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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[22]聖剣&魔剣
242/351

-233-:随分と手厚い歓迎だな

 叫霊(バンシー)のツウラが光の粒となって完全消滅した後も、クレハは敬礼をしたまま、その場に立ち尽くしていた。


「あの、クレハさぁん。早くロボたちを追わないと…」

 ガンランチャーが声を掛ける。


「あ、ごめん」

 ようやく気付いて、敬礼を解く。


 白側の通信回線を開いた。


「タツローくん、オトギちゃん。そっちは大丈夫?」

 マップ画面を縮小させて空域全体の情報を拾う。


 現在、コールブランドとグラムがいる空域には、敵の数が4騎存在している。ロボの手下たちだ。


 二人は現在、クレハからの呼びかけに応えられないくらいに忙しいのだろう。何の応答も無い。


 単純に2対4の構図。だけど、二人が乗っているのは、カタチはどうであれ僧正(ビジョップ)騎だ。


 何をチンタラ手こずっているのだろう。


 木乃伊(マミー)のアルルカンのチート化を何としてでも阻止したいところだけど、二人を放っておく訳にもいかない。


 重要度としては、圧倒的にアルルカンにあるが、こっちの方は草間・涼馬が対応しているので、まずは大丈夫だろう。


 絶対の信頼を寄せているというワケではないけれど、彼が負ける気がしないのも事実。


 願わくば相討ちしてくれると、後々とても都合が良い。


 

 取り敢えず、タツローたちの援護に向かおう。


 ガンランチャーを発進させた。


 今までいた区域を後にする。


 クレハはふと振り返った。


 叫霊(バンシー)のツウラ…津浦(ツウラ)・アンジェリーナ…。


 彼女が覚悟を示してくれなかったら、あそこまで割り切って敵を討つ事なんて出来なかった。


 彼女には感謝している。


 お墓を建てる気はサラサラ無いけれど。


 ライクを通して“よろしく”と伝えたい。


 高砂・飛遊午には。


 彼に伝えるのは、世間に伝えられる情報だけに留めておこう。


 それが、ツウラにしてやれる、せめてもの恩返し。彼女が魔者だった事は、胸の内に秘めておこう。


 再び敬礼。


「さようなら、津浦さん」





 巨大な繭と化したアルルカンの周りを回りながら、リョーマは様々な機器を介して情報を集めていた。


 しかし、繭はあらゆる測定機器をもってしても、中の様子を探る事ができない。


 一体、中で何が起こっているのか?ナゾだ。


 アルルカンをすっぽりと覆っている繭は、ヒューゴ駆るクィックフォワードを捕えた“剣の檻(ソードケージ)”と同様に、包帯そのものを硬質化させて、完全防御を図っている。


 現在、魔力の消耗が激しいダナでは、野太刀で斬り付けても、繭は破れないだろうし、逆に野太刀が折れてしまう可能性がある。


 幸い民家などは近くに無いので、火器装備を召喚して攻撃するか…。だけど、この強固な防御力を破るのは骨が折れそうだ。


 繭の周囲に、幾つか魔方陣が浮かび上がった。


 ある者は魔方陣から浮き出て来て、ある者は魔方陣から降り立って、姿を現した。


 ダナを取り囲むようにして現れた、敵の数は7騎。


 それぞれ機動隊が装備しているライオットシールドを左手に防備を固めて、各々違う武器を装備している。


 どれも、姿は似たようなものではあるが、すべて異なるイヌの頭をしている。


「7騎か…随分と手厚い歓迎だな」

 田園地域には避難勧告は布かれていない。無暗に戦火を広げる訳にはいかず、不本意ではあるが、ここは一旦、繭は放っておいて、このイヌ共に対処しなくては。


「ダナ!武器召喚だ。殲滅戦兵装(ファランクスパック)を頼む」

 リョーマの指示と同時に、ダナの体の至る所に青色の魔方陣が展開、回転を終えると、両腕にガトリングガン、背中と両脚に追加ブースターを装備。


 1分間に7000発を発射するガトリングガン×2丁で敵の殲滅に取り掛かる。





 御陵・御伽(みささぎ・おとぎ)はグラムを低空飛行させて、ビル林を縫うようにして、迫りくるイヌ頭たちを振り切っていた。


 だけど、次々と現れる敵に、徐々にではあるが、逃げ場を狭められつつあった。


「オトギ!次の交差点で、さっき振り切った敵と出くわしてしまうぞ。交差点には行かずに、ここらで上昇した方が」

 グラムが助言するも、オトギは左手の(カマ)で地面を削りながら180ターン&急停止。そして即、追ってくるチワワに向かって砲撃を加える。


 グラムのキャロネード砲をライオットシールドで防ぐチワワであったが、瞬く間にカマによって両足を断たれてしまい、地面に落下した。


 チワワは追撃不可能に陥った。


「畏れ入ったな…オトギ。お前がここま武闘派だったとは」

 オトギはグラムの助言を聞く事無く、反撃する事で敵の追撃をかわしていた。


「褒めても何も出ないわよ、グラム。それよりも敵の位置情報を」

 情報を求めながら、オトギはパイロットスーツの胸元を少しだけ開いた。


 激しい戦闘が続いて、パイロットスーツの中が蒸れてきたのだ。


「それと、もう少しだけ冷房を強くして頂けるかしら?もう暑くて」

  開いた襟元を引っ張って、冷えた空気を服中へと取り入れる。


「な、なぁオトギ。もう少しだけスーツのファスナーを上げてくれないか」のグラムの言葉に、「ん?」オトギは不思議そうに天井を見やった。


「胸の谷間が眩しいんだよ」

 グラムの言葉に、思わず体を捻って、どこからとも分からない視線を遮る。



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