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ラスボスの姉に転生しました――闇落ちする運命の妹を救いたい  作者: 有原優


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第八話 入学式

 それから一月の時が過ぎた。

 シエルの貴族学院入学は認められた。


 直談判の結果だ。

 わたしの熱意が伝わったというよりも、シエルの強くなっていく強さを見て、お父様がそうせざるを得なかったというのが正しい。

 お父様はシエルの力に対し、少し恐れを抱きながらも、シエルの力を生かせる場所に行って欲しいという気も血らしい。

 また、スザンヌの力を借りないといけないかも、と思ってたから一安心だ。


 それに本編でもシエルは学院に通う事になる。

 結局それもお父様が許可したのであろう。


 という事は、頭が固かっただけで、お父様もシエルの自由を認める運命にあったという事。それが、私の介入でだいぶ早くなった。


 それにもう一つ理由がある。シエルはあれから私に良くなつくようになった。以前、リエラがシエルを虐めていたのがまるでなかったことのように。

 だから、わたしに全て任せる事にしたのだろう。私に任せた方が問題が起きた時にすぐに対処しやすく、暴走のリスクが少ないから。

 ちなみに元来、学院への入学は16からとされている。

 これは16歳まで家で学術や魔術の基礎を学ばなければ授業に追いつけないという背景がある。

 しかし、シエルは今の時点で賢い。牢に半年閉じ込められたハンデがあるとはいえ、それまでお父様に認めてもらおうと勉強をしていた。

 それも周りの14歳よりも遥かに。


 

 だからこそ、困ることはないだろうという考えだ。

 シエルは実際に今16歳並の知識を手に入れているのだから。


 それから入学式まで私とシエルは勉強と魔法の練習を繰り返した。


 お父様は来てくれなかった。

 だけど、スザンヌは来てくれた。


 そして、たまにリデアス様がお忍びで来てくれた。そして軽く魔法の練習に付き合ってくれた。

 おかげで、そこそこは強くなっただろう。


 今のシエルは私よりもはるかに強い。

 恐らく並の相手ならば、きっと余裕で倒せるだろうか。


 そして、ついにその日がやってきた。


 そう、入学式だ。


 当日。私とシエルはスザンヌの馬車により王都へと向かう。


 馬車の中、暫く無言の時間が流れる。少しだけ気まずい。


 シエルの体が震えている。

 

「シエル大丈夫?」


 静かに首を振るシエル。


「お姉ちゃん。入学式、緊張する」


 やはり緊張しているらしい。


「こういうのは堂々としてたらいいのよ。だいたいこういうのはお偉いさんの挨拶だけで終わるのだから」


 実際ゲームのシーンでもそう言う感じだったし。勿論、それだけでは終わらないのが、現実だけど。


 


