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三十五話

 時刻は八時を過ぎ、開会の宣言を先頭に着々と進む就任式もメインイベントである就任の儀のみである。

 

 そんな訳で直前に割り当てられている先輩聖者御三方による結界の構築を待っている。これは恒例となっている幻影神召喚の儀の準備であり、幻影神の召喚を持って就任の認とするらしい。

 

 事実、神々は最低で加護を持っていなければ神々の影である幻影神すら寄越さないし、大半は配下の力天使を呼び出すのが限界である。

 

 そこで他の信者とは一線を画す聖者であらば、呼び出せるだろう、という思考回路だ

 

 ……呼び出せるか、と聞かれれば出来ると答えるだけの力はあるが、無理矢理じゃあ駄目なんだろうなぁ。やっぱり『ハマリエル』にかけた能力制限……封印は解くべきなのか。

 

 放っておくと、忽ち概念魔力を魔力回路に送り込まれて最悪乗っ取られる可能性があった。その為、『マリル』と『ポテス』、この二つを使った方位違えに積層多重魔力分解機構を使用した封印をかけていたのだが……この様な事態になるとは予想外である。

 

 儀式については知識として知ってはいたが、まさか己が行う事になろうとは思ってもいなかった。最近忙しかった事も合わさって思考の端に消えていたのだろう。

 

 最低でも『マリル』が完成するまで権能を最低励起状態維持していたから、気に止める事が無くなっていた事も悪さをしていたのだろうけど。因みに、現在の権能励起率は三十パーセント程。概念魔力を体に慣らす為にほんの少しずつ上昇させているが、四割の壁を破ることは出来ていない。

 

 権能を使えば天使の翼を生やすことが出来るが、アレは単に魔力回路で制御出来ない魔力を強引に排出し、形取り易い天使の翼に変えているだけの話なのだ。真価は全くと言って良いほど発揮していないし、完全扱えれば僕が五体五臓満足で神鎧が扱える様になる。出来なかったからブォルフレ君にあげたのだけど。

 

 ウムム……上手く扱える自信はないが、やるしかないか。もうすぐ時間だし。

 

 そこまで思考が辿り着いて間も無く、コンコンコンとドアが呼んだ。どうやら、僕の時間感覚は正確な様だ。

 

「名誉司祭殿、お時間です」

 

「分かった、今行く」

 

 呼びに来たのは何時もの神殿長付きの助祭くん。大神殿で僕の手伝いを担当するのか知らないが、大体人を呼ぶと彼が来る。


 僕が暗殺系……特に情報収集に特化した訓練を受けているので、基本的には睡眠時間は三十分で済むこともあるが、来訪者としての特質『眠り』故の度の外れた早起きもあって、この所彼の顔から隈が消えた事は無い。

 

 まぁ、そんな事は割とどうでもいいのだが。手伝いの度に時間外奉仕手当として幾らかのお金を渡してあるし、彼から愚痴が出たという報告もない。

 

 結構な額を渡しているのもあるのだろうけどね。総計で新品のロザリオ(貴族御用達)が一つ買える位である筈……アレ何万したっけか、よく覚えていない。ピンキリの品が多かった記憶があるが、そこそこの物を買える額を渡すように手配した。ざっくりと二十万かな……?

 

 結構な出費な気がするが、神殿という場所でしたい事の大方を消化出来たので必要経費だろう。後回しにした所で、結局何時か払う事になるのだ。ブォルフレ君という拾い物もあったし。

 

 さて、助祭くんの先導のままに廊下を浸歩き、会場である中庭に着いた訳だが、随分と人が多い。次いでに言うなら来ている神官服の圧が、観客の期待度を増している様な……。

 

「スー……ハァ………」

 

 いつの間にか乱れていた呼吸を正し、ゆっくりと方位違えの封印を解いていく。自分のものでは無い魔力が流れ込む事に体が拒絶反応を示す。己の魔力がよそよそしい様な扱いづらさを帯びる。大丈夫、事前の限界調査では一時的ではあるが、七十パーセントを維持できたのだから。

 

 カツンカツンと踵が地面に触れる度に、体内構造が蝕まれる。呪いの所為か、心臓は遅い様だけど。これは割り切って受け入れているが、問題は精神汚染。

 

 いや、汚染というよりかは存在としての乖離を埋めようとする概念的魔力の特性だが。

 

 権能を授かってここ数十日、『ハマリエル』について調べる内に気付けた事は少ない。しかし、人類種に敵対的ではない事は確かだ。事実、マリルは友好的だし、冒険者に手を出した事は無い。

 

 付け加えるなら、この力からはマリルという意思が抜き取られ、純粋な力である筈。であるならば、迎え入れても損は無い……筈である!

 ――――――――――――――――――――――――

 

 Side:アルテミス・ティーナ・イスタール

 

 カツカツカツ、足早に結界の設営した名だたる聖者である三方が輪廻と静寂の女神シスムの神像前から立ち去る。飽くまでも主役はアレクだと言うことらしい。

 

 世界に存在できる聖者、聖女の数は百八人切り。現在その空座は四十二。アレク就任をもって六十七席が埋まるのだ。

 

 その事に喜び、友人各所と有象無象にペンを走らせた。しかし、今、どうしようも無く彼の背が遠く見えるのは気の所為だろうか。

 

 先刻まで帝城で当たっていた事はアレクに一目会いたいだの、夜会に誘って欲しいだの、そんな事が目の至る所に見える手紙ノ処理である。関係こそあるが、アレクは私の下僕などては無いし、私の(・・)大切な従者だ。

 

 つい先日までは、堕ちただの、呪いの子だのと馬鹿にしていた者ばかりであるのに、蓋を開けて見ればこの通り。

 

 彼は起きてから人が変わっていた。でも、感じる気質、志、何より私を見る目は変わっていなかった。

 

 何時かの、私の太刀筋を褒めた時と何ら変わり無かった。

 

 だからだろうか、周囲の気の早い賛美を疎ましく思ってしまうのは。

 

 ……いや、今考えることではあるまい。私は友人として、尚且つ皇族としてこの場に居るのだ

 

 

一日だとこの辺りが限界でした………不甲斐ない…

(´・ω・`)

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