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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[14]騎士と兵士
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-142-:もう遅い!

「そんな…」

 クレハは、愕然とするココミに顔の前で手を振って見せるも、彼女の表情は変わらなかった。


 見えているのに反応しない…。


「どしたの?」

 訊ねてみるも、やはり何も答えてくれない。


 両手でココミの肩を掴んで前後に揺さぶる。

「ココミちゃん!しっかりして!」


 ようやく、ハッと我を取り戻したココミは、「な、何ですか?クレハさん」訊ねてきた。


「いや、訊いているのは、私の方だよ。何でクィックフォワードが両膝から煙を上げているのよ?」


「彼はベルタさんと違うから…です…」

 ココミの答えにクレハは「さっぱり意味が分からん」即答した。


「関節強度が低いせいで、無茶な機動に耐えられなかったのです。つまり自滅してしまったのです」


 非常に理解に苦しむ理由を述べられた。


 つまり、どういうコト?


 クレハなりに考えを巡らせる。


 航空機でも、急降下から急上昇を行うと空中分解してしまう。アレかな…。

 それとも、自転車そ全速力で走らせて、カーブを曲がり損ねえる…イヤ、それは単なる操作ミスでしょう…。


 頭の中で独りノリツッコミ。



「あ~ら、一人で勝手にダメージを負っているおバカさん」

 アルルカンがホホホと笑って見せた。


「黙れ!」「黙れ!」

 ヒューゴ、クィックフォワード揃って声をハモらせて全力否定。


「に、しても。もう、これ以上無茶な回避はできないぞ。高砂・飛遊午」

 声を潜ませヒューゴに伝える。


 すると、アルルカンが再び高らかに笑って。


「ぜーんぶ丸聞こえなんだよッ!ちょこまかと動けなくなったら、こっちのモンよ」

 アルルカンの全身に装備されている全てのドラムリール上に茶色の魔方陣が現れてグルグルと回転を始めた。


 この展開は!


「マズいぞ。高砂・飛遊午!ヤツは攻撃魔法(アタック・マジック)を使ってくるつもりだ」

 盾防御しつつ全速後退!しかし。


「もう遅い!お前らはすでに!囚われの小鳥ちゃんなのよッ!!」

 全身の包帯(アクティブバンテージを一気に放出!しかも全てが地面に突き刺さり、なおも放出中。


 さらに。


 アルルカンの背中から何本かの包帯が飛び出して、クィックフォワードの頭上を通過!上空への退避路を塞がれてしまった。


「コイツ!まさか」

 ヒューゴは攻撃魔法の正体にいち早く気付くと、パタで地面を斬りつけた。だが。


攻撃魔法(アタック・マジック)!!剣の檻(ソードケージ)!!」

 アルルカンの叫びと共に、地中から幾本もの包帯が一気に突き出て来て“檻”を形成した。


 ヒューゴが斬りつけた包帯は、今までと違い、「キンッ!」斬りつけても一切萎える事はなく、剣のように頑丈なままだ。


 間を置かずして、アームライフルの弾を叩き込む。

 だが、ビクともしない。


 すると突然、クィックフォワードに“面”を見せていた包帯たちは、一斉に側面、すなわち鋭利な刃部を向けた。



「何を…一体彼は何をするつもりなの!?」

 魔導書を通してではなく、リアルに眼前に広がる光景を、ココミは目を見開いて見つめている。


「今から、小うるさい小鳥ちゃんを細切れにして差し上げるのよ~」


 今まさに、凄惨な光景が繰り広げられようとしていた。

 


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