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「俺の手にも普通に余るんですよ」



「煉牙ー、課題全然わかんない―!」

「あっ、五十嵐。さっき水都が新しい魔法試したいって探してたぜ」

「五十嵐くん、この問題教えて欲しいんだけど」

「五十嵐、あくあがやらかした!」

「十六夜の学科の方なんだがもう少しどうにかならないか?」

「五十嵐頼む。水都の件はお前だけが頼りだ」

「あっ、レンゲくん!良い所に!」

「そういえば今回のテストの模範解答はお前の答案だから」

「五十嵐、十六夜ギリギリアウトで赤点だったから補習な」

「おっ、ちょうど良い所に。これ水都に届けておいてくれ。付箋の所直して再提出な。伝えといてくれ」


ーー確かに、今までの自分の能度を少し反映して少しだけクラスメイト達との交流を増やした。

体育祭の一件で悪い意味での知名度が上がったのも自覚している。

だとしても、だ。


「やることが・・・やることが多い!」


しかも脅威の5割あくあ。

今まではもみじ8割学校関係2割って感じだったけれど、今はあくあ5割もみじ3割関と学校関係1割ずつって感じ。

これでももみじの成績が向上してのシェア低下であればまだ救われるんだけれどーーまぁ、そんな都合の良い話ではない。

単純にあくあの被害がでかい。

というか、あくあの事はとりあえず俺に任せておけばいいっていうのが学園の暗黙の了解みたいになってる節がある。


「悪いな五十嵐。ちゃっと水都は先生たちの手には負えないんだ」

「俺の手にも普通に余るんですよ」


今現在に至るまで余り続けてるんだよ。

関?

関が合わさると被害が増える。


「わかる!こないだも爆発してた!」

「なんで水魔法と錬金術師が合わさったら爆発が起きるんだよ・・・。おかしいだろ」


というかもみじはこの手のやらかし話題を本当に嬉しそうに話すのはなんでなの?

・・・情緒育てるの失敗したかな。


「大丈夫だよ。あくあ単品でも爆発するから」

「・・・その件に関してはノーコメントで」

「煉牙のおかげなのに?」

「世間一般ではそれをせいっていうんだよ」

「煉牙の、せい?」

「・・・・・・・・・うん」


良くできました。

もみじの語彙力の肥やしになれたなら何よりです。

・・・もうあくあにプリント届けるの明日にして帰っていいかな。


「あっ、あくあは関のクラスに行くって言ってたから多分まだE組にいると思うよ」

「帰ろっかな」

「ほらほら行くよー!」


嫌すぎる。

嫌な予感しかしない。

あの2人揃ってるとロクな事にならないじゃないか。

・・・揃ってなくたってロクな事にならない?

それもそう。


「あくあにね、念話のやり方教えてもらったの。凄い便利」

「へぇ、それはいいな。出来た?」

「出来た!こう、相手の事を考えてグァッってやると出来るの」

「グァッ」

「そう、グァッ!」


・・・言葉の真意を測りかねて思わず念話の魔法式を1から構築しようとしてしまったけれど、寸での所で正気に戻って思考を中断する。

多分、言葉そのものに意味はないのだろう。

感覚派のあくあらしい説明の仕方、というやつ。

そしてそれは、もみじには上手くはまっていた。

事実、あくあに魔法を教わるようになってからもみじの実技の成績は目に見えて向上している。

自分とは違い理論ではなく感覚で魔法を使う――言葉のいらない教え方は理解しやすかったのだろう。


「このままどんどん魔法を使えるようになったら煉牙よりも凄い魔法使いになれちゃうかもしれないね」

「・・・元々もみじは俺より凄い魔法使いだよ」

「えー、そんな事ないよ。煉牙は凄い魔法使いだもの!」


私が保証する!

偽りも打算もない、心からの称賛。

それが当時の自分には妙に居心地が悪くて気恥ずかしくて――同じくらい嫌悪して、そんな感情を誤魔化す為にろくに中の様子の確認もせずにE組の教室のドアを、開けてしまった。

ぱちり、と。

あくあと視線が合ったのを、嫌にはっきりと自覚した。


「いったぁぁぁぁい!!」


瞬間、教室に悲鳴が響き渡った。


「あくあ!」


思考が止まって入り口に立ち竦む俺の横を荒ててもみじが通り抜けていってあくあの元へ駆け寄っていく。

そう広い教室でもない。

すぐに蹲るあくあに寄り添って一言二言言葉を交わす。

そうだ、もみじは治療魔法が得意なんだったとか。

あくあでも痛みに悲鳴を上げたりするんだとか。

そんなくだらない事ばかりが頭に浮かんでしまって、俺はすっかり先程まで感じていた嫌な予感を忘れてしまっていた。

きっ、と水晶が敵意を持って俺を睨む。


「レンゲくんの馬鹿ァ!滅茶苦茶痛かったじゃない!!」

「何?また何か危ない実験でもやってたの?教室でやるなよ」

「ちーがーいーまーすー!!」


視界の隅で、もみじが不思議そうな顔をしている。

あくあを見て、俺を見て、一緒にあくあの・・・耳?の辺りを見ていた関に何かを言っている。


「もう無理!もう痛すぎてもう1個なんて無理!レンゲくんのせい!」

「ノックもせずにドア開けて悪かったって。ビックリしちゃったな」

「違うわよ!というかアタシの事いくつだと思ってるの?」

「15」

「・・・まぁ、そうだけど」


ちなみにやらかしの数はそんな可愛い数字じゃない。

せめて年1にしてくれねぇかな。




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