14話
14
「おー、きみ可愛いねー」
「俺たちとお茶でもしない?」
「お金は出すからさー。ちょっと付き合ってよ。いいよね?」
「……」
デート当日。
明照との集合場所に向かう途中で楓は男たちにナンパされていた。
(ウザい……! なんなのコイツら!!)
「そういうのいいんで!」
一言告げてその場をすぐに去ろうとする楓。
「まーまー」
「いーじゃん。一緒に遊ぼうよ」
「そうだよ。少しの時間でいいからさ」
しかし、男たちもそう簡単に引き下がらない。楓を逃がさないよう進行方向に立って彼女の行手を阻む。
「お断りします! 友達と会う約束しているので!」
(というかイケメンでもないのに何でこんな堂々とナンパできんの!? 邪魔だから急な腹痛にでも襲われればいいのに…!)
「じゃあその友達も一緒でいいからさ」
「そうそう」
「結構です! 急いでいるのでどいてください!」
「待ってって」
楓がその場を去ろうとしても、男たちは洗濯しても落ちない汚れのようにしつこく彼女を引き止める。
男たちと楓のやりとりも長くなり、次第に周囲の注目を集めるようになったが、遠巻きに見るだけで彼女を助けてくれるような人間は周りにはいなかった。
(どうしよう…? ムカつくけど相手の方が体が大きいし、今の非力な私では腕っぷしで男3人に勝てない。でも、逃げるのも難しい……認めたくないけど……少し怖い…)
楓がこの状態に恐怖を覚えはじめたタイミングで後ろから不機嫌そうな声が乱入してきた。
「あのさ……僕の連れになんかよう……?」
その表情は楓が普段見ているものと違い、怒りからか恐ろしいものになっていた。
「だ、誰だよお前!?」
「そ、そうだ!」
「引っ込んでやがれ」
少しだけ腰が引けていたが、ナンパ男たちも何とか明照に言い返す。
「あ…? この子の連れだけど? そういうお前たちこそ何?」
「い、いえ…な、何でもないです!」
「失礼しましたー!」
「ちくしょー! 友達じゃなくて彼氏かよ!」
しかし、彼の圧に負けたナンパ男たちは慌てて去っていった。
「ごめん、遅くなった」
「うんん、助けてありがとう」
(バクンバクンと心臓の音がうるさい。で、でもこれはピンチを脱したからで、け…決してコイツのことをカッコいいとか思ってるわけではない…はず…)




