4.文化祭準備とミスコン計画。
あの幸せな夜から早いもので夏休みもあっとゆう間に過ぎ、新学期を迎えた。
今あたしは文化祭の準備中です。あたしのクラスはたこ焼き屋をするみたいなので、クラスのみんなで調理室で試作中です。
すると、バタバタと走ってくる足音が…
「ゆ、唯!!!」
慌てた様子で愛ちゃんが調理室に入ってくる。
「え…そんなに慌ててどうしたの?愛ちゃん」
すると、急いできたのかハアハアと息を整える愛ちゃんが
「椎名先輩、ミスターコンずっと逃げ切ってたみたいなんだけど、今年に限ってミスターコン出るみたいだよ?!ちなみに蓮先輩も」
と、愛ちゃんが教えてくれた。
「えっ、あたし何も聞いてない…。」
なんで?あたし聞いてないし…そんな事したらもっと人気出ちゃうじゃん…。と肩を落とす。
「ねえ、椎名先輩に本当なのか聞きに行かない?」
「…行く!」
あたしの返事を聞くと愛ちゃんはあたしの手を引き、3年生の教室に向かう。
3年生のフロアに着くと相変わらずコソコソ話と視線がキツイ…。
愛ちゃんはそんな事を気にする様子もなくどんどん進んでいく。
そして颯斗のクラスに到着する。
躊躇することなく愛ちゃんは扉に手を掛ける。
────ガラガラガラッ
「椎名先輩いますか?」
と、堂々としている愛ちゃん…カッコイイ…。
すると奥の席からすこし驚いた顔であたしと愛ちゃんを見ると、颯斗は席を立ち上がりこちらに近づく。
「珍しいな。どーかしたか?」
と不思議そうな顔をする颯斗。
「ミスターコンに出るって本当ですか?」
と愛ちゃんは単刀直入に聞く。
「あたし…聞いてない…なんで…」
とオドオドしながら聞くあたし。
すると、颯斗は目を見開き
「は?なんだそれ」
と何も知らないような素振りをする。
「あたし生徒会に知り合いがいるんですけど、今年は椎名先輩が出るって盛り上がってましたよ。ちなみに蓮先輩も」
と愛ちゃんは颯斗を詰める。
「…いや、まぢで知らねぇ…チッ」
と颯斗は本当に何も知らないのか不機嫌な顔になる。
「どぉかしたの〜?」
とそこで三井先輩が現れる。あたしたちはここに来た理由を説明すると
「は?まぢで?俺も知らね。颯斗ちょっと生徒会に抗議行かね?」
と三井先輩も本当に何も知らない様子。
「チッ…ふざけんなよアイツら。俺は出ねぇって言ってんだけどな…
唯、心配させちまったな?ちょっと蓮と生徒会行ってくるからごめんな?」
とイライラしながらもあたしへの思いやりは忘れない颯斗にあたしも疑ってごめんなさい…と謝り颯斗を見送る。
そして愛ちゃんとまた調理室に戻る。
「どう言うことなのかしら〜」
と愛ちゃんもずっと考えてくれているようだ。
「…わからないけど颯斗は本当に何も知らなそうだったし…報告を待つしかないよね…。」
と、肩を落とすあたしに愛ちゃんはよしよしと頭を撫でる。
そして、放課後真実を知る…。
去年も一昨年も颯斗も三井先輩もミスターコンの本命二人は頑なに出ることを拒否。
三年生で今年最後の二人をなんとしてでも出したい生徒会が考えた案が︎︎、ミスコン、ミスターコンに出る条件を立候補者と投票式にしたようだ。投票で選ばれた人は必ず出場。と言うことで圧倒的な人気で投票が集まった二人はミスターコンに出ることが確定してしまったようだ。
生徒会は今年最後の文化祭やってやったぞぉぉおお!と大盛り上がりだったとか…。
────あれから数日後
あたしはミスターコンのことが憂鬱で仕方がない毎日を送っている…。これ以上先輩が人気になってしまったら…と思うとソワソワする。
それに相変わらずあたしは「ブス」と、陰口を言われる日々を送っている…。
「はぁ…」
と机に突っ伏していると
「また落ち込んでるの?」
と愛ちゃんが呆れたように聞いてくる。
「だって…だって…、颯斗がこれ以上人気になったら…もっと釣り合わないよ…。今でもずっと釣り合わないブスって陰口言われてるし……。はぁぁぁあ…。」
と落ち込むあたしに、愛ちゃんは考え込む素振りをしたあと急に何かを思いついたような顔をしてニヤリと笑った。
「ねえ…唯、どーしてでも椎名先輩の人気を阻止したいのよね?どんなことでもできる?できるのならあたしにいい案があるわよ?唯の悩み全て解消できるわよ」
とニヤリとしながら自信満々の愛ちゃん。
い、嫌な予感がする…。でも、あたしの悩みは全て解消?!そんなことが?!
