トイレと排水
陶器を色々と【クラフト】することに成功したので、獣人の村に公衆浴場と公衆トイレを建設する。
まずは排水から考えるか。
浴場三つとトイレの便座を六つ、それぞれの施設の床から五つの合計十四の排水口を用意しよう。
ちなみにトイレのスライムだが、暴れ出すなどの行動を今のところ取ってないようなので、こちらもスライム処理法でいってみようと思っている。
まず、トイレの排泄物の処理槽を作り、そこにスライムを入れる。
次にそこから水分だけを流し、浴場からの排水と合流させて、水の処理槽を作る。
最終的には濾過して流す感じかなあ。
排水量がどの程度がわからないが、追い付かなくて溢れ出して逆流という事態を避けるため、かなり広いスペースの最終排水槽を確保する。
排水が地面に染み込んでいくことを避けるのと、実験を兼ねて、コンクリートで床と壁を造る。
鉄による配筋が、鉄が無くできないので、これもお試しに割いた竹を鉄筋代わりに配筋していく。
さて、この後の水を流す先が問題だ。
谷底の川に流すことも考えたが、あの川の水は我が家のある町でも利用されているはず。
その川に排水を流せば、どんな影響が出てくるかわからない。
ある程度キレイにしてから流すつもりではあっても、完璧に浄化できるかは不明だ。
『特性』を利用すれば、飲水にできるくらいにキレイにできるとは思うが、そこには魔力という対価が必要になる。
たまにメンテナンスをするくらいなら構わないが、頻繁に行う必要が出てくるとさすがに面倒だ。
であれば、流す先は目に見える影響が無いようにする。
この村で飲み水を汲んでいる沢があるが、その沢の流れる先は東の大森林だ。
谷底を流れる川も、大森林へと流れていくので、どこかで合流しているかもしれないが、我が家や町には何の影響も無い。
もちろん、もっと川が下った先に人々の暮らす場所があり、そこに影響を及ぼす可能性は否定できない。
が、目をつむることにした。
俺は俺の便利な生活のために、見たことの無い、存在するかもわからない人たちへの影響を無視する。
当然、汚水をそのまま流すつもりは無く、できる限りの処置をした上でだが、流すことに決めた。
排水の方針を固めたところで、沢の下流を目掛けて排水用のトンネル――下水道を掘る。
幸い、目指す沢の下流は、汚水処理槽と標高差がある。
あまり考えずに掘り進めても問題ないのだが、なるべく勾配を緩くしたり、蛇行させたりして距離を稼ぐ。
掘り進めていくと、あらかじめ出口として開けておいた穴と繋がった。
かなり穴掘りに慣れたもんだなと、感慨に耽そうになるが、過去を振り返るのは後にして作業を続ける。
次の作業はこの開通した下水道を埋める。
無駄に掘って無駄に埋める、公共事業――実際にそんなことはしていないと思いたい――みたいなことをしようというわけではなく、砂や砂利など、水はけの良いもので埋めて、沢にたどり着くまでの時間を長くしつつ、多少でも水質を良くしようという目論見だ。
効果の程はわからないけど。これに関しても専門でもなければ知識も無いし。
適切な助言をくれる専門家が欲しい。
さて、砂や砂利といっても、実は手持ちにはそんなに無い。
ということで、岩場から岩を切り出し、砂や砂利を【クラフト】していく。
ついでに「浄化」の『特性』も付与。
砂や砂利に付与した「浄化」は、魔力を消費して発動するタイプの『特性』のようで、魔力が供給され続ける環境ではない以上、気休めにしかならないがやらないよりはマシだろう。
砂や砂利、時々木炭で下水道を埋め終え、次はスライム汚物処理槽作りにとりかかる。
まず、スライムが溶かしてしまわないように、頑強な床や壁を作る必要があるだろう。
そこに流れてきた水分を、真下にある排水処理槽に落とす構造にする予定なのだが、スライムを落とすわけにはいかない。
スライムの柔軟性を考えると、野球ボールくらいの穴だと入り込んでしまいそうだ。
ということで、床に小さな穴をたくさん開けていこうと思う。
小さすぎて詰まる可能性も当然出てくるので、壁にも小さな穴を開け、水が抜けるようにしておく。
壁の上の方には、大きめの穴を用意しておいて、水が溢れる状況だけは避けられるようにしておこう。
インベントリの中で、床や壁に排水用の小さな穴を無数に開け、『特性』で「保護」したコンクリートの箱のようなものを【クラフト】し、設置する。
そして、トイレからこのスライム処理槽に排泄物を流す排水管を作る。
排水管の太さや流すための角度などは、作りながら試していくしかないか。
陶器の便座を試作してあったが、便座の奥を横から見て「り」のような形にすれば、常に水を溜めておけて、臭いの逆流を防げるとわかったので、【クラフト】し直した。
トイレのタンクがどういう機構で水を止めているのかよくわからないし、考えるのも面倒だし、考えても俺の頭ではわからなさそうだったので、引いてきた水路から常に流れてくるようにして、一定の量を超えたら排水していくようにする。
便座は、プラスチックが作れないので木材で【クラフト】。
魔力を通すことでいい感じの温度に変えられるようにはしてみたが、便座カバーの利用も考えた方がいいかもしれない。
そしてトイレといえば、元日本人として忘れてはいけない機能がある。
お尻を洗浄するためのシャワー機能だ。
コレばっかりはなんとしても組み込まなければならない。
手持ちの『属性』や『特性』を使って、なんとしてでも使えるようにしてやるからな!




