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盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[11] 迫撃!トリプルポーン
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-109-:タカサゴに何かあったら、ゼッタイにアンタをブチ殺す!

 クロックアップを発動させてからの、猛チャージを仕掛けてきたカムロの脚が急激に鈍った。 



 一体、彼らに何が起こった?



「マサノリ様!いい加減にして頂けませんか!」

 あの冷静なウォーフィールドがついに声を荒げた。彼は何に怒っているのか?


「わずか10秒しか息を止めていられないなんて、小さな子供でももう少し我慢をしてくれますよ!」


 オープン回線でカナヅチと告白していたが、それにしてもヒドイなと感じる。

 たった10秒しか息を止められていられないとは。


「貴方には失望しましたよ。こんなに情けないマスターは他には『それ以上は止めなッ!』―」

 オープン回線である事に気づいていないのか?内輪もめを始めやがった。


「マサノリはね・・アタイのマスターはねッ、一度海で溺れて死にかけているんだよ!アンタの中にも(・・・)そんなヤツが一人くらいはいるだろう?トラウマを抱えたヤツがさ」


 彼らの会話の中に、ところどころ引っ掛かる部分があるのだが。


 ウォーフィールドの中に他の誰かがいる?一人くらい(・・・・・)だって?


「マスターが今日、この東尋坊を訪れた理由は、そのトラウマを克服するためだったんだよ。海で溺れて死にかけた者が、再び海に向き合う事がどれほど大変な事なのか、解るかい?」


 待て待て。


 トラウマ持ちが、いきなり荒波が打ち付ける東尋坊に立つなんて、荒治療にも程があるぞ。せめて、砂浜から徐々に海に近づていきなさいよ、とアドバイスを送りたい。


「今のマスターは、これが精一杯なんだよ。大目に見てやってくれとは言わないけれど、彼の努力を無下にしないでやってくれないかい」

 敵のクロックアップ時間の短さを、ツイてると気楽に喜んでいた自らを反省するベルタとヒューゴであった。


「ウォーフィールド。分かってくれないかい?誰もがアンタたち(・・)のように達人ばかり(・・・)じゃないんだよ。槍の達人“貫きのステッチャー”や格闘技の達人“ヴォルト”や他の達人以外の連中の中にもアタイのマスターみたいなヤツがきっといるはずだよ」



 いま何て言った!?



 違う名前が出て来たぞ。しかも『ばかり』じゃないって何だ?




「今、彼女、“ヴォルト”の名前を出しましたね」

 驚いた表情を見せながら、ココミがルーティに訊ねた。


「ああ、言いよったな。それがどないかしたん?」

 名前に聞き覚えは無いようだが、確かにハッキリとヴォルトの名前は聞いた様子。


「その名前―」

 説明に入ろうとした、その時!


 バン!と勢いよく教会の扉が開かれた。

 そこにはずぶ濡れ姿の“鈴木くれは”が立っていた。


「どうして!どうして、タカサゴを再び巻き込んだりしているのよッ!アンタたち!」

 ツカツカと肩を怒らせて歩みながら、ココミの下へと寄る。


 そしてココミの襟を掴むと。


「タカサゴに何かあったら、ゼッタイにアンタをブチ殺す!」

 脅しに掛かるクレハの眼は血走っていた。


「穏やかじゃないね、クレハ」

 傍に座るライク・スティール・ドラコーンがなだめるような優しい声でクレハに告げた。



 すると。



 クレハはココミを解放すると、今度は少年のまだ細い首を右手で掴み上げてそのまま立ち上がらせた。


「こんな馬鹿げた戦いを今すぐに止めさせて。これは命令よ!さもなければ」

 クレハの手に力が込められる。


「クレハさん、止めて下さい!ライクを殺してもアンデスィデは止められません。それに、ライクは、いや、私もこの世界では不死身なのです。だから彼を脅しても、盤上戦騎(ディザスター)を撤退距離まで退かせてはくれません」


 短絡的な行動に出てしまったクレハの説得を試みるも、クレハはライクの首から手を離そうとしない。むしろ、その手にさらに力が込められつつある。


「そんなの、やってみなくちゃ分からないじゃない!」


 説得は失敗に終わった。だが。


 幾本もの包帯らしきものがクレハに向けて放たれ、彼女の両手、両腕それに首に両太腿両足首に巻き付いて捕えてしまった。


 捕えられただけでなく、そのまま空中へと掲げ上げられてしまった。


「な、何なの?コレ」


 包帯の行き着く先は全て同じ所に。


 そこには夏を迎えようとするこの季節に、トレンチコートをまとった手足を包帯で巻き付けた体格からして男性の姿があった。


「とても良い眺めだわ」


 女言葉を使いつつ、クレハの体を仰向けに、さらに両脚を力ずくで開かせて今にも引き裂かんとしていた。


「うぅぐあぁぁ」

 抵抗を試みるも、まさに手足を引き裂きの刑に処せられている状況、あまりの痛みに悲鳴すら上げられない。




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