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三十九話


 弱い、異様に弱い。単なる牽制の一発だった筈。そこまで魔力は込めていないし、上級のバンパイアの肉体を消し飛ばすのであれば、ここら一帯も丸ごとという気合いでなければ不可能。これは経験則であり、相手はダンジョンが作った物だが本物と寸分違わぬ実力を有していると父上が保証済みだった。


 解析結果も、上級(グレーター)バンパイアだと主張しているのだが…………


「ネーデイルさマ………ナゼ、何故この様な策を実行なさったのです…………」


 吹き飛んだ上半身は何故か、日光に曝されても灰になっておらず、その気色は心無しか人間のそれに近かった。先行までは、バンパイアらしく士気色の顔だったのだが。


 発音も妙な部分は無く、ハッキリとしていた。それにしても、ネーデイル様ね。南方貴族の三男で、きな臭い噂が立っていた人物だ。火のないところに煙は立たないとは言うが、自ら飛び込んでくるか。


 魔物の中でも、上位の存在はこの上級(グレーター)バンパイア……いや元人間のバンパイアと同じ様に言語を話すのだが、それらは魔族と呼ばれる。その魔族に接触していたという事も耳にしていた。


 何故、バンパイアを元人間と判断したのか。それには、かつて読んだ文献の中に魔族に限るが生物に限らず、全てのモノを魔物へ変化させる事が出来る奇術が存在すると記されていたからだ。


 その際、対象の重要部位、臓器付近に魔石が生じるらしく、人間の場合は大脳がその部位になるらしい。あまり死体を辱めるのはよろしくないが、今回ばかりは頭蓋骨を割るしか無いだろう。


 魔力探知で魔石と思われる反応はあるが、物的証拠を確保しなければ帝国そのものを動かす大義名分とはならない。魔石は奇術の影響で真っ黒に染まるらしく、闇属性魔石でも灰色な点からすれば明確な差点である。それ程、世界の理からかけ離れた術なのだろう。


 手早く作業を終え、魔石を摘出した後丁重に空気に散った遺体までかき集めて火葬に処した。今、魔石を眺めているのだが、真っ黒という訳ではなく本当は黒い魔法文字がびっしりと夥しい程描かれ、高速で循環していた。恐らく、著者は此様を真っ黒と称したのだろう。


 ある程度、とびとびではあるが読めた。その内容な口に出すには憚られる内容が十割であり、余程の精神を持つ者か、無信教者で無ければその場で憤怒に身を震わせるであろう代物だ。


――――――――――――――――――――――――


 魔物に堕ちたモノは基本的に人類種として扱う事は出来ない。よって、今回この場で火葬に処したが、見られていたら謹慎位は食らうことになる。


 先ず、私が囮に引き寄せられたのは分かった。私が転移した後、凶暴化した平民たちが貴族を襲いかかったらしい。しかも、態々バンパイア化させた上で。


 バンパイアは血を吸いきれば相手を眷属又は己よりも下位のバンパイアに改変できるので、自分の分身に血を吸わせて遠隔でバンパイア化させたのだろが。


 まぁ、近接戦闘に置いては私よりも役に立つ二人なので一掃出来たそうだが。私の剣術は基本的に対多特化と暗闘特化の組み合わせなので、自分に向かってこない戦闘じゃ、キルペースが落ちる。暗闘は基本的に一体一の戦闘で不意をつく事に特化しているから、多数の人数が散らばる状況ではこれまた役に立たない。


 なんだか掌の上で踊らされて尺なので、指し手の位置に着くことにした。今のところ、帝都側に指揮者は居ないらしく、各隊が行き当たりばったりに動いている状態だ。


 と、言う訳でコア達の生み出した分体を駆使して、本領発揮してみよう。現在私のサブジョブは統括者なので、バフも掛けやすい。停滞しかけた状況をひっくり返すとしよう。尚、功績はティーナに押し付けるものとする。


――――――――――――――――――――――――


 突然豹変した手下人を手にした剣で四等分に切り分けつつ、広間の中央で暴れま回るアレクの従者達に目をやる。片方は戦闘メイドとは聞いていたし、全身鎧の方も何処からか引き抜いたのだろうが、些か活躍のし過ぎじゃないだろうか。


「殿下、お怪我は?」


「この程度で傷など負わんよ。寧ろ、返り血を避けるのが面倒だな」


 庭園襲撃事件から、私はどんな場でもバトルドレスを身につける様になった。勿論、何時でも剣を隠し持っている。しかし、血は落ちづらいのは変わりはないので余裕がある内は返り血を避けている。大体、買い換えることになるからな。私が特注で依頼しているのもあるが、メイド長の意向で舞踏会でも使える様に装飾が多いのも、費用を倍増させている一因だが。


 そんな中、アレクの従者の一人、メイド服を身に纏う血を払って此方に近づいてきた。確か、本日付けでアレクは私の従者から外れるので、彼女に私に従う義務は無いのだが。


「我が主より、アルテミス殿下に伝令がございます。我ら二人、そして全勢力を従え、此度の乱を鎮めるべし。との事でございます」


 私はその内容を耳にし、どうしたものかと頭を悩ませるのだった。

ちょっとずつ、文字数制限を戻していきたい所

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