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【クラフト】なるスキルをもらって転生しました。  作者: きゆつき


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バッサリと

「オウギ。その前に一つお願いしていい?」


「うん。どうしたの?」


 ゴーレムを落とした穴の中が土埃で見えないうちに終わらせたいとは思ってはいるが、後から見えないようにすることも不可能ではないし、何かしらの憂いがあるのならばそれは断(た)っておくべきだろうとエルルネの言葉に耳を傾ける。

 

「髪を切りたい」


「ん?」


 ん??


「だから、髪を切りたいんだけど」


 かみを切りたい? 神? 紙? いやさすがに髪か。だとしても髪の毛を切りたい? 今?


 いやまあ、生まれ変わったようなものだし、心機一転、気分一新、メンタルリセットのためにも、髪を切るのもありか。


「ちょっと待ってね」


 とりあえず姿見(すがたみ)と鋏、ついでに梳(す)き鋏(ばさみ)とヘアブラシと櫛も【クラフト】して取り出す。


 エルルネの前に姿見を置き、背後に回る。


 気分は理容師、美容師だ――当然免許も資格もなにもないけど。


「肩からバッサリ切ってほしい」


「ちゃんと手入れしてある綺麗な髪だけど、バッサリいっちゃっていいのね?」


「ええ。気分の切り替えもあるし、髪型も髪色も変われば、遠くから見られたくらいで私だとはわからないだろうし」


「なるほどね」


 たしかに、髪色も髪型も変われば、エルルネであるとぱっと見わかりくくなりそうだ。


 そもそも誰かに見つかるようなことは避けるつもりではあるが、何があるかわからないのが世の常だ。


「どうしたのオウギ?」


「いや、他人の髪を切るのは初めてだから、ちょっと身構えちゃって」


「オウギって男の子が気に入るような感じでお願いね」


「……頑張ります」


 まずはエルルネのロングヘアーにヘアブラシをかける。


 一通り髪を梳(と)かした後、ヘアブラシを鋏に持ち替える。


「じゃあいきます」


 ジャキッジャキっと思い切りよく、肩の上辺りでエルルネの髪を切っていく。


 さらに、梳き鋏で毛先をぼかす様に切っていく。


「こんな感じでどうですか?」


 恐る恐る訊ねる。


 頼まれて切っているのだから文句を言われても困るが、とはいえ女性の髪なので、なるべく満足してほしいところだ。


「うん。良いんじゃないかな」


 エルルネは鏡の前で左右に顔を向けながら確認しているが、表情を見る限り不満は無さそうに見える。


「ん。似合ってる」


 リアサが頷く。


「オウギは? どう?」


「うん。似合ってるし可愛いと思う」


 元々の素材が良いので、俺がどう調理しようと可愛くなるのは間違いない。


「……あ、ありがと」


 エルルネと鏡越しに一瞬目が合ったが、すぐ逸らされてしまった。


 一瞬だったが、エルルネの口は嬉しそうに緩んでたような気がする。


 気のせいじゃないことを祈っておこう。


「む?」


「落ち着いたらリアサの髪も整えようか」


「ん。わかった」


「じゃあ今度こそあのゴーレムを倒すか……と思ったけど、先にこれを渡しておかなきゃか」


「うん?」


 持ち手の手前に輪があり、反対側には八面体を引き伸ばして尖らせたものを組み合わせたような構造の、忍者が使う武器である「くない」を【クラフト】する。


 あくまで俺の想像上のものなので、本物がこういう形なのかは知らない。


 実際、持ち手があって先が尖っていればなんでもいいっちゃいいんだが、この辺はロマンというか、それっぽいやつを使った方が強い気がするというだけの話である。


 この「くない」、日本の男の子たちならば狂喜乱舞してくれることだろう。


 女の子は別にそんなことなさそうな上に、忍者の存在しなさそうな異世界の女の子なら、なおのこと興味関心は薄そうか。


 まあ、こいつに関しては時間ができたらエルルネの希望を聞いて、エルルネのテンションが上がるようなものに変えよう。


 今は一旦この「くない」の説明だけしておく。


「これは何?」


「渡したもう一つのスキル、〈影縫い〉を使うためのくないっていう道具だね」 


 炎を生み出すスキルは何も考えずに使えるけど、〈影縫い〉は色々な条件や制約があるので、説明しておくべきだろう。


 まあ、今日はお試しでしか使う感じかな? あのゴーレム軍団は今のところ人を狙わないようだし。


「まずこのくないに魔力を注入」


 当然魔力を溜めやすいように『特性』を付与してある。


「そして、動きを止めたい相手の影を突き刺す」


 影ができるのは大抵、床や壁など固いものになるので、これにも当然突き刺しやすくする『特性』が付与してある。


「手順としてはこれだけだね」


「それで相手の動きが止められるのね」


「うん。いくつか注意点もあるから伝えておくと、まず影に突き刺すスキルだから、影がないと成立しない。

 どんな状況でも影を作れるように、光源となる道具は今度用意するとして――」


 今は自分の手許から光を発する道具しか無いので、壁や天井に投げて貼り付けるタイプのものも【クラフト】しておきたい。

 

「突き刺した影が光の加減によって動いた場合、効果は切れる。

 それと、くないを予め突き刺しておいた場所に相手の影が重なってきても発動しない。罠のように先に手を打っておくことはできないから注意。

 それと、フェン様のような強力な『闇属性』を持つものや、『闇属性』に耐性があるものには効果が無いか、あっても弱いから、これも注意が必要だね」


「わかった」


「おそらくあのゴーレム相手に使う必要はないだろうけど、慣れるために使ってみる感じになるかな?」


「うん。新しい魔力に慣れるためにもやってみる」


「それが良さそうだね」


 〈影縫い〉の説明はこんなところだろう。まあ、説明が必要な、ある意味面倒いスキルを我ながら拵えたもんだ。それだけ俺が――いや、【クラフト】のスキルが成長した結果だ。


 さて、今度こそ他にやっておくことも無くなったはず。


「よし。じゃあ巨大ゴーレム破壊作戦といきますか」

総合評価が200ptを越えました!


読んでくださり、評価やブックマークをしていただいた皆様のおかげです。


本当にありがとうございます!



人気作のもっともっと遥かに多い評価ptにはまったく及びませんが、個人的には一つの目標に届いたと大喜びしております。



そして、今回もお読みいただきありがとうございます!

また次回もお読み頂ければ幸いです。



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