第5話『当面の目標』
庭師のヨセフさんにプレゼントに良い花を聞き庭に出る。そして、花束を完成させてから部屋に戻り服装を整える。流石に土で汚れたまままだ体調が万全ではない母さんの前にでるわけにはいかないから。
ゾイルが整えてくれているのを横目に思い出せるだけの記憶を確認する。
今の年齢は自分が六歳。二人は兄の方が十七歳。弟の方が八歳のはずだ。
何度も繰り返してわかったが恐らくここは乙女ゲームの世界で僕は悪役。舞台は、貴族ならば必ず入学することになる魔術学園。
未来で、彼らは攻略対象であり家を継ぐ次期公爵である兄と将来は王室魔術師団に仕える弟のコンビであった。兄は優しく元気な教師。弟は氷の貴公子とも呼ばれるが心優しく兄思いな先輩。編入してきた恐らく主人公らしい子爵令嬢。その子を気にする教師である兄と先輩として支える弟。そして、後輩であるレン・クロスティ。
……この立ち位置になること自体を避けるべきだろうか。今の自分ならば、父に言って入学を早めることも遅くすることもできる。なんならいかないことだって許されるかもしれない。早める…のはどちらにしろ原作に関係してしまう可能性が高いだろうか。
もし、兄たちと良好な関係を構築出来なかったとしても、なんとかできる。そう思うと少しだけ重荷が軽くなる気がした。
あとは、他の攻略対象者との関係をどうするかだろうか。他の攻略対象者は、恐らくこの国の王子と騎士団長の息子、宰相の息子、大神官の息子、後は元々の幼馴染だっただろうか。主人公と恋仲に近い状態になっていた覚えがあるのはこの面々だったと思う。
前世での乙女ゲームとかの属性をつけるならたぶん、王道な紳士的温厚な王子、俺様熱血騎士様、自信家で堅物な宰相の息子、ダウナー系の大神官の息子、一途なわんこ系の幼馴染って感じだろうか。こういうので手強いのは実は王子だったりするんだよな。今まで見てきたパターンの量的に見て難易度つくるなら、王子と上の兄が3。宰相の息子とダウナー系神官の息子、下の兄が2。他が1って感じだろう。こういう系のやつって隠しキャラとかがいたりするけれど今までそれらしきやつは見てない。だから、いないのかそれとも難しいのかわからないな。まぁ、そこら辺は僕からしたら関係はないだろうけど。今回も主人公はいるだろう。誰を選ぶのか…。そもそも今回はだいぶイレギュラーなんだ。主人公が誰とも結ばれないみたいなことになる可能性もある。あれ…?繰り返す原因となる死因が薄っすらとしか思い出せない。
薄っすらと覚えているのは僕が攻略対象に殺されること。あとは…。思い出せない。攻略対象に殺されたことはわかるのに、どうやって殺されたのか、何回殺されたのかわからない。
もしかして、記憶喪失に近いものだろうか?
……殺され方が分かれば対策できるかもとは思ったけれど、思い出せないならば仕方ない。いつ殺されるのかはわかる。3年生の卒業パーティの日。この日に出席しなければいいかもしれない。けれど、もしその後にあった場合が余計めんどくさい。それならば、卒業パーティの日に殺されそうになったときに4人に攫ってもらうほうが効果的なのではないか。逃げる準備をあらかじめしておけば問題ない。
……当面の目標は決まった。
まず、兄たちと良好な関係を築くこと。
そして、学園に入学した場合主人公及び攻略対象と絡むことを最小限にすること。
逃亡の準備をすること。
金銭や、もの以外にも魔法の腕を磨けばある程度の生活はできる。
これで、きっと大丈夫。また何かやらなければいけないことが出来たらその都度変更しよう。




