↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/15

二人の言い合い

邂逅します


10話です

 二人は驚いた顔でまじまじと互いを見合わせる。


「……」

「……」


 それは当然だろう。お互い見ず知らずの相手の顔が瓜二つなのだから。


「ちょ……」


 まず愛衣が先に口を開く。


「……どういうことよ晴樹!? 何で私と顔が似ている相手と一緒にいるのよ!?」

「えーっと、それは偶々だよ?」

「偶々で同じ顔になる相手なんてどんな率よ!? 何、SF? クローン技術!?」

「いやいや、偶々だってっ」

「だってそうでないと……。分かった! 整形、整形でしょっ!?」

「だから違うって」

「それは違うわ……」

「じゃあ、一体どうして……」


 トントンと背中を叩かれた。


「お静かにっ」

「はい……」


 という訳で僕達はとりあえず一度図書館の外に出た。


「で、どういうことよ晴樹!?」

「……晴樹君?」


 二人はほぼ同時に言う。


「僕にも分からないよっ!」

「ところで、貴女は誰?」


 愛衣はきっと睨むような目をして麻衣ちゃんの方を見る。


「私は……上島麻衣よ」


 上島と言うのか……。僕は初めて彼女の苗字を知る。


「……貴女のその顔は子供の頃から?」

「えぇ。生まれつきよ」


 ところで……と二人の言葉が被る。


「どうぞ」

「どうぞ……」

「いや、貴女から」

「いや、貴女から……」

「……」

「……」

「と、とりあえず先に愛衣が話したから、麻衣ちゃんから言わないか?」

「……そうね」

「……」

「あの、貴女の名前は?」

「私は日野愛衣よ!」


 そして麻衣ちゃんは日野という苗字を何度も繰り返す。


「貴女の親は……どういう構成になってるの?」

「……父だけね」

「!」

「……」

「わ、私も母だけなの!」

「え!?」


 愛衣は明らかに驚いていた。そうだ、確かに二人ともの親は離婚している。しかし……、


「それじゃあ私達もしかして……」

「いや、そんなはずはないわっ!」


 愛衣が麻衣ちゃんの言葉を遮る。


「……そんなはずはない、そんなはずはないわっ」

「どうして?」

「だってお父さんからは一人っ子って聞いているもの!」

「!?」


 そう、それが僕を他人のそら似と思った原因だ。何回か愛衣のお父さんに会ったことあるが、気さくで優しいおじさんだ。そのおじさんがわざわざそんな嘘をつくのは考えにくい。


「……私は妹がいるって聞いているから」

「じゃあ私達は単に他人のそら似じゃないかしら? 世界にはよく似た顔が3人いるって言うし」

「……」

「……」


 それを聞いて麻衣ちゃんは少ししょぼんとしていた。


「……兎に角、私は晴樹を連れて帰るから! 良いわね?」

「え? いや駄目よっ。何でよ!?」

「え!? ……何でって、そりゃあ貴女みたいな素性の分からない女に晴樹を任せられないからよっ」

「いやいや、貴女こそ勝手にしゃしゃり出てきてどういうつもりよっ」

「何様よ貴女!?」

「そっちこそただの幼馴染みじゃない。晴樹君をどうしようと私の勝手だわっ」

「はあ!? 何ですって!?」

「何よ!?」


 ど、どうしよう。とりあえず止めないとっ。


「まあまあ二人とも落ち着けって……」

「晴樹(君)は黙っててっ!!」

「……はい」

「……兎に角貴女は()()のネット友達なんだから、私達の間には関係ないわ!」

「貴女こそ()()の幼馴染みなんだから、私達の間には入ってこないでっ」

「な、何ですって!?」

「何よ!?」

「……貴女とは話しにならないわ。晴樹行くわよっ」


 彼女はぐいっと僕の腕を引っ張る。


「あ、待って。晴樹君はまだ私といるわよね~っ」

「あ」


 麻衣ちゃんも僕の腕を持つ。


「いてててててっ」

「離しなさいよ。晴樹が嫌がってるじゃない!」

「貴女こそ離しなさいっ」

「私の顔で同じこと言わないでよ、気持ち悪いっ!」

「何よーっ」


 ぐいーっと僕を引っ張る。痛い痛いっ。


「は、離してくれっ!」


 そして二人はぱっと離す。はぁ、はぁ。


「とりあえず愛衣は帰れ。事情は後で話す」

「え? でも……」

「頼む。お前とは帰ってからでも話せるだろ?」

「……」


 愛衣はかなりむくれて、


「嫌よっ! ここで引き下がったら私が負けたみたいじゃない! そんなの嫌っ!」

「こんなのに勝ちも負けもないだろ?」

「ある、ある! あるの!!」


 彼女は一向に引き下がらない。一体どうすれば……。はぁ、とため息を麻衣ちゃんがはく。


「分かったわ。今日はこれでお終いにしましょう」

「え?」

「私も色々整理したいから」

「……」


 僕はまだ麻衣ちゃんといたかったが、彼女がそういうなら仕方がない……。


「帰ろう。愛衣……」

「え? うん……」


 こうして気まずい空気の中、我々は別れた。

 電車にて愛衣が一方的に話をする。


「あんなに似てる他人のそら似ってあるのねーっ」

「……」

「私びっくりしちゃった」

「……」

「もし性格もそっくりだったら、信用出来る相手かもね」

「……」

「名前も似てるし……」

「……」

「同年代っぽいし……」

「……」

「……」


 そして彼女はこれ以上駅に着くまで話さなかった。そして彼女と駅で別れて僕は家に帰る。そして部屋でくつろいでいると、今日の邂逅を思い出す。


「はぁ、今日は大変だったな……」


 二人が鉢合わせるわ、言い合いになるわ、僕は責められるわで散々……、ん?


「そういえばあいつどこから付いてきて……」


 そしたらピンポーンとチャイムが鳴る。

(ん? こんな時間に誰だ?)


「あーい」


 僕が玄関に行ってドアを開けると、愛衣が複雑そうな顔して立っていた。


「どうした?」

「ちょっと泊めてくれない?」


 Pardon?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価頂き励みになります。

感想もありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。