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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[22]聖剣&魔剣
249/351

-240―:そんなバカな連中の言う事なんか無視して、二人で力を合わせて、この危機を乗り越えよう

 


 勝敗を決するのは、やはり数。


 『質より量』と言うように、数に勝る戦力は無い。


 白側:僧正(ビショップ)騎×2騎、兵士(ポーン)騎×1騎に対して、敵は準兵士(ポーン)騎を20騎で押し寄せてくる。


 さらに、兵士に準ずる騎体とはいえ、彼らの防御力はあなどれない。


 オトギのグラムの主兵装であるキャロネード砲は、攻撃力は高いが、発射間隔が4秒と、敵を確実に仕留めるには、接近を求められる。


 タツローのコールブランドは決定力に欠け、敵を確実に仕留められる兵装を持ち合わせていない(あっても、体当たり同然の攻撃を余儀なくされている)。


 クレハは手にするハンドガンを見つめる…。


 これで圧しきるしか手立てはない。


 アクション系ロボゲーでさえ、これほどまでのハードモードを体験したことは無い。


 スゥ~と長く息を吐くと。


「行くよ!オトギちゃん、タツローくん!」

 もはや作戦など立てていられない。


 各々が乱戦に突入した。



 魔導書から実況を眺めるココミは地図画面を開くも、至るところに点在する敵騎の数に圧倒されてしまい、クレハたちに指示を送れずにいた。


 もう、何が何だか。


 そもそも、どうしてこのような状況に陥ってしまったのか?


「はっ!」

 ココミは気付いた。


「皆さん!本体の人狼(ワーウルフ)を探し出して、叩いて下さい!そうすれば、この状況を打破する事が可能です!」

 指示を送るも。


 ロボの周囲は厳重に守りを固められている。


 城門を破るのは困難を極める。


 さらに輪を掛けて。


「どうして先に本体を叩かねえんだよッ!」

 グラムの怒鳴り声。


「貴様の火力なら、この程度のイヌ共、敵ではなかろう!」

 早速コールブランドとグラムがやり合っている。


 今はそんな場合では無いのに。


 まったく気楽なものだ。


 激しい銃撃戦を繰り広げながら、クレハは呆れ返っていた。


 横から口を出す事しか出来ない魔者など、今は邪魔以外の何者でもない。


「クレハさん、3時の方向から敵が降ってきます」

 ガンランチャーは的確に仕事をこなしている。


 しかし。


 敵が降ってくるったって、アレは跳躍した敵が自由落下をしているだけじゃん。


 落ちてくる敵は狙い辛いんだよね…。


 しかも、あのイヌときたら、サーフボードのようにライオットシールドに乗って降下しているものだから、こちらからの攻撃は全部防御してくれるのよ。


 下っ端のくせに知恵が回る事。


 あのイヌは着地させてから叩こう。今は他の敵に当たる。


 市街地を巨大なチェス盤に例えるならば、敵は僚騎を援護しながら駒を進めてくる。


 クレハが身を隠していたビルが、激しい銃撃により削られてしまい、とうとう場所を移さなければならなくなった。


 援護を求めたい…。


 だけど、コールブランドとグラムは。


「ちょ、ちょっと待って!あなた達何をしようとしているの!?」

 二人揃ってロボのいる方角へ向かっている。


 状況を打破したい一心で、二人して本体のロボを叩くつもりでいるのだ。


 だけど、お互いに援護し合ってではなく、オトギが突出してしまい、すでに敵に囲まれた状態にあった。


「オトギちゃん!どこか大きな立体駐車場に隠れてタツローくんと合流を図って。貴女の防御ビットでも、その数の敵を抑えられるのは限界があるよ」

 今は突出し過ぎている事を攻めている状況ではない。彼女に退場されてしまえば後が無い。


 それと。


「タツローくん。貴方もいつまでも低空で敵に追われていないで、一度高高度に離脱して。オトギちゃんを助けたいのなら、急降下急襲とか戦術を変えて敵をかき回して」

 一度会った時も、コールブランドは交差路を通り過ぎていた。


 どうして、同じ高度で戦おうとする?何のための高機動なのか?騎体の特性を活かせ。


 二人はそれぞれクレハの指示に従った。


 さて。


 人の事に気を取られている場合では無い。


 弾を撃ち尽くす前に、隙があればマガジン交換をして、即応射。


 着実に敵の数を減らせてはいるけれど。


 あまりにもペースが遅すぎるぞ。


 残弾数は問題無いけれど。


 オトギとタツローの二人でロボを戦闘不能に追いやって欲しいと願うのは、酷というもの。


 だけど。


「オトギさん。君の力を貸してほしい」

 タツローがオトギに助けを乞うた。


「何を言っていやがる。助けて欲しいのは、こっちの方だ。立体駐車場に逃げ込んだのは良いが、周りから集中砲撃を食らって、いつ建物が崩壊するか、分かったもんじゃねぇ!」

 グラムは即答で拒否。


「貴様は黙っていろ!マスターが助力を求めたのは、貴様のアバズレマスターだろうがぁ!」

「何ですってぇッ!!」

 一言発しようものなら暴発しまくり。挙句、オトギまで言い争いに加わる始末。


「いいから聞いて下さい!オトギさん!このままではジリ貧でいつか皆敵に倒されてしまいます。だから!二つの騎体を融合合体(フュージョン)のカードを使って一つになろう」

 タツローからの提案であったが。


「テメェはバカか!」「マスター、正気ですか?」「一つになるって、敵に的を絞らせるだけよ」

 各々反対意見を述べた。…述べたのはオトギただ独りだった…。


「確かに的は一つになるけれど、今より強くなるのなら、敵の防御を突き破って、本体を叩けるかもしれない」

 あくまでも希望的観測の域を超えてはいないが。


「いいんじゃない」

 クレハはタツローのアイデアを全面的に支持した。


「やりなよ、タツローくん、オトギちゃん。そんなバカな連中の言う事なんか無視して、二人で力を合わせて、この危機を乗り越えよう」


兵士(ポーン)のマスターの分際で!」「誰がバカだ!テメェ!」

 歯軋りしながら罵声を浴びせる事しか出来ない連中の声など、右から左へ。


「いっけぇーッ!」

 二人の背中を押した。


「僕は!」「私は!」


効果魔法(エフェクトマジック)融合合体(フュージョン)のカードの効果を発動!コールブランドとグラムを融合合体させる!」


 双騎が飛び立ち、各々の行く手に幾つもの魔方陣が一列に並ぶ。


 その魔方陣を突き抜けて―。

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