で…でも…すごく…嫌な予感が…
「さぁ、どうするの?」
と挑発的な顔であたしを見る愛ちゃん。
その顔は自信に溢れている。
あたしは…何を迷っているの?今までも女は度胸!を信じて色んなことを乗り越えてきたじゃん!こんな事で狼狽えてていいの?…そんなの…あたらしくない!よね!?
「……や、やる!!!なんでもやる!!」
「ふふふ…よく言ってくれたわね。あたしに任せなさ〜い!!よしじゃあとりあえず生徒会室にレッツゴー!!」
と急にルンルンな愛ちゃんに引っ張られてなぜか生徒会室に連行されるあたし。
生徒会室に到着。
────ガラガラガラッ
相変わらず愛ちゃんは生徒会室の扉をも堂々と開ける。
「ごめんなさい失礼します。ミスコンのことで話があるんですけど、いいですか?」
と生徒会の子達に声を掛ける。
「はい、ミスコンならあたしが担当ですよ」
と真面目そうな女の子が対応してくれる。
颯斗たちのミスターコンの話じゃなくてミスコンなの?なんで?
とあたしは後ろで愛ちゃんの様子を伺う。
すると愛ちゃんが口を開く
「望月 唯。ミスコン立候補します。」
「………え?!まって?!あたしが?!む、むりむりむりむりむり…!!!」
とあまりにも唐突な事に動揺するあたし。
「あたしの言うこと聞くって言ったわよね?」
とギロリと睨んでくる愛ちゃん。
「そ、そうでした…あ、はい…望月 唯、立候補、させていただきます…。」
「望月 唯さんですね。ミスコンの受付完了しました。では、文化祭の日の日程についてはこちらのプリントに詳細が書いてありますので、確認よろしくお願いします。あと当日、時間厳守でお願いしますね。」
と、真面目そうな女の子はこんな見た目のあたしが立候補することに突っ込みもせず淡々と仕事をこなしていく。
「あ…はい。ありがとうございました。」
とお礼を言い、愛ちゃんと生徒会室を出る。
「ねぇ…愛ちゃんどういう事?なんでミスコンにあたしなんかが…」
とあたしは不安な顔をして愛ちゃん見る。
「いーい?これは唯、あんたが変わるチャンスでもあるのよ?」
と真面目な顔をして言う愛ちゃん。
「変わる…チャンス…?」
どういう事か益々わからない…。
「そうよ、唯は素顔のこと凄く怯えているけど、あたしや碧に大和、そして直樹や蓮先輩に椎名先輩、誰か一人でも素顔を知ってからあんたから離れた人がいる?」
考えてみると確かにそう…。素顔を知られているのに昔みたいな事にはなっていない。
「いない…ね」
「でしょ?みんなにこの機会に本当の姿を見てもらった方がいいと思うの。」
と愛ちゃんは真剣だ。
「で、でも…その場所が、ミスコンなんて…それに本当にこれで解決するの…?」
と心配するあたし
「絶対に唯の悩みは解決するわよ、悪口も消えるし先輩へ群がる人も減ると思うわね。本当の唯を見て椎名先輩に近づけるなら尊敬するわね。信じてちょーだい?本番はあたしに任せてっ!」
とウインクをする愛ちゃん。
「愛ちゃんがそこまで言うなら……わかった…信じるね。」
とあたしも真剣な愛ちゃんの言葉に腹を括る。
それから文化祭の準備を進めながら颯斗や三井先輩にも秘密で、あたしのミスコン出場計画も進んで行った…。
そしていよいよ当日を迎える…。




