死後の仕事
日本の刑事裁判の有罪判決率は約99.9%
そして義務として被告は弁護人というものがつけられ、裁判に望む。
――これは、彼岸の先でも同じである。
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「なるほど、不帰客様は天国に行きたいと……。」
「はい!母もそちらに向かったと聞いたので意地でも行きたくて!」
「なるほど、ですが今では地獄行きが濃厚ですが?実際何を?」
「分かりませんが閻魔さまからは万物殺害罪と環境不全:破壊罪と言われました。」
「……ほう?」
今の境界の世界では現世"人"の有罪率は異常の程高くなっている、理由は簡単に言ってしまえば生活の安定性、それによる人間の残虐差の露呈。
簡単に言ってしまえば生きているだけで閻魔法に引っかかる基盤が向こうでは知らずにできている。
あの生活にはこちらから見れば幸せすぎる集団自殺、女子供老人までせーので首を括っているように見えている。
「不帰客様は小さな頃、そこを歩くアリ様や虫様の踏み潰していましたね?残念ながら虫様自身が家に忍び込んだり襲いかかったりしていない場合これが万物殺害罪に当たります。それと動物園に客として見に行く場合でも同じ罪に当たります。」
「そんな……!」
「環境不全:破壊罪の場合ですと東京に住んでいましたよね。あのままだと貴方様が環境破壊に加担している判定で罪に問われる場合があります。」
「いや、いやいや、理不尽すぎるでしょ!そんなの人として生きているだけで罪みたいな言い方ッ……!!」
「残念ながらあるんです。現状、閻魔法での見直し、法改正の見積もり、色々な手が加わって行ってる途中です。」
今日も今日とて、黄昏の日が強い。
スーツを着ていたところで此岸と彼岸の境界なのでくるぶしくらいの水が張っている、また足の裾がびしょ濡れになっている。
俺は赤羽 入間。
元人間の彼岸弁護士の助手だ、好きな女性のタイプはざっくり言える人、俺は前にそれの関係で早くに亡くなってしまったから今度からはゼッテェメンヘラとは付き合わないことにしてる。
あそこで女性と話している人は俺の上司の仏前 中日さん。
未だに謎の多い彼岸弁護士で、腕前はすごく。この前も閻罪で地獄800年行きになりそうだった老婆を天国行きにした超凄い人。
改めて俺らは彼岸弁護士事務所『ワタツミ』に所属している唯一の彼岸弁護士だ。
そもそも彼岸弁護士とは、彼岸を渡る死人を天国行きの斡旋や本来下された地獄の刑期を短くするために動くお仕事。
近年、閻魔裁判も近代化に合わせて現世の裁判に近いものにイノベーションしているらしく弁護士制度などが追加され、裁判回数もあんなにびっしりばっしりあったのに今では現世と同じく三審制になっている。
「お疲れ様っす!先輩!大変でしたね〜」
「ありがとう……赤羽さん、彼女に茶菓子出しといてください」
「はいっす!って先輩は?」
「浄玻璃の鏡で彼女に偽りが無いか確認してきます。」
「エッ?浄玻璃の鏡って裁判に使うやつっすよね?なんで先輩持ってるんすか?」
「おや?知らないのですか?今じゃ浄玻璃の鏡は家庭にひとつと言われる時代、三種の神器にも入る声が聞こえてくるほど浸透しているのですよ」
「まるでテレビっすね」
「はい、最新のは4Kモデルなんですよ!」
「じゃあそれはテレビじゃないっすか!?」
冗談を置いといて部屋の隅に置いてあるちっぽけな浄玻璃の鏡を見つめる。
民間向けのように質素でもあり親しみやすい見た目に改良された浄玻璃の鏡に「狡い」なんて感想を抱いてリモコンを手に取る。
「……!先輩!これ!?」
「ああ、これまずいですね。」




