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-198-:私は貴女を守る騎士

 ミサキは、すっかり浮かれてしまっていた自身を戒めた。


 口から束ねたリボンを吐き出して、差すような眼差しを男性に向ける。


「それがアナタの目的だったのね!」

 睨み付ける。


「目的と言うか、これは手段だ。この窮地を乗り越える手段なのだ。だから」

 否定しない男性の顔に、思いっきり平手打ちを食らわせる。


 パシィーンッ!!


 男性が驚いた表情を見せたまま固まった。


「さっさと私を下しなさい!」

 強い口調で言い放つ。もはや命令。


 だけど、男性の目に怒りが宿ると、ミサキは怖気づいてしまい、それ以上強い態度に出られなくなってしまった。


 ただ、精一杯強く見せようと睨み返すだけ。


「な、何なのよ…睨んだって、わ、私!恐くないんだから!」

 震える声で言い放つ。


 遠くから「ヒャッハァ~」追跡者の声が聞こえてきた。


「どうせ、あの男もアナタとグルなんでしょう?分かっているんだから。早く下して」

 ミサキの言葉に男性は振り返り、遠くから迫りくる男の姿を確認した。


「感情に任せるのなら―」

 告げながらミサキへと顔を向ける。


「己の感情に任せるのなら、君を下せばお互いに気が済むだろう」

 言いつつ、未だにミサキを下す素振りを見せない。


 そんな彼に、ミサキはとうとう実力行使に出て、彼の胸に手を当てて押し離そうと試みる。


 男性が続ける。


「だけど、道場で戦っている高砂・飛遊午や、大勢の人たちを守なければならないベルタの二人に負担を掛けたままでは、やがて二人は敵に倒されてしまう」


 男性の言っている事は、頭から意味不明だけど、ヒューゴの名前が出た事に、ミサキは彼の話を少しは聞いてみようという気になった。「高砂くんが?」訊ねた。


「私は彼と契約して、常に彼から霊力という力を提供されている。それはベルタも同じ。つまり高砂・飛遊午は二重契約を結んでしまっているために、彼に掛かる負担は、その命さえも脅かしているんだ」

 この時点で、男性の言っている“契約”なるものが、『お金』が絡むものではないと理解した。


 ミサキは安心すると同時に、ヒューゴの命に係わる事案である事を知る。


「そして、今迫っている危機から脱するためにも―」「分かったわ」

 全てを説明し終える前に、ミサキは承諾した。


「つまり、高砂くんの命の負担を減らすと同時に、あの変態野郎をブッ倒せるという事ね。私、アナタと契約するわ」

 男性を押していた手を、そっと離した。


 男性はミサキを下すなり、スマホを取り出した。


 画面を立ち上げて、何やらフリックさせている。「開いた」と呟くと、スマホ画面をミサキに提示した。


「画面に表示されているQRコードを読み取ってアプリを開いてくれ」

 こんなデジタルな方法で!?ミサキは驚きつつも、男性が強く頷いて見せたので、疑いの眼差しを向けつつもスマホを取り出してQRコードを読み取らせた。


 あとは画面の指示に従って、パーソナルデータを入力してゆく。


 ―ご契約ありがとうございました―


 最後に表示されて男性へと顔を向けると。


 男性の長い髪が、銀色掛かった金髪から、より金色を増した金髪へと変化を遂げた。そして若干ではあるが、血色も良くなった模様。


 男性がスマホ画面に目をやった。そして画面に人差し指を当てる。


「これで負けたら承知しないからな、高砂・飛遊午」

 呟きながら、“契約解除しますか?YES/NO”のYESキーを押して、晴れて契約を解除した。


 男性が立ち上がり、追跡者へと向き直った。


 すると、男性の左腕に魔方陣が展開されて…男性の腕に装着されたのは、何と!今まで見た事も無い盾なのか?剣なのか?はたまた籠手なのか?槍なのか?ゴチャゴチャしたモノであった。


 奇妙な装備に唖然としながら、ミサキは男性に訊ねた。


「わ、私は竜崎・海咲(りゅうざき・みさき)!貴方は誰?」


 男性は、迫りくる敵から目を逸らす事無く「私は貴女を守る騎士、クィックフォワード。突風翼竜(ガストドレイク)のクィックフォワード」

 名乗ったかと思えば、風のように駆け抜けて迫る敵に向かって猛ダッシュ!



 その突撃力はすさまじく、まるでボウリングのストライクを決めたかのように、敵をはね飛ばしてしまった。


 そんな彼の雄姿をミサキは、顔を染めながらも爽快感が胸をが突き抜けてゆくのを感じた。





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