ブラックミスト
全て…黒く…?
【…貴様の姿で…ヌフフ……分かったよ。】
『何の事だ?』
【其の時が……近いとね。…ヌフ。】
この世界を…
あの…死後の世界のような…
黒い霧の世界に、するということ?
『そうか…だから、余裕があるということか。とても、居心地が良さそうだな?』
【…ああ…ヌフフ。…とても気分がいいよ。】
『なら、最後に頼みがある。受刑者に…教えてくれないだろうか。』
おじさん…?
『自殺者が無になった後、どうなるのか。』
無になった後…?
その先が…あるの?
【どうなるのか……ヌフ。まぁ……いいだろう…ヌフフ…】
『それから…受刑者の声が、出るようにしてくれないだろうか…頼む。』
【…頼みが多いですね……もしも…良からぬことを話したら…ヌフフ……その場で終わりますよ?】
『承知した。』
────────────
首を圧迫していたものが…解けた?
「…はぁっ……」
…声が出る。
「…おじ…さ…」
─────ドクンッ…
金色の鋭い眼が……
心臓を抉るように、僕に言っている。
時が来るまで、何も話してはいけないと…
【う〜ん…惜しいね……ヌフ。あと一言で……頭が無くなるところでしたよ?……ヌフフフ。】
『申し訳ない。……声が出るようにお願いしたのは、受刑者に…懺悔の言葉を述べさせる為だ。許して欲しい。』
【…懺悔…?…ヌフ……いいねぇ。…懺悔と共に…飲み込んであげるよ……さぞ…美味いだろう…ヌフフ…】
怖い……
無になった後……どうなるの?
【自殺者を取り込んだモノにはねぇ………褒美として…階級を上げているんだよ…ヌフ。】
階級を?……なぜ?
【だって…重罪人だもん。…当然でしょ?】
『すまない。もう少し、分かりやすく教えてくれないだろうか。…頼む。』
【…はぁ。人間は…無知だからねぇ……】
少し…体の縛りが緩くなった?
【重罪人を取り込んだモノが……人間として生まれた後……】
「…うっ」
首筋に…舌の先が…
【自殺者を…増やしてくれるんだよ…ヌフフ。】
自殺者を……増やす?
分からない…
『…すまない。自殺者を増やすとは?もう少し、具体的に教えて欲しい。』
【はぁ……めんどくさいな……重罪人を吸収してんだから……最初から黒いんだよ!】
最初から……黒い?
『賢斗、つまり…犯罪の素質を持って、生まれてくるということだ。』
犯罪の素質……
将来的に、犯罪者になる可能性があるということ?
『重罪人を取り込んだ数によって、それは…大きな脅威になると言える。』
…大きな脅威って?
『黒い力は…人間を支配し、あっという間に増殖するからだ。』
増殖……
『もしも、国を統べる者だった場合……戦争が起きるだろう。』
せ…戦争!?
『それは極論だが…つまり、命に対する関心や、犯罪に対する抵抗力が低い人間として、生まれてくるということだ。』
そんな恐ろしいことが…?
安西さんのことが…脳裏を過る。
まるで…生活の一部のように、犯罪ができてしまう人間が生まれてくる…ということ?
『遺伝子や育った環境で、薄まることもあるが…難しいだろう。』
「…くっ…」
自殺者を取り込んだモノは…
犯罪の素質を持って、生まれてくる。
それらは将来的に、他人の幸せを奪う可能性があって…
辛い経験をする人が増えると…
その中には、僕のように…
生きていくことを諦めて…
…自ら、命を絶つ人が増える。
「…うぅ……」
そして…
黒い霧を纏った人間が、世界中に広がって…
負の連鎖が…
まるで、オセロのように…
「……………!」
全てを………
……黒くする。
…………………………………………………
「………ふざけるな!!」
─────────────────




