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24 お店と三匹の猫。

「ついたよー。ここがクロ君のお店。」

「うわぁ、すごい立派だね・・・。」


アクラの街の北側、採取エリアに近い場所にキャット君のお店はあった。

しっかりとしたレンガ造りのお店で、どっちかって言えば可愛らしい感じだった。裁縫職人のお店っていうより、お菓子の店と言われた方がしっくりくる。


「・・・あ、2人ともいらっしゃい。」


ドアを開けると、カウンターで寝ていたキャット君がピョコッと起きて手を振った。


「レンガ造りの店かー、オシャレな店にしたね。」

「・・・こういうデザインにしようって、前々から決めてたからね。」

「パン屋さんって言われたら納得しそうなデザインだけどねー。」


改めて中を見渡す。

店内は暖色の落ち着いた雰囲気になっていて、内装カウンターの奥には大きな暖炉が作られている。

あちこち商品と思われるような服がかかっていて、殆どが革鎧とかローブで占められている。裁縫職人だから、主に布や革で作られた服や防具が置いてある。


「このお店って、建てるのにどれくらいのお金がかかったの?」

「・・・基本で50万オル。それで追加で材料代とか内装費を含めて合計80万オルくらいかな。」

「よくお金持ってたね。」

「・・・テスターだからね。」


あ、やっぱりキャット君ってテスターだったのか。


「ここにある以外にも、材料さえあればオーダーメイドも出来るよ。」

「どんなのを作れるの?」

「・・・どんな服でも作れるけど、あまりにも高ランクな素材はまだ無理かな。」


あー、なるほどなぁ。

僕って絶対金属製の防具は無理そうだから、将来的にはキャット君の世話になるかもしれないね。


「・・・思い出した。リクト、これプレゼント。」

「え?僕に?」

「・・・フレンドの証。前から渡そうと思って、すっかり忘れてた。」


フレンドの証と言って渡されたのは、・・・うん、あれだ。ネコミミフード。

しかも、キャット君とヴァイス君とかぶらないように、茶色のネコミミがついている。うわ・・・何これ・・・



茶色ネコミミのフード 高品質:66

キャット特製のネコミミ付きフード。被り物と侮るなかれ。

防御力+15(特殊能力:混乱耐性小、怯み耐性小)



「えっ!?無駄に高性能なんだけどこれ!?」

「・・・猫を舐めるな。」

「いや、舐めてないけど!」


ちなみにだけど、今僕が装備してる冒険者の帽子という店売りの頭部用防具がこれ。



冒険者の帽子 中品質:51

冒険者がかぶる防止。脆いと思われがちだが、上質な革を用いている為中々頑丈。

防御力+5


同じ革装備のはずなんだけど、防御力が3倍もあるんだよこのフード・・・。


「あー、リクト君。このネコミミフードは僕たちのフレンドの証だからねー。常時被っておいてくれると嬉しいなー。」

「って事は、ヴァイス君のフードもキャット君が作ったの?」

「そだよー。テスタープレイ時の素材を使った物だから、現地点では最強クラスの頭部防具の筈だし。」


何かとんでもないもの貰っちゃった気がする。

まあでも、せっかく貰ったんだし・・・装備っと。


「・・・うん、リクト似合うよ。」

「うんうん、思ってた通りだよリクト君!」

「めちゃくちゃ恥ずかしいんだけどこれ・・・。」


キャット君が持ってきてくれた鏡で自分の姿を確認してみたけど、思ったより違和感がない。

だけどこの姿を姉さんとかに見られたら、ほぼ間違いなく爆笑されるだろうなぁ。


「それじゃ、とりあえずフードは外して――」

「わわっ!?ダメだよリクト君!その装備は呪われてるから外せないよ!」

「それは違うゲームだから!」


貰ったのは嬉しいけど、こんなの常時つけられるほど僕の心臓は強くない。

元の冒険者の帽子に戻したら、「えー勿体ない・・・」「・・・せっかく作ったのに」って2人が凄く残念がってたけど、気にしない気にしない・・・。





キャット君の店でしばらく雑談をしていた3人だったが、リクトは例の毒沼の事を思い出した。


「そういえばキャット君さ、ここって靴とか作れる?」

「・・・革製なら普通に作れるけど、何で?」

「普通のじゃなくて、出来れば毒に耐性のあるやつ。」


前に姉さん達とパーティーを組んで神秘の森に行った時、フォレストレントを倒した先が毒沼のエリアになっていて進めなかったのを思い出した。

一面が毒沼だから解毒アイテムを持って行くのは効果がない。毒に耐性のある装備品が必要じゃないか、とリクトは読んでいた。

その事を2人に話すと、腕を組んで考え始めた。


「それってさ、多分毒じゃなくて、ダメージを与えるエリアなんだよね。」

「地形ダメージの事?毒と何が違うの?」

「もし、それが毒だとするじゃない?リクトはその中に入って(突き落とされて)その後すぐ出てきた。毒の状態異常にかかってたら、その後も少しの間はHPが減るはずだもん。出てすぐHPの減りが収まったって事は、毒じゃなくて地形ダメージなんじゃないかな?って事。」


毒の効果は、10秒の間HPを継続的に減らす。確かに、アヤさんに引っ張られた後はHPの減りが収まった。

これがもし毒だったら、その後も少しの間はHPが減ってた筈だ。

地形ダメージはその地形にプレイヤーが入ると継続的にダメージを与えるが、一歩でも外に出れば無害だ。

そう考えると、あのエリアは地形ダメージのエリアと考えると説明がつく。


「そう言われれば、確かにそうかもしれないなぁ。気が付かなかった。」

「確証な無いけどね。・・・それなら僕たちでそこに行って確かめてみる?」

「いや、僕たちじゃフォレストレント倒せないよね多分。」


ボスは一度倒せばスルーできるようになるけど、キャット君とヴァイス君はまだ倒してないらしい。

僕たち生産職3人で倒せる訳もないし、姉さん達にばかり頼るのも避けたい。


「ふむ・・・地形ダメージ無効の効果のブーツが欲しい、か・・・。」


キャット君も何かを考えているようだ。だけど、その顔は少し険しい。


「どう?無理そうかな?」

「・・・毒耐性とかの異常状態耐性を付加するなら簡単だけど、地形ダメージ無効は少し厳しい。」

「そっかー。」


今の地点じゃ、キャット君でもそれは厳しそうだ。

「・・・いつか作るから待ってて。」とキャット君はやる気を見せてたから、期待してもよさそうかな?


その後もしばらく雑談をしてたリクトだったが、もうすぐ夕食の時間だったのを思い出して2人より先にログアウトした。

神秘の森の先のエリアが地形ダメージのフィールドかもしれないという情報を得たから、とりあえず姉さんと相談してみるとしよう。え?ネコミミフードは言うのかって?勿論黙っておくよ?








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