9 回復アイテムの改良
思う存分採取をした僕は、中央広場に居た。さっきもちょこっとやったけど、これらの素材から回復薬を新たに作るか今あるノーマルポーションを改良できないか、と思ったのだ。
今手元には調薬関係の素材が多いから、合成を試そうとすれば必然的にポーション系になっちゃうんだけどね。
「えーっと、初心者ポーションの材料は薬草2つか・・・。」
僕はNPC商店で買った『合成入門書―アイテム編―』を読みながら、そのリスト通りに合成を行う事にした。
薬草を2つ選択、合成ウィンドウを呼び出して合成。出来たのは、普通の初心者用ポーションとほぼ変わらない効果のポーションだ。
そしてこの初心者用ポーションに薬草をさらに合成すると、ノーマルポーションになる。ここまでは前実験した通りだ。
それなら、さらに薬草を合成させたらどうなるんだろう?
片方にノーマルポーション、片方に薬草をセットして合成した。
・・・出来たものは、リカバーポーション。効果はまた微妙だな。
リカバーポーション 中品質:49
ノーマルポーションの薬効成分をさらに増加させたポーション。
HP回復+26%(再使用時間300秒)
効果は上がったものの、クールタイムがとんでもなく長くなってしまった。
確かに休憩時とかには使えそうだけど、戦闘しながらじゃ使えないねこれ。
「うーん、もっと何度もバンバン使えるようなポーションって作れないかな?」
そう思ってノーマルポーションをベースに合成してみたけど、全然ダメ。失敗してアイテムが消える事もあったり、全く新種のポーションが出来たりした。
ハイリカバーポーション 中品質:55
リカバーポーションの改良版・・・だが、味は壊滅的だ。
HP回復+40%(再使用時間1時間)
同じリカバーと名の付いたリカバーポーションとリカバーグラスを合成してみたら出来たポーションだ。
クールタイムが壊滅的に長いから、回復量は魅力的だけどこれじゃあ使い物にならないよね。
「うーん、難しいや。何かヒントになりそうな事書いてないかな・・・。」
と入門書を捲ってみて、とある一文を見つけた。
『ポーション系統の再使用時間は、ポーション自体の味に関係する。壊滅的に不味い物を頻繁に口にしたいなんて思わないだろう。何回も連続して使えるようにするには、味も考慮すべき項目である。』
「味か・・・確かに、不味い飲み物を何回も飲もうとは思わないよな。」
と思い、少し工夫を凝らしてみる。
ノーマルポーションと薬草でリカバーポーションが出来るが、そこにNPC商店に行って砂糖(結構高かった)を購入して一緒に入れた。
とりあえず入れてみた砂糖だが、全く違うアイテムが出来た。
シュガーポーション 中品質:45
ノーマルポーションに砂糖を加え、飲みやすいようにしたポーション。
HP回復+15%(再使用時間150秒)
「クールタイムが半分になったか・・・。」
苦い物に無理やり砂糖を入れたら味って悪くなるような気がするけどなぁと思ったけど、そこら辺は気にしないでおこう。
ただ取って付けたような改良じゃあダメみたいだしね。クールタイムは半減したけど、回復量もかなり減ってるし。
道具師は様々なアイテムを作り出すジョブだけど、ポーション作りにおいては薬師に劣るし、料理関連なら料理人に劣る、器用貧乏なジョブだ。
ポーションの改良も、僕じゃ時間も手間もかかりすぎるのかも知れない。本職の人が作った方がいいのかも知れない。
「まあだけど、諦めるつもりはないよ。」
薬草もその他の素材もまだまだある。気が済むまで合成しまくってやる!
結局いつもの夕食の時間になるまで合成と調薬を繰り返したリクトだったが、大して成果を得られなかった上にアイテムボックス内のアイテムをほぼ使い切ってしまった。
その上に夕食の時間に遅れて、楓にボコボコにされた陸人だった。