 今回入学制として有名になるのは二人。

 膨大な魔力の持ち主、王太子殿下。つまりリデアス様だ。

 そして、光の魔力の使い手、聖女であるセリアだ。


 彼女が逆ハーレム状態になる事で、物語が進んでいく。

 その中で幾度悪役令嬢が邪魔をしてきたことだろう。

 まあ、その悪役令嬢がリエラだから、邪魔をすることはないのだけど。


 そしてこの入学式にもイベントが生じる――


「シエルは堂々と座っていたらいいの。大丈夫だから」

「そうだよね」

「それに私たち隣に座るから大丈夫」


 その言葉にシエルは静かに小さくうなずいた。



「お嬢様、目的地が見えてきました」


 それを見て、わたしとシエルはほぼ同時に窓の外の光景を見る。そこには如何にもな建物がある。


 今からあそこで学問を学ぶ。そう考えると、私も緊張してきた。


「お嬢様がビビられていてどうするんですか」


 スザンヌがため息をつく。


「シエル様のためにもしっかりとなさってください」

「私も緊張してるのよ」


 何しろ、聖地だ。

 推しキャラたちが学問に励んだ場所なんで、聖地意外に何と呼びようがあるのだろうか。

 楽しみで仕方がないのだ。


 それに緊張はそれだけではない。これから起きるであろう事件に対しても緊張をしている。


 入学式などというイベントは何かが乱入してくるケースが多いのだ。


 馬車が入院式の場所に着く。わたしとシエルは馬車から降りた。


「お気をつけてください。また何かあれば16時まではここにいるので何でも申し付けください」

「分かっているわ。何かあったらお願いね」

「はっ」


 そして私とシエルは歩いていく。その道中何もなく、ただただ歩いていく。

 少し緊張はほぐれず、私たち二人は無言だ。


 そしてホールに着いた。入り口で配られたパンフレットを持ち、中に入っていく。


 しかしやけに現代的なホールだ。このゲームは大分現代調に作られていた。

 その割に貴族制度とかはバリバリに残っていたりと疑問点もそこそこあるのだが。


「久しぶり」


 そこに現れたのはリデアス様だ。


「久しぶりです」

「シエルも久しぶりだね」

「うん、久しぶりです」


 シエルも頭を下げる。礼儀正しい。


「今日の入学式、リデアス様も何かしゃべるのですか?」


 今日の入学式では主席がしゃべることになっている。


「ああ、喋るよ。どうやら俺だけではないみたいだけどね」

「やはり」


 もう一人はセリア、聖女だ。

 主席は二人いる。入試でほぼ同じ点数だったのだ。




「やはりとは」


 リデアス様が聞く。


「いえ、何でもないですわ」


 そう、わたしは取り繕う。いけない。変なことを口に出してしまっていたようだ。


 席はどこでもいい。シエルの隣に、後ろの方に座る。


 学院のカリキュラム。それは自由だ。

 日本で言うところの大学に近い。少なくとも高校とは全然違うのだ。


 詳しい説明は入学式の中で行われるだろうが、果たしてそこまで行くだろうか。


「入学生の皆様」


 アナウンスが流れる。今は入学式の始める二分前だ。

 その音量が少し大きく、急に流れたからか、シエルは少しびっくりとしている。かわいい。


「今から入学式を開始します。皆さまは紳士、淑女らしく静かに開園をお待ちください」


 その言葉に、ざわざわとしていた海上が静かになる。それと当時に、電気も消された。


 この世界の電気は魔力で補っているのかな。


「学長のセレスです」


 初老のおばさまが現れた。この学院の学長のセレスだ。その魔力から、大魔女と呼ばれ、30年前の対戦で活躍した。

 そんな事が設定資料集に書いていたはず。


「皆様は貴族として、戦闘の記述と学問を学びに来たのだと思います。今の時代、魔術の使い道は戦闘のみではありません。銭湯のみならず日常生活にも魔力は必要です。そのことをよく理解して欲しいと思っています。

 そして、魔力を司る者として、一つ気を付けなければなりない事がございます。それは魔力とは時には危険なものに代わる事です。分かりやすい例で言えば、魔力の枯渇。そうなればもう魔法が唱えられない他に、多数問題が生じます。魔力は我々の体の免疫機能をも、行います。魔力が亡くなるという事は、体の機能の大半が失われるという事です。それをお忘れないように。


 また、魔力は強い力です。使い方に気を使わなければ、学友や大事な人たちを傷つける恐れもあります。なので、安易にその力を振るわず、人に対して思いやりのある使い方をしてください」


 そこからも話は続いていく。そう言えば私はゲームの時は一括で飛ばしていた。だからこそ、思った以上に長いなと思ってしまう。

 こういう学校のお偉いさんの話は基本つまらない。ありがたみのある言葉なのだろうけれど、生前、日本で学長先生が話していた内容。全てを忘れてしまっている。

 その時私は高校生になっていたと思う。だけどそれでも忘れてしまっているのだから恐ろしい話だ。



 そして、入学生代表の話が始まっていく。王太子様とセリアが台の上に上がっていく。


 ちなみに入学試験。それ自体はそこまで難しくなかった。

 入学者を制定するというよりかは落第者を選定するという点が正しいだろう。

 そしてそのテストで最高点を取ったという事だ。



「どうも、入学制代表のセリアです。農民出身という事で奇異な目で見てくる人もいるかもしれません。でも、それでも頑張ろうと思います。平民として、この貴族学院の中で頑張れるように頑張ります。また、私には野望があります。野望と言ってしまうと、恐らく野蛮だと思われてしまいます。ですが、私の野望は小さく広くだと思います。私は、平民の地位を大きくしたい。貴族を貶めるつもりはありません。そのようなことをこの場で言ってしまえば、恐らく非難されるでしょう。ですが私がこの学院で学びそして最終t系には平民が政治に参加できる世の中をつくりたいと考えています」


 そう言ってセリアは頭を下げる。

 その後もセリアの話は続いていく。


 闇魔力と、光魔力は相反する力。物語の中のセリアは優しく闇魔力を持つシエルを支えてくれていたが、ここはゲームの世界ではない。

 この二人がどうなっていくか。そこが気になるところだ。


 私は、リエラは悪役令嬢ではない。だからこそ、ゲームのストーリーとは違う事が起きるはずなのだ。

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