第24話 魔物
「なんか、同じ光景ばかりだね」
そんな中、シエルがふと言う。
「なんか面白くないかも」
「そんなこと言ったらだめよ。緊張感もたなきゃ」
「あの人たちを見ても思う?」
シエルは、リデアス様と、セリナを見る。
「確かに」
二人共うきうきとし過ぎて、緊張感がない。
「それに、今回ただの見学でしょ」
「まあ、そうだけどね。……ねえ、シエル。もしさ、ダンジョンにこれからも挑めるとしたら挑みたい?」
「挑みたい」
少女は小さくそう告げた。
シエルはあの二人側の人間なのか、と微笑する。
その時だ。
「これから第二層に降りる。階段を伝って全員降りてくれ」
その言葉に、私たちは無言でうなずき、そして中に入っていく。
その時だ。
転移した。
わたしたち全員がだ。
ここで来たかと思い、魔法の準備をする。
「何だここは」
シュゲルが叫ぶ。
そこには沢山の魔物が出て来る。
「なにこれ」
「授業の内よね」
「い、いやあ」
「何なんだよ、これは」
次々に生徒たちがそう言葉を紡ぐ。
その、対象は目の前の魔物達だ。
「君たちは僕が守る。心配しないでくれ」
シュゲルは剣を振り回す。
その剣により周りの魔物達がどんどんと切り裂かれていく。
「それにしても、数が多いな」
シュゲルが、っちと、軽く舌打ちをする。
「うらああ」
これではだめ。これではだめなのだ。
ゲーム内でシュゲルは殉職する。
このダンジョンで命を落としてしまう。
その理由は、多数の敵相手にかばいながら戦い、その結果自分だけ逃げきれず命を枯らす。
そもそもこのダンジョン時代か、かなり難しめのダンジョンだ。上級であるA級以上の冒険者が5人以上いてようやくクリアできる。
学院では冒険者ランクなんていう価値観はないから学院内でのランクで露わっされるがこの際それはどうでもいいだろう。ここで重要なのは、このダンジョンは逃げ延びるだけでも可なりの難易度を誇るという事だ。
私は手を前にがかけ、火の球を放つ。
「わたしも守ります」
そう言った。そんな私に続いて、シエルが飛び出す。
シエルもまた魔法を飛ばし、魔物達の動きを鈍らせる。
そんな魔物達をリデアス様が剣で跳ね飛ばす。
一瞬。一瞬の連携で多数の敵が倒れた。
「へえ、やるねえ」
そう、背後でうなるのはセリナだ。
「わたしもいくわ」
魔法を飛ばしていく。
「シャイニングバースト!!」
その魔法は、周りの魔物達を吹き飛ばす。
そして消滅させた。
「流石は光魔法」「流石だわ」「素晴らしい」
生徒たちが口々に言う。
人気度合いが素晴らしい。
シエルとは段違いだ。
セリナに向ける栄光を少しでもシエルに向けて欲しいだなんて、思ってしまう。
でもそれは裏なる私だ。これはただの嫉妬の感情だ。
セリナは聖女候補だから仕方ないのかもしれない。
光の魔力を持っている時点で聖女の資格がある。
それが平民育ちだとしてもだ。
普通こういうゲームでは、平民育ちであるセリナは基本批判される側の人間で、最初は受け入れられないのに、段々と自分の力を見せて、平民を見下す貴族の差別から抜け出そうというのが基本だ。
だけど、このゲームの場合は、セリナは最初からすごい力を持っている。
それがこのゲームの異端なポイントなのよね。
まあ、それはいいや。
「わたしも負けていられない」
そう言ってわたしは負けじと魔法を放ち続ける。
「わたしについてこられる? リエラ」
確かにゲームのリエラはそこまでは強くない。
常人に比べれば強いが、ネームドキャラには勝てない、
だけど、それを覆せるはず。
私は、
「わたしだって、無力なままじゃいられない!!」」
そう言って魔力を振り絞る。
この状況、違うところが複数個ある。それは今のわたしがゲームでのリエラよりも強いという事。
そしてもう一つは、この場にシエルが老いる事。
それだけで、戦力は段違いとなる。
「そのおかげで魔物達がどんどんと倒れて行く。
ゲームでは。シュゲルが早々に傷ついていく。だけど、今のわたしたちは違う。
主ルドがまだ生きている。
「はあ!!」
わたしたちは魔法で敵を蹴散らしていく。
ゲームでのこのイベント戦は、耐久。生き残り戦だ。
だからそろそろ魔物の数が減っていくはずなんだけど。
何故か魔物は減らない。
おかしいと、私は訝しる。
本来もっと早く魔物達が減ってくれるはずなのに。
その時だった。
向こうから絶大な存在感を感じる。
これって、
私はぞくっとした。
ここから来るのはまさか。
そこにいたのは、上位種と呼ばれる魔物だ。
おかしい。どう考えてもここで出る魔物ではない。
そこにいた魔物は、巨人種だ。大きな棍棒を持っており、一般的に想像する巨人種と同じ感じだ。
私はそのオーラに圧倒される。
圧倒的な存在感。
そして巨人は一気に私たちに接近し、シュゲルに相対する。
シュゲルは、その棍棒を剣で受け止める。が、おしつぶされそうになる。
「くそっ、やられるかよ!!」
剣で押しつぶされまいと粘る。
だめだ。見ているだけでは、シュゲルがやられるかもしれない。
シュゲルがやられたら終わりだ。
私は走り、魔法を巨人種にぶつける。
その魔法に巨人は一瞬怯むも、その強靭な体からは、傷を与えられない。
「ちょっと! リエラ」
セリナが叫ぶ。
「あんたは、あの魔物達を倒しなさい」
「セリナは?」
「わたしはこいつを倒すわ」
そう言って巨人種に相対する。
恐らくだが、この巨人は下手すればウィレムよりも強い。
ウィレムの注射で強化される前よりも。
ウィレムは薬で強化しなければ私たちを蹂躙していた。
ただ、シエルがトーピングに対して有効策を持っていただけだ。
だからこいつはウィレムよりも遥に強い相手という事になる。
「セリナ、任せて大丈夫なの?」
「聖女をなめないで」
その言葉にわたしは小さくうなずき、魔物達を相手にしていく。




