った。
「おっさんももうCランクの冒険者だね。なんだかおっさんがもう遠い人になったみたい」
というユイカ。
そうだろうか。
オレは別にCランクの冒険者になっても、今までと特に目標は変わっていないのだが。
うまい飯を食い、うまい酒を飲む。
そのためにモンスターを討伐する。
ただそれだけのことしか考えていない。
だがなんだか少し寂しそうな顔をしているユイカだったので、オレは言った。
「別に何も変わってないだろう」
見た目も変わってはいないし。
体つきは多少鍛えたおかげで、頑丈になったような気もするが。
「ううん。おっさんはすっごい強くなったよ。筋肉量もすごい増えたし、なんだかとても強そうになった」
というユイカ。
そうだろうか。
鏡の中のオレを見ても、そこには別にたいしてかわりのない、おっさんの姿がうつっているだけなのだが。
ユイカは気を取り直して、言った。
「あ、おっさん。ごめんね。朝ごはんの準備をするねっ。今日の朝ごはんは、クリームシチューだよ」
といって、ユイカはテーブルの上に朝ごはんを用意する。
「うまそうだな」
オレはテーブルの前の椅子に座ると、そういった。
ユイカが作ってくれたクリームシチューはとてもおいしかった。
さて、ユイカが作ってくれた朝ごはんを食べたことだし、そろそろ冒険者ギルドに行ってこようかな。
と、そんなことを考える。
あ、でもその前に、冒険者ギルドに行く前に、ちょっと寄っていく場所があると、オレはそう思った。
その場所は武器の強化をする場所だった。
つまり鍛冶屋である。
オレはCランクの冒険者になったので、Cランクの冒険者として恥じないように、さらに強い冒険者になろうとそう思ったのだ。
紅蓮の炎のメンバーとして、さらに強い冒険者になろうと、そう思ったのだ。
強い冒険者になるのなら、強い武器が必要だろう。
強い防具が必要だろう。
優れた回復アイテムが必要だろう。
だがさらに強い防具なんて、この村にはそうはないから、今オレが装備している装備が一番この村では優れた防具だから、今装備している防具のプラチナメイルの強化をする、くらいしかやることがなかった。
プラチナメイルのレベルは3。
ドワーフのおっさんのお店にいって、ドワーフのおっさんの鍛冶屋に行って、プラチナメイルの強化をしてもらおう。
「ドレイク、防具の強化を頼む」
「おう」
というドレイク。
「まあね。まあCランクの冒険者っていっても、まだまだ新人だけどね」
「おう」
というドレイク。
「おう」
プラチナメイルを強化する? いいのか?
みたいなドレイク。
「うん。よろしく」
プラチナメイルのLVが3からLV5に上がった。
防御力が6ほど上昇したようだ。
「おう」
ほら、終わったぞ。
みたいなドレイク。
なんというか、オレはドレイクが何を考えているのかわかってきたなと思いながら、
「ありがとう」
と、お礼を言った。




