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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[22]聖剣&魔剣
234/351

-225-:ずぅっとお尻を追い掛けられて、随分と敵に御好かれのご様子

 コールブランドの武装は。


 頭部下に付いている6連装20mmバルカン砲と、尻尾の先が薙刀になっているくらい。


 ナギナタは強力な武器なのだが、付いている部位に問題を抱えており、とても扱い難く、バルカン砲に頼るしかない。


 結果、格闘戦闘機のような戦いを強いられていた。


 だけど。


 コールブランドに追従するように浮遊しているオプション火器が、割り振りポイントの多くを割いているのだと、この際、納得するしかない。


(コイツはまるでシューティングゲームの自機のようだ)

 バルカン砲を発射すれば、オプション火器も同時に攻撃をしてくれる。ただし、同じ目標に対してのみ。


 それにしても、このコールブランドという龍…。


 話に聞くに、人間の姿でも十分、盤上戦騎と渡り合えたのではないか?


 盤上戦騎になって、むしろ弱体化しているように思えてならない。



 そんな事よりも。



 誰かと合流して、協力して敵の数を減らすのが得策だ。


 地図に、皆の現在地を表示させた。


 一番近いのはクレハ駆るガンランチャー。だけど。


 現在、ステルスシートで身を隠して敵をやり過ごしているから、来ないで欲しいとの事。



 リョーマに訊ねようものなら、大人しく隠れていろとドヤされるのがオチだ。



 最も離れているオトギと合流する事に決めた。


 彼女のグラムは、現在敵と交戦中。


 実際のところ、逃げ回っているだけだが、数で敵を圧倒したら状況をひっくり返せるかもしれない。


 後ろへと畳んでいた翼を展開、コールブランドを発進させた。


 パチンコ店の立体駐車場から飛び立つコールブランド。


 例え敵に見つかったとしても、コールブランドは最大速力に割り振りポイントの多くを割いている。逃げ切る自身はある!


 早速、後方に敵盤上戦騎が現れた。


 敵の騎体から放たれる銃撃が火線として空に描かれる。


 カン!カン!


 敵の攻撃が脚に直撃。だけど、計上されたダメージ数は微々たるものだった。


 ビショップ騎でありながら、ほぼ上半身しか無いコールブランドの装甲防御力は比較的高い方である。


 だけど、コンマ以下の数値しかダメージが計上されないとなると、どうやら敵の火力は、とても低いものだと断言できる。それに。


 フルスロットルでもないのに、みるみる内に敵を引き離してゆく。


「随分と諦めの早い敵ですね、マスター」

 肩透かしを食らったと言わんばかりに、ため息交じりにコールブランドが報告した。


 その割には、未だにこちらに向かって飛んでいる。彼女の言う“諦めの早い敵”ならば、さっさと方位を変えているはずだ。

 


 向かう先の空域では、絶えず空に火線が描かれている。


 砲火が飛び交う様子は無い。一方的に撃たれているカタチだ。


「行くぞ、コールブランド!」

 告げて、スロットルを上げる。


 グラムを追い続ける敵の姿を捉えた!


「あれ?僕たちを追っていた敵と同じだ」

 不思議なコトに、敵の姿は全く同じ。持っている武器も右手に刀の根元に銃身の付いたガンソード、左腕には警察などが使用している“ライオットシールド”を装備している。


 だけど、頭部は同じイヌ頭でも、ドーベルマン顔。さっきまでコールブランドをしつこく追い回していた敵はボクサー犬の顔をしていた。


 違いはともかく、ドーベルマン頭をロックオン!トリガーに指を掛けた、その時。


 突然目の前に、今度はプードル頭の敵が現れた!


 今度の敵は肩にロケット砲を担いでいる。


 プードル頭が、コールブランドに向けてロケット砲を発射した。


 放たれたロケット弾を軸に、らせん状にこれを躱す。お返しに6連装バルカンを叩き込む。


 6つの銃口から放たれるバルカン弾。


 プードルの腕を脚を削りに削って、ついにあらゆる箇所から爆発が起こり、墜落していった。


 堕ちて行くプードルを目で追いながら、ただひたすら敵が死んでいない事を祈るタツローであった。


 しかし!気を落としている場合ではない。


 本当に倒さなければならないのは、ドーベルマン頭だ。


「オトギさん!助けに来たよ!」

 通信を入れる。


「タツローくん!どうしてここへ?貴方は私が守ると言ったはずでしょう」

 驚いた様子でオトギが訊ねた。が。


「それができていないから、我がマスターが助けに参られたのでしょう!」

 戦いの中、敵を余所に要らぬ火花を散らす地雷女。


 地雷女はさらに勝ち誇ったように。


「先程から拝見させて頂きましたところ、ずぅっとお尻を追い掛けられて、随分と敵に御好かれのご様子」

 通信モニターの先から聞こえる二人分の舌打ちに、タツローは胃が痛くなってきた。


「タツローくん・・」

 オトギが唸るような声でタツローの名を呼んだ「は、はい!」


「さっきから変なのよ。敵はどういうつもりか?いつの間にか私たちの後ろを取っては、コロコロと頭を変えているの。今はドーベルマンだけど、最初はアフガンハウンドだったのよ」

 からかわれているものと思い込み、オトギは苛立ちを隠せずにいた。


 彼女の話を聞く内に、タツローの顔は見る見る内に青ざめて行く。


「オ、オトギさん・・。敵の頭が変わるって、今までどれだけの種類に変わったか、覚えていますか?」

 ガクガクと唇を震わせながらオトギに訊ねる。


 返ってきた答えは。


「途中から数えるのを止めてしまったけれど、くっ!このぉ!」

 答える最中、体を右へと傾けて、敵の攻撃を躱す。


 その間、彼女の胸は、慣性によって、しっかりと揺れている。


「あ、あの・・オトギさん?」

 なおも必死に敵の攻撃を躱し続けながら。


「8つはあったかしら」

 衝撃の答えが返ってきた。


「や、8つ!?」

 繰り返すタツローの声はしっかりと裏返っていた。




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