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二十五話

 どうやら恩赦を与える事はできないようだったので、庭園を回ってシスム様を見つけ出す必要ができた。


 水が空中を進む庭園の奥に分け入り、向かう先は薔薇園。特段理由と呼べる物は無いに等しいが、女性は一般的に薔薇を好む事が多い事が根拠である。


 赤や青、ピンクに黒。ここには、色取り取りの薔薇が花開いて、どの一輪であろうとも美しさに見惚れてしまう程流麗である。


 まぁ、実際見惚れていたし、目的が若干観光に傾いた事は確かだろう。シスム様も一般女性の例に漏れなかったので、直ぐに気を取り直したけど。


「我が主、女神シスムよ。少しばかり、この地で力を行使する事をお許しください。お手を煩わせる事はございません」


「子よ、我が聖者よ。それぐらいは何時でもご自由に。あと、そろそろザミルスとの関係を進めなさい」


「後半絶ッッッッ対シスム様の私情ですよねぇ!?」


 断りはしないけども、しないけども。攻略難易度高すぎるよねぇ。ガレアは死んだことで騎士としての区切りがつくと思っていたけれど、思いの外其の根は深った様だ。メイドとしての仕事が板に付いて来たら、縛りは大分(ほぐ)れるだろう。そこが狙い目だろう。


 って、そんなことはどうでも良い。いや良くないけど!作業に戻らなくては。何分気絶していたか分からない以上、早く作業に戻って寝たい。


 そんな訳で、シスム様に一言断りを入れてから空中庭園の中央、全ての月光と星影(ほしかげ)が集まり、溢れ出る水によって再分配される噴水へと歩を進める。


 ――――――――――――――――――――


 空中を(めぐ)る水が彼方此方(あちらこちら)から寄って集まり、屈折し反射して夜空の各所から発せられる光が噴水の中央、シスム様の神像の目前に一度収束している。光が充填された水はその後、水路へと一人でに歩んでいく。


「相変わらず凄まじい術式完成度だな。最終的に発動している術式は〈念動〉だけだから、力の集約に作用するのは物理現象だから(・・・・・・・)減衰しない。力の移動に関しての設置型儀式魔導術式としては殆ど完ぺきと言っても過言ではないね」


 で、これの作用を流用してこの神域の力を更に増し、儀式にとってより良い場に変質させる。その仕掛けを作動させるのは―――


「夜は開き、終末の力は今ここに」


 合言葉である。変な所だけ、古風なんだよなぁ。すると、噴水に集約していた水が一挙に弾け、周囲にクルクルと、フワフワと、優雅に舞う様に水が多数の梟へと変化(へんげ)して回り始める。そして、噴水の枠が庭園のタイルに吸い込まれる様に消え、女神像だけが残る。


 幻想的だが、込められている力を鑑みれば数千羽の一羽だけで山が消し飛ぶかな。聖者だから大人しく力貸してくれるから良いけど。というか、神鎧になったのは十羽以上素材に入って行ったからか。


 まぁ、女神像の水が集まっていた場所に金属粘土を配置し、周囲には浄華の解毒草と暗月の光晶、暗日の光晶を梟の壁の側に置いて歩き、女神像の正面に周り始まりを呟く。


「これなるは六理の終わり アンネ・エルウグルの黄昏を呼び覚ます」


 スキルの舞踏を使い、聖者として大神殿の書物庫から学び取った舞を梟が女神像を中心に作り出した円の中で、小さい円を描きながら踊る。そのまま、世界創造神話最終章―オワリの鳥―を紡ぐ。


 肺活量は何度も練習していればどうにかなる。元々魔導士系ジョブだったハズなんだけどね。今度、舞踊系統のスキルを取って、舞いながら戦闘とかも考えてみようか。いや、銃との相性が悪いかな。


「彼の梟は安寧を失った 全てに運命の終わりを見た それこそは終わり」


 心臓から丹田に、指先から髪の一本一本に至るまで気功と魔力を置き渡させる。そうしたら、使役体間の術式ラインでCCSBとTUSBから魔力を回収して、まだ現象に転化しない様に少しずつ、意思を乗せずに舞の中で振りまいていく。


「始まりは誰ともなく 何者でもない 其れは溜まり濁ったイシ」


 言葉にも魔力を込めて、言霊にして明確に、伝承をこの場に定着させていく。動きを一体に、緩みなく、淀みなく、狂いなく、流れる様に舞い続ける。


「彼の梟は呑まれた 破滅のイシに 夜を呼ぶ静寂の鳥は 死を与える沈黙に姿を変えた」


「変貌は生きとし生けるモノ 其の全てに終わりを呼び起こした」


 気付けば浄華の解毒草と二つの光晶が僕の舞に応答して空を飛ぶと共に梟を白い光の其れへと変質させている。


「夜は終らず 星々は黒の空に埋もれ 太陽は上がる事なく彼の梟の揺り籠(クレイドル)と化した」


「この世を作りもうた神々は当に絶え 最後の一柱 朝征く白狼が人柱となりイシを日に封じた」


「されど彼のイシは不滅 未だ梟の体に巣喰い 終わりの始まりを願う」


 詠は終わり、最後の一節である浄句を持って終幕とするだけ。


「故に 故に これなるは寸分違わぬ終末のミライ これなