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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[14]騎士と兵士
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-139-:モテる男はつらいぜ


 警戒すべきは、後方のアルルカンのみ!


 前方のウッズェには火器らしきモノが一切見えない。


 後ろから襲い来る幾本もの包帯攻撃を、バックモニターとバックミラーで確認しながらスイスイとよけて、なおも突き進む。


「クキィーッ!アタシのアクティブバンテージ(包帯の事)をこうもよけまくってくれるなんて!!」

 とうとうヒスを起こしやがった。


 しかも、クィクフォワードは一切アルルカンへと顔を向ける事もしない。

 それが、アルルカン本人の気に障ったのだろう。


「マサムネ!アタシ、アイツらが許せない!」

 激昂するあまり、マスターの名前をも口走った。

 とはいえ、彼が口を滑らせたところで、チーム戦国(センゴク)のメンバーはコードネームで呼び合っているので、結局のところ彼が誰なのか?さっぱり分からない。


 そんな事は放っておいて。


 クィックフォワードご自慢の速度を加えて籠手剣(パタ)の斬撃をウッズェに食らわせる!


 勢いに乗せて振り下ろされた剣をガンッ!、ウッズェは左腕で受け止めた。


(カタ)い!」

 怯むも、即座にバックハンドで再度攻撃。ガンッ!

 さらに時計回りに駒回転して、今度はランタンシールドに備え付けられた剣で再度バックハンドで斬りつける!


 ……も。


「コイツ…」


 パタの攻撃は見事に腕で受け止められた。とても頑丈な装甲をしている。


 そして。


 ランタンシールドの剣撃を、ウッズェは3本しかない指の腹で受け止めていた。

「指で攻撃を!?コイツ、指があったのか?」

 クィックフォワードも驚きを隠せない。


 てっきり腕そのものがカナヅチとミキサーになっているものとばかり思っていたが、実は2つとも袖の先に付いているモノだ。


 とんでもない防御力。


 ウッズェの右腕が右腕を振り上げた。カナヅチで殴りつけてくるつもりだ。


 咄嗟にヒューゴはウッズェの顔面を蹴り付けるも、反動で飛ばされたのはクィックフォワードの方だった。


「コイツ、やっぱり重い…」


 チッ!


 相変わらず気持ちの良いものではない舌打ちを聞きながら、ヒューゴはウッズェに対する評価を再考する必要があると感じた。

 それはクィックフォワードも同感であった。



 1:見た目は鈍重、でもやっぱりそこは変化なし。


 2:連撃を繰り出したのに、その全てを受け切った。

   遅いのは移動能力のみで、近接戦では通常かそれ以上のスピードを有している。


 3:やっぱりカタい。それも予想以上にスゴく。



「どこを壊せば60パーセント以上になる?…」

 ウッズェの見た目から弱点を探る。


「そもそも破壊できるのか?」

 クィックフォワードも、同じく考えを巡らせている。


 そんな彼らをあざ笑うかのように、ウッズェの左腕のミキサーを回転させて、シンシアが高らかに笑った。


「散々私をナメくさった罰だ。コイツでここの生徒らをミンチにしてブチまけてやるッ!!」




「スゴイこと言っちゃってる…」

 間近で見る盤上戦騎(ディザスター)の戦いに、クレハは以外にも冷静さを保っていた。


 もう慣れたのかもしれない。



 それにしても。


 想像しただけでゾッとする台詞を吐いてくれる。


「タカサゴ!そいつの体のあちこちに“継ぎ目”らしいものが見えるよ。そこなら剣が通るかも」

 ココミの魔導書を通じて通信を送る。



 学園に向けて勢いよく走り出したウッズェを追ってクィックフォワードを飛翔させると、すぐさまウッズェ上空に位置。そこから一気に急降下で接近!まずは両肩の継ぎ目にパタの突きを食らわせる。


 さっきまで岩を叩いていたかのような反動はなく、ミシ…と非常に薄いが剣が通った感触があった。


「コレなら」

 期待できる。が。


 幾本ものアクティブバンテージが左方より襲い掛かってきた。


 咄嗟にウッズェの影へと回り込み盾とする。


 ウッズェの体に当たり四散してゆくアクティブバンテージ。



「いいのかしら?アナタたち。私を無視すると」


 学園の象徴とも言える時計塔へと腕を向けると、一本の包帯を射出!時計盤を破壊した。


「ったく…。モテる男はつらいぜ」

 舌打ちしながら悪態をつく。



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