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目覚め

目覚め


見ていた夢は、とても長くてリアルな、そして悲しいものだった気がした。

それまでの人生を早送りにしたような、不思議な感覚だったが、今となっては夢の細かいことまでは思い出すことができない。


ぼんやり意識が覚醒していくなかで感じたことは、仰向けで寝ていたこと、そして硬い場所で寝ていたことだ。

冷たくそしてゴツゴツした硬い感触から、寝ていたのは石のようなものの上であるような気がした。

ゆっくりと目を開けても、暗くて周囲の景色がほとんど見えてこない。

夜なのか?

少なくても、肌で感じる空間が、自分の部屋でないことは間違いなかった。


酔っぱらって道端か公園など、外で寝てしまったのだろうと検討をつけたところで身体を起こすと



「おっ、お、お目覚めだぁぁ!!」


「「「「ぉおおおぉお!!」」」」



などと複数人の喜ぶ声、喜ぶどころか歓喜と表現した方が適しているような大声がした。

外で寝込んだアラサーサラリーマンを通りすがりの通行人が見守ってくれていた、のだろうか?

それで、寝込んでた酔っ払いが無事目を覚まして喜んでいる?

寝ていた石らしきものの上で胡座をかきながらゆっくり周囲を見渡すと、僅かながら灯りがあることが分かった。

明かりではなく灯りというのは、光の源がゆらゆら光を醸し出す蝋燭だったからだ。


──ろ、蝋燭??


見詰める灯りがゆらゆらと揺れている。

まだ意識がぼんやりしていて、上手く頭が働いてくれない。

そもそも、状況がまだ全然分かっていない。

今日って飲み会だったか?

キョロキョロ周囲を見渡してみても蝋燭が「醸し出す」程度の灯りで分かることなんて、自分が寝ていた石が長方形の形をした大きな岩であること、酔っぱらいが目覚めるのを待っていてくれていた優しい通行人の皆さんが大声で喜び合っていることくらいなものだ。

その優しい通行人たちも、数メートル離れていることや暗さのせいで、姿が朧気に見える程度で顔までは見えない。

頭を捻りながら自分の身体をまさぐってみる。


財布や携帯電話は...ない。

ポケットがあるべき場所を触ってみるが、ポケットどころかポケットがあるべきズボンやジャケットも、パンツすら感触がない。


そう、なんと、

自分は今.......全裸だった......!



な、なんで全裸!!

ヤバいヤバい、通報されてしまう!

全裸で捕まるなんて、元某国民的アイドルグループメンバーしか許してくれないのだ世間は!

自分の周りには服はおろか、身体を隠せる布も新聞紙もない。

うわぁ、焦る!焦るけど!

この状況じゃ仕方ない、情けないが、手で股間を隠しながら通行人らに助けを求めることにした。


だがそこで、ハッと思った。

自分がこんな状態なのにも関わらず、通行人たちは今も大喜びして歓声を上げている。全裸の大の大人の目の前で、だ。

そもそも、この人たちは自分が目覚めるまで見守ってくれていたのかもしれないが、見守っていた相手は、全裸の大の大人だ。

全裸の大の大人なんだよ!?

毛布とまで贅沢は言わないが、上着とかかけてくれたって良いんじゃないのだろうか。

どこもかしこも大放出中なんですけど!


何なのコレ.....ドッキリ?

いや、芸能人でもない自分をドッキリさせて誰が喜ぶのか.....いや、日本中探し回ればそんな趣味の金持ちくらいいるかもしれない。

金持ちの個人的趣味ならテレビで放映される心配はないか.....

しかし、趣味の悪い金持ちの酒の肴にされるのはシャクだ。

せめて美魔女なセレブ妻の暇潰しであれば救いはある。.....あるのか?それで救われるのってどうなんだ?本当にそれで良いのか、俺?

しかし、しかしだ。

自分の裸体を見てグフグフされるなら、やっぱり油のテカった中年ホモよりは美魔女様の方が.....救いはある!

ただの金持ち熟女じゃなくて、美魔女の隠れた淫らな趣味!

そうだそうだ、そうだったら良いなぁ~、うんうん、そうであれ!

しかもしかーも!惚れられちゃったりして、ツバメにしてくれたりして.....グフグフ。

よーし、まだ見ぬ美魔女様のために俺は───以下略



などと哲学の世界に没頭しながら改めて周囲を見渡すと、いくらか暗さに目が慣れてきたのか、今いる場所が段々と分かってきた。

いや、正確に言うと余計に分からなくなってきた。

というのも、うっすらと見えてきた天井が、テレビで見たことのある鍾乳洞のような、石の氷柱が所狭しとぶら下がっていたからだ。


──何なんだ、ここは?


屋外ではないが、屋内と言うには相応しくない天井だ。まさか、洞窟的な?

見覚えは.....勿論全くない。

何だか、現実感が全くない風景に思えた。

某有名なアニメでは、某鬱主人公がベッドで目覚めた際の、

    見たことない天井だ

なんて台詞が有名だったけど、見たことない天井なんて範疇じゃねーよ、おい。

よーしここは一発、歴史に綴られる名台詞を決めてやろうじゃないか。

俺の場合はこうだ!!



   「二つの意味で、すみませ~ん」



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