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-278-:圧倒的じゃないか、わが軍は

 VRアンデスィデを終えたクレハたちは、黒玉門前教会を後にした。



 まさか、あの程度の連中に、高砂・飛遊午が苦戦を強いられていたとは…。



 黒側の協力を得て変則ルールを適用する事となり、特別に黒側の盤上戦騎(ディザスター)相手にVRアンデスィデを行う事となった。


 白側は鈴木・くれは駆る爆炎紅龍(フレア・ドラゴン)のボンバートン。クィックフォワードの実のお姉さんだ。


 ちなみに城砦(ルーク)の駒でもある。


 対する黒側はヒデヨシこと山田・疾駆(やまだ・らいだ)駆る骸骨亡者(スケルトン)のキャサリン、ヒデアキこと洲出川・宗郎(すでかわ・むねお)駆る耳翼吸血鬼(チョンチョン)のスグル、ゲンナイこと中松・一世(なかまつ・いっせい)駆る騒暴死霊(ポルターガイスト)のウッズェの兵士(ポーン)3騎。


 駒の強さはもとより、あまりの圧勝ぶりにクレハは思わず。

「圧倒的じゃないか、わが軍は」

 呟いてしまった。


 まさに瞬殺だった。


 ポルターガイストのウッズェだけは、遠隔攻撃端末“ビット”による攻撃能力を、本来のマスターを得て申し分なく発揮するも、開始1分も経たない内に、他の騎体共々、戦闘不能に陥った。


 3騎も出撃しながら、1分以内にすべて倒されてしまったのである。




 フレア・ドラゴンのボンバートンはガンランチャーと同じく砲撃戦主体の騎体であるが、さらに破壊力のある弾丸を保有し、着弾した箇所を跡形も無く吹き飛ばしていた。


 これには盾を持つ騎体であっても、そう長くは持ちこたえらずに、次々と戦闘不能状態へと陥っていった。


「銃身がブレードの対戦車ライフル銃“スマートライフルソードか…厨二心をくすぐる一品だわ、コレ」

 メイン武器が超気に入った様子。


 武器交換をせずとも、瞬時にして射撃戦から近接戦に移行できる代物である。


「コレならロボやツウラも難なく倒せたのになぁ」

 悔やまれてならない。




 クレハはヒューゴたちと別れる事に。


 さすがのノブナガも、一度明智・信長としてキョウコの前に姿を現した以上、もはやチーム戦国のリーダー、ノブナガとして姿を晒す訳にもいかず、今日は姿を現さなかった。


 なので、魔者を持たないキョウコを、ヒューゴが送っていく事となった。


 パーティーの後、消息を絶ったケイジロウと首無し(デュラハン)のジェレミーアたちがいつ何時キョウコを再び襲わないとも限らない。


 それに、あの夜の事は何としてでもキョウコに悟られてはならない。



 クレハが一人歩く道中は、人通りは少ないものの、復興事業に取り掛かるダンプカーが行き交い、騒音と排気ガスがすさまじい。


 喉を傷めそうだ。マスクをしておけば良かったと後悔した。


 静かにバス停で待つ。


 それにしても。


 猪苗代・恐子を送ってゆく高砂・飛遊午の何とも楽しそうな顔。


(タカサゴのヤツ、キョウコちゃんの事、好きだったのかな…)

 キョウコの事を何かと気に掛けていたし、代わりにアンデスィデに参戦するとも宣言していた。


 今日も、彼がキョウコを送って行くと言った時に、一緒に付いて行くとは言い出せなかった。


 何だか、お邪魔虫みたいじゃない。


 そんな気がしてならなかった。


「ノブナガのヤツ、自分が来れないのなら、せめて魔者だけでもキョウコちゃんのボディーガードによこせってんの!」

 手際の悪いノブナガに腹立たしさを感じる。


 今か今かとバスを待っていられずに、道路へと首を伸ばしてバスが来ないかを待ちわびる。


 すると、中学生だろうか?野球のユニフォームを着た少年たちの集団が自転車に乗ってやって来た。


 ダンゴ状態で車道を走っている。


(うわぁ…交通ルールくらい守れよ。一列になって走ってくれなきゃ、走っている車に迷惑でしょうが。しかもここ、ダンプカーが頻繁に通るし…)

 危ないので車道から首を引っ込めた。


 しばらく待つ…。


 ………。


 ………!?ん?


 クレハは再びバス停から車道へと首を伸ばした。


「アレ?」

 野球少年の集団が見当たらない。


 クレハは辺りを見回した。


 お店に立ち寄るにも、彼らのいた場所からバス停まではお店など一つも無いし、入り込む道路すら無い。


 彼らは忽然と姿を消してしまった。


「何で?どうして?」

 再び辺りを見回す。


 おかしい!


 さっきまで、あんなに行き交っていたダンプカーが一台も通り過ぎない。


(これって、まさか!)

 以前、キョウコが襲われた状況と全く同じ。


 首無し(デュラハン)のジェレミーアに襲われたシチュエーションとまるで同じではないか。


「ま、マジか…。で、何で私のところへ来るのよぅ」

 どうすれば、この固有結界から抜け出せるのか?辺りをキョロキョロと見渡すも、出口らしきものは一切見当たらない。


「ハロ~」

 顔半分を隠す反面マスクを被った男性が、バス停に設けられている時刻表の裏から顔を出した。


「ヒィッ!」

 恐ろしさのあまり、声にならない。


 半歩退くのがやっと。


 呼び出す魔者もいない。高砂・飛遊午もいない。


 この状況、紛れも無くピンチだ!


 そしてとうとう、時刻表の裏から、ジェレミーアがその姿を現した。

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