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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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それってアリなんですか

「おう、オウギか」


 リアサのお(とう)――ユーヒが軽く片手を上げる。


「それ、何を包んでるんですか?」


「何だと思う?」


 何歳ですか? いくつに見える? みたいなやり取りをしたい訳では無いんだけど。


 しかし、どうもうねうねと動いているように見える。


「動いてますよね? それ」


「ああ」


「人さらいとかしてないですよね?」


「するわけないだろっ!」


「なにをさらってきたんですか?」


「人聞きの悪い言い方をするな。

 まあ、捕まえてきたことには違いないが」


 やれやれとばかりに首を振るユーヒ。


「ついてくればわかる」


 そう言って歩き出したユーヒに追って進む。


 着いたのは、トイレだった。


 トイレと言っても、皆同じ場所で排泄をしているので、糞尿が一箇所に集まっている、というだけの肥溜めのようなものだが。


 その中にクマの毛皮で包んできたものを投げ入れる。


「スライム?」


「そうだ。こいつに処理してもらおうと思ってな」


 スライムに排泄物の処理をさせるというのは、元の世界のラノベで読んだことがあった気もするが、実際に行われる手段なのか。


 というか、そんなことして大丈夫なのだろうか?


 スライム愛護協会みたいな組織から、スライム虐待とかで訴えられたりしない?


 ――というのは冗談だとしても、適切に処理してくれるのか、抜け出して面倒な事態に陥ったりしないのかなど、気になる要素がいくつかある。


「それってアリなんですか? こんなところに入れやがってと怒って暴れたりしません?」


「俺の知る限りでは問題ない。そこから抜け出すことも不可能だ」


 大丈夫だというのならば、大丈夫なのか?


 俺の方でもっと這い出てこないように改造しておくことも考えよう。


 生きていく上で出てきて当然のものとはいえ、正直、匂いきついしあんまり近づきたくないしなあ。


 しかし、糞尿の処理をスライムがしてくれるというのであれば、一つ悩みが解決するかもしれない。


 畑を作るために水を引いてこようとしているが、ある程度自由に水を利用できるようになったら、水洗トイレも作ろうかと実は考えていた。


 その時に排泄物をどう処理しようかを悩んでいたのだ。


 こういう時の定番は、どこかに集めて肥料に変えるというものだと思うが、寄生虫の問題とかがあって、きちんと手順を踏まなければならなかったと記憶している。


 だが、その正しい手順までは覚えておらず、どんな施設が必要で、どんな物資を使って、どういう作業をすることになるのかわからずにいた。


 いっそ、どこか遠くに埋めてしまうかとか、川に流してしまおうかとも考えたが、流石に問題が出てきそう。


 という感じで、水洗トイレは先送りにするつもりだったのだが、スライムが処理してくれるというのならば別だ。


 スライムが抜け出せない穴を作り、そこに排泄物を流し込むようにするだけでいい。


 とりあえず、このスライム投入がどうなるか次第かな。




 スライムによる排泄物処理が上手くいくのかをしばらく観察しつつ、畑のための準備を進める。


 まずは朝のうちに試験農場に種芋を植えておく。


 すると家に帰る時間には、収穫できるほどに芋が育っているのだ。


 俺の手で受粉させる必要なく芋を増やせるので、その時間で水を探すために掘り進めることができる。


 芋を植え、スライムの様子を見て、穴を掘り、帰りにまたスライムの様子を見て、芋を収穫して家に帰る。


 五日ほど繰り返しているうちに、大量の芋を収穫できた。


 水に関しても、複数箇所湧き出てくる場所を見つけることに成功している。


 今までは穴を掘ったら、崩れないように壁や天井を固めていたが、湧き出てくる水を止めないように、しかし崩落は起こさないようにするのが若干面倒だったりもしたが、きちんと対処できたはずだ。


 あとは水路を作ってこの水を村に引き込めばいい。


 さて、水路を何で作るか。


 竹――かなあ。


 木材でもいいのだが、いずれにしても【クラフト】で加工、補強、保護が必要になって、労力はたいして変わらないはず。


 では何故俺は竹を使いたいと思っているかと言えば、単に水を筒状の管の中を通したいからだ。


 そしてそうしたい理由は特に無く、その方が水道管って感じがするという俺の好みの問題である。

  

 竹を使って普通に作るのならば、半分に割った半円状の、流しそうめんをするような水路にしかならなさそうだが、そこは【クラフト】でなんとでもできる。


 なんとでもできるで言えば、木材で筒状に【クラフト】することだってできるが、やはり気分と好みで選ぶなら竹なのだ。


 竹と決めたら、我が家近くの竹林から資材を調達し、獣人の村までの水路を作る。


 水が湧き出ているトンネルは、村よりも高い位置あるので、徐々に勾配をつけながら竹の水路を設置していき、なるべく水平に近い状態を保つことで、村の中心地まで繋げた際に、地面から数メートルの高さで引いてくることに成功した。


 支える柱をいくつか建てたが、水路が自体が人の行動を妨げるような状況にはならずに済んで良かった。


 村の中心地で垂直に近い角度で水路を下ろし、二つの水の出口を設ける。

 

 一つは、木炭や砂利や植物から採った繊維などを組み合わせた濾過装置を通し、飲用可能な水が出てくるもの。


 もう一つは洗濯などに使えるようにそのまま流れ出てくるものにした。


 当初の目的である農作業に使う水は、もっと手前で水路を分岐させて畑にする予定の場所に流す。


 今現在はまだ作っていないが、トイレと風呂を作ってそちらにも水路を引く予定だ。


 ちなみに、一軒一軒水路を通そうかとも思ったのだが、排水とかを考える面倒になってしまったので、今回は見送った。


 それは時間に余裕ができたらやろうかなあと、思ったり思わなかったり……。結局やらずに放置しそーだなー。

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