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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[13] ミドルゲームスタート!!
129/351

-124-:草間・涼馬だ

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 少しばかり時間を遡り―。



 いくら待てども、一向に通学路に姿を現さない高砂・飛遊午にしびれを切らした草間・涼馬は、仕方なく高砂邸前までやってきた。


 今日は病気だろうか?


 少しばかり心配になる。


 インターホンを押しても……反応はナシ。


 玄関の引き戸に手を掛けるも、鍵が掛かっているじゃないか!


 2、3歩下がって、2階の窓を見やるも、気配は感じられず。…留守だ。


 何て事だ…。


「ふっ。まんまとしてやられたな。この僕とした事が」

 すっかりと騙されてしまった自身に苦笑した。


 さて。


 仕方が無い。大人しく学校へ行くとするか。


 マウンテンバイクに跨った瞬間、マウンテンバイクの後輪が浮く感覚が。


 構わず大地を蹴って前進を試みるも、マウンテンバイクは一向に前進してくれない。


「何がどうなっている!」

 振り向くと。


「チョイ。チョイ待ちや」

 髪をツインテールに結った少女が、後輪部分を掴んで持ち上げていた。しかも片手だけで!?


「何をやっているんだ?君は」

 少女に訊ねるも。


「逃げられへんように掴んどるだけや。気ィ悪ぅせんといて」

 掴まれている時点で、もの凄く腹立たしい。


「どこの中学生だ?こんな事をして、何が楽しい?」

 憤慨して見せるも。


「楽しゅうてやってるワケやない。チョイとお兄さんにウチらの話を聞いてもらいたいだけなんや」


「こんな笑えないイタズラをされて、大人しく話を聞くとでも思っているのか?」

 話をする気なんてサラサラ無い。

 この手が離れた瞬間に、一気に走り抜けてやろうと画策していた。


 そんな魂胆は少女に見透かされており。


「手ぇ放した瞬間に逃げ出すつもりやろ?そうは問屋が卸さへん」

 ことごとく腹立たしい。リョーマは中指で眼鏡をクィッと上げた。


「これほどまでに人様のジャマをしてまで、聞いて欲しい話とは何だ?」

 折れたつもりは無い。あくまでも逃げ出すチャンスをうかがう。


 すると、少女の傍らに、ようやくたどり着いた小柄な女性がリョーマに会釈して見せた。

 彼女は、大きな本を両手に抱えていた。


 少し、息を切らせながら。


「ふぅぅ。はぁ、始めましてぇ、私、ココミ・コロネ・ドラコットと申します」



 叫霊(バンシー)のツウラが言っていたココミ様のお出ましだ。


 ようやくと言おうか、これほどまでに人様の邪魔をしておいてと言おうか、とにかく、普通に声を掛ける配慮は持ち合わせていないのか?この連中は。


「なかなか立派なモノをお持ちのようで」

 いきなりのココミの物言いに。


 もう少し、さりげない会話の入り方は思いつかないのか?

 高砂・飛遊午は、こんな礼儀知らずな連中に加担しているのか?


 彼の人間性を疑う。


 取り敢えず……。


 マウンテンバイクから降りた。

 しかし、決してハンドルからは手を離さない。


 隙あらば、颯爽とサドルに跨り、一気にこの場から走り去ってやる。


 しかし、そうは事が上手く行くはずもなく。


 ツインテールの少女は未だに後輪を掴んだまま。


(コイツ…)

 少女の見かけに惑わされていた自身に腹立たしさを覚える。


「仕方が無いな。話を聞こうか。ココミ・コロネ・ドラコット」

 事情を知らないよりは、知っておいても損は無いだろうと踏んで、取り敢えず話を聞くことにした。


「では、貴方様のお名前をお教え願えないでしょうか?」

 他人様を捕まえておいて、名前さえもリサーチしていなかったのか?


「草間・涼馬だ」


「?」少女は首を傾げると「それだけですか?ヒューゴさんたちとは制服が異なるようですが」

 この少女は自分が高砂・飛遊午と顔見知りなのは存じているらしい。

 随分と、中途半端なリサーチをしてくれるものだ。


「城塞西高校の草間・涼馬。これでいいかな」

 中指で眼鏡を押し上げる。


「では、貴方様の隣にいる、この子はルーティ。先程から大変ご迷惑をお掛けしましたが、どうか、気を悪くなさらないで下さい」

 言ってくれるが、現在進行形でご迷惑を被っている。


「では、お急ぎのようなので、手短に用件をお伝え致します」

 分かっていて、この調子なのか!?


 あきれ果てている最中、ココミは手にする本を広げて見せた。


 白紙のページから浮き出る市松模様。


 そして、盤上に展開するチェスの駒たち。


「あらまぁ。まったく驚かれないのですね?」

 見下した出ような眼差しで本を眺めるリョーマに、ココミの方が驚いて見せた。


「お前…リアクション薄いのぉ」

 告げるルーティに。


「いいから、さっさと話を進めろ!」

 情け容赦なく、ココミたちに説明を続けるよう求めた。


















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