第四十六話
オレたち紅蓮の炎は酒場で酒を飲んでいた。
酒場で飯を食っていた。
大人数で食う飯はうまい。
大人数で飲む酒はうまい。
まあ一人で食う飯も、一人で飲む酒もじゅうぶんうまいけどな。
「サトウももうD級の冒険者なのね」
と、エルマが言った。
「それにしても、サトウは本当にすごいわね。進化したモンスターを簡単に倒してしまうなんて」
というエルマ。
いや、進化したモンスターを簡単に倒した覚えなんてないんだけど。
かなり苦戦した記憶しかないんだけど。
「まあオレだったら、巨大熊を一人で倒すことは無理だったろうな」
と、エレンは言った。
「ま、さすがはサトウだな。まあでもオレはサトウがすぐにDランクの冒険者になると思っていたぜ」
というのはアレク。
「アレクはあっさりサトウに抜かされそうだけどね」
と言うのはサックだった。
「いや、もう抜かれているだろ」
というのはエレン。
「いや、さすがにまだサトウには負けてないぞ。オレはまだサトウよりは今は実力がある」
と、ちょっとオレに実力が抜けれたんじゃないかと、そんなことを思っているのか、焦っているアレク。
まあアレクはBランクの冒険者としては、そんなに強い冒険者ではないからな。
アレクくらいは簡単に抜けないと、強い冒険者にはなることはできないだろう。
上級の冒険者にはなることはできないだろう。
アレクはなんだか焦った様子でそんなことを言っていたが、ほかの冒険者はエルマとかエレンとかサックとかはしらっとしたような表情をしていた。
いや、もうとっくに抜かされてんじゃねえの。
みたいな顔をしている。
「な……なんだよお前ら……まだぎりぎりのところで、オレのほうが能力が高いぞ。違うのかなあ」
と、ちょっとショックを受けているアレク。
だがアレクは開きなおることにしたらしい。
「ははは。でも、オレのほうがまだランクが高いからな、オレのほうが上級の冒険者ってことだ、すごい冒険者ってことだ。ははは。まあ今はな……」
といって、アレクはオレの肩に腕をぐいと回してきた。
「アレク、もう酔っぱらってるのか?」
というのはオレ。
アレクは言った。
「いいや、酔っぱらってねえよ。そもそもオレはまだ一滴も酒を飲んでねえからな。今日はサトウをちょっとこらしめておかねえとと思っていたから、まだ一滴も酒は飲んでねえよ。まあ酒を飲んじまったら、すぐに記憶がなくなっちまうからな」
というアレク。
そういえばアレクは酒が弱いんだった。
酒も弱いし、Bランクの冒険者にしては、能力が低い。
とオレはそう思っているけれど、サックの話によると、エレンの話によると、エルマの話によると、アレクは別にBランクの冒険者にしては、標準くらいの能力らしい。
だからアレクは別に弱い冒険者ではないし、むしろDランクの冒険者なのに、アレクと互角以上に戦えるオレが、Dランクの冒険者としては規格外の能力だということらしい。
オレは無能な冒険者のはずだったが、どういうことだろうか。
無能でしかも大した能力もないから、異世界召喚されたのに、城から追放されたわけだが……。
そして紅蓮の炎と酒を飲んだ翌日のこと。
冒険者ギルドのいつものようにミリカさんの列に並んだら、ミリカさんにこう言われた。
「サトウ様、こちらがサトウ様の新しい冒険者ギルドカードです」
というミリカさん。
冒険者ギルドのカードは銅色だったのだが、ミリカさんの手にある冒険者ギルドカードは違う色をしていた。
その色は、新しい冒険者ギルドカードの色は、なんと銀色。
銀色の冒険者カードはCランク以上の冒険者が使用する色のカードである。
なんでこんな色の冒険者カードが、今オレの目の前にあるのだろうか。
まさかオレは、Cランクの冒険者にいつの間にかなったということだろうか。
「サトウ様は進化したモンスターを討伐しましたので、ギルドマスターと私の推薦により、Cランクの冒険者になりました」
というミリカさん。
「すごいですね、サトウ様。こんなに早くCランクの冒険者になってしまうだなんて……すごいです。普通はこんなにはやく、Cランクの冒険者になんて……なれないものなんですよ」
というミリカさん。
「巨大熊の討伐なんて、こんなにすぐにはできないものなんですよ。普通は巨大熊の討伐には、一年くらいの日数は必要なんです。それをまさか、たった一か月半で、巨大熊の討伐に成功してしまうだなんて……すごいです」
というミリカさん。
ミリカさんはものすごい可愛い笑顔で、言った。
「おめでとうございます、サトウ様。わたし、サトウ様のことを担当できて、すごく嬉しいです。すっごく嬉しいです」
と、ミリカさんは言った。




