表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盤上の兵たちは最強を誇るドラゴン種…なんだけどさ  作者: ひるま
[11] 迫撃!トリプルポーン
110/351

-105-:黙ってないで何か言ってよ!

「ダメージだと!?ベルタ、一体何をされた!?」


 敵騎は正面。しかし、背後からダメージを被った。


 コクピット内に設けられたサイドミラーや、後方モニターに目をやるも、何も映ってはいない。


 一体、何をされたのだ?



「今日はツイていると思ったのにねぇ」

 アラートが鳴る中、聞こえてきたのは残念がるカムロの声。


 カムロへと目を戻す。

 どういう事だ!?


 カムロが手にする三又槍の先には、ベルタのハンドチェーンガンが突き刺さっていた。


 背中のウェポンラックに掛けていたはずのハンドチェーンガンがどうして?


 突き刺さっていたハンドチェーンガンを振り飛ばすと、またもや三又槍の先端部が青白く光り出した。


 カムロが再び突きの構えに入り―。



 ガンッ!!


 またもや衝撃!


 今度は左脚の(すね)部分に真横から刺突攻撃を受けた。

 幸い、ベルタの脛部分は足首から延びた装甲なので、脚本体にはダメージは届いていない。



 何ィィ、今度は違う方向からの攻撃だと!?



 考えられる事は。


「アイツ、もしかして座標指定攻撃を仕掛けて来たのか?」

 遠く離れた相手にも任意の座標に攻撃を仕掛ける、まさに空想上の攻撃手段。

 マンガなどでは使い古された手段ではあるけれど。


 急に音楽がコクピット内に鳴り響いた。


 ヒューゴのスマホの着信音楽が鳴ったのだ。


 相手は“鈴木くれは”。

 状況は片時も気を抜くことは許されないが、とにかく電話に出よう。


「どうした?スズキ」


「どうしたも、こうしたも無いでしょ!!」

 電話に出るなり、いきなりの怒鳴り声。


「男子に聞いたんだから!タカサゴが屋上に向かいながら電話をしていたって。タカサゴの事だから、アンデスィデの要請が来たから参戦しているんでしょ!?」

 それはそうなのだが。一切反論は致しません。


「黙ってないで何か言ってよ!」

 つかの間の沈黙も許さない。


「ゴメンな。スズキ。今、手が離せないから、これで切るわ『いい加減にしてッ!!』」

 電話の向こうの相手は切る事さえも許してくれない。


 その声は次第に涙声へと変わりつつ。


「タカサゴのバカ!私にだって解るんだからねッ!3対1の無茶な戦いをしている事くらい。今、天馬教会に向かっているから、それまで無茶しないでいてよね!」

 告げて、クレハの方からの電話は切られた。




 雨が降り出した中、クレハは傘も差さずに、外履きのブーツに履き替えることさえもせずに校内履きのスニーカーのまま学園を飛び出し、天馬教会へと向かって走った。


 校門なんざ、直接通らなければ何の問題も無い。

 垂直に立つ塀を一歩踏み台にして駆け上がり、よじ登る。


 飛び降りた拍子に両手を地面に着こうが気にも留めない。



 再び天馬教会めざして走り出す。


 顔を打つ雨粒と両眼から流れ出る涙との区別がつかないくらい、顔をぐしゃぐしゃにして。




 ベルタを取り囲む、降りしきる雨はさらに激しさを増していた。


 座標指定攻撃を避ける方法は、ただひとつ。



 絶えず動き回ること。



 絶対に動きを止めてはならない。ひたすら動き回るしかない。


 そんな中。


 劣勢を強いられ、幾度となく回避を余儀なくされたベルタの回避運動推力はもう、底を尽きようとしていた…。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