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28 プリンセスの矜持1(マリエッテ視点)

マリエッテ・ワーズは生まれながらのプリンセスだった。

国唯一の公爵家の娘に生まれ、先先代の王弟陛下と前ワーズ公国のラスト大公女を祖父母に持ち、マリエッテはこの上なく高貴な血筋だった。


「マリエッテ、君はこの国唯一の公女だから、周りの令嬢たちに負けないように、しっかり品位を保つのだ」

「はい!お父様!」


「マリエッテ、あなたはこの国で一番位の高い令嬢だから、いついかなる時も美しく身なりを整えなければならないわ」

「はい!お母様!」


「マリエッテ、僕の可愛い妹よ、あなたは何にも悩まされず、ただ可愛く居てくれればいいよ」

「はい!お兄様!」


「「「マリエッテ、あなたはこの国で一番の女の子だから、きっといずれは国一番の女性、王妃になるのよ」」」

「はい!マリエッテはいずれ王妃になります!」


そう両親と兄に大事に大事に甘やかされて育ったマリエッテだったが、彼女には悩みがあった。


「旦那様…今年の財政収支も赤字です…もう屋敷の維持だけでも精一杯です…」

「あー、そうなのかー、うーん、難しいことは分からんから、君が何とか調整してくれ」

「っしかし旦那様!もう領地の一部を担保に出すほど融資を借入れております!何とか領地の事業を立て直さなければっ」

「うーん、そう言われてもなぁ」


公国時代からワーズ家に仕えてきた家令一族のロバートと、ワーズ公爵とのこのような会話を見聞きしたのは、一度や二度ではなかった。



「何が国唯一の公爵令嬢よ、先先代王弟陛下に因む家だから、王家が扱いに困っているだけだわ」

「そうよ、私、お父様から聞いたわ、ワーズ家はかなり王家に借金をしているらしいよ」

「まあ、そしたら、いずれ爵位返上もあり得るかもしれないわ」

「「「うふふふふふ」」」


父の教えを守って、幼い時から首都の同年代のご令嬢たちと交流を持ち、その中でも中心的な立場を守り続けてきたマリエッテだったが、「友人」たちが隠れて自分の悪口を言い合っているところを見かけたのもよくあることだった。



「今日のパーティーできっとマリエッテ様はルイ殿下の婚約者に選ばれますわ」

「きっとそうですよ、なんだってマリエッテ様はこの国で唯一の公爵令嬢ですもの、ルイ殿下の婚約者はマリエッテ様しか務まりませんわ」


7歳の時に出席した、ルイ第一王子の生誕パーティーで、王子の婚約者を内定する予定だった。

この国唯一の公爵令嬢なんだから、自分以上に相応しい相手はいないと信じていた。

例え、取り巻きの令嬢たちの言葉はただのおべっかで、裏で自分のことを見下して嘲笑っていたとしても、自分は未来の王妃に一番相応しい、国一のプリンセスであることに変わりはないと、マリエッテは選ばれる自信で溢れていた。


「そんなことございませんわ、皆様のような可愛らしい令嬢に囲まれていれば、私も別にそれほど突出していませんわ」


国一のプリンセスだから、誰よりも目立つのは当たり前、でも謙虚もプリンセスの美徳よ。


「皆様は仲がよろしいですね」

「ええそうよ、首都の高位貴族の令嬢なら、皆幼い時から仲良くしているわ」


田舎から来た「子爵令息」に、高位貴族の社交をアピールするのも品位の一環。


「まぁ、そう言えば、一人だけ交流のない人もいるけど」

「デュフォール家のリリアーヌというかしら、病気で家からほとんど出られないんだってね、可哀想に」

病気がちと語り、高位貴族の令嬢としての職務を放棄することは、言わば品位を放棄すること。デュフォール家の彼女は自らの責務を放ったらかしにした卑怯者だ。でもマリエッテは国一のプリンセスだから、言葉はもちろん思いやり溢れたように気遣う。



その日のパーティーで、王子は誰とも婚約しなかった。婚約どころか、王子とまともにお喋りできた令嬢すらいなかった。

もちろんマリエッテも、王子と一言挨拶交わしただけで、すぐ様話を切上げられた。

自分は国一のプリンセスで、いずれ王妃になる最高の女の子なのに、その時の王子の冷たい眼差しを受け、初めて、自分は王子に選ばれないかもしれないと、マリエッテは珍しく高位令嬢の職務を放棄し、しばらく自宅で塞ぎ込んだ。

最初は嫌味たっぷりの「悪役令嬢」っぽいポジションで登場させたマリエッテなんですけど、実はとても好きなキャラの1人です( ̄▽ ̄)

わがまま高飛車に育てられたお嬢様の成長物語がもう一話続くので、お付き合い頂けると嬉しいです。

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