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砂漠の町 そのきゅう

 部屋に戻ると、既にドリガルとエスタシアは起きていた。


「おはよー。パセリ、右と左どっちがいい?」

 両手に缶詰を持ったドリガルが入って来たパセリに言う。

「えーと、じゃあ右で」

「はいよ」

 ドリガルがパセリから見て右の手に持った缶詰を放り投げる。

「どっちもおんなじ缶詰なんだけどね」

「なんで選ばせたんだよ……」

 昨晩と同じ缶詰をに開け、朝食にした。食べ終わったら荷物をまとめる。この部屋に来た時と同じ状態になった。


 階下に降り、店主を探すがその姿はない。昨日店主が読んでいた雑誌が埃の積もったカウンタに置いてあるだけだった。

「おっちゃーん、いないの?」

「どこにもいないみたいだな。鍵はカウンターに置いておけばいいかな」

「ちょっと不用心ですけど仕方ありませんね」


 外に出てジープに乗りこむ。密閉された空間が開かれ、温まった空気がむわっと外に飛び出した。キーを差し込み、エンジンをかける。マフラーから黒い排気ガスを放出するとともに低く大きなエンジン音を轟かせた。今回運転するのはパセリだ。


「…………」

 パセリは一度ジープから降りて辺りを見渡す。先ほどの帽子を被った少年のことが気にかかる。結局再び顔を見せることなく出発することが少々心残りだった。

「またね。あたしたちは行くよ」

 姿の見えない少年に向かって小さくつぶやいた。せめてどこかで自分たちのことを見送ってくれていますように、と祈りながら。

「何やってんの? 早く乗りなよ」

 ドリガルが促すので、

「はいはーい」

 と返事をした。

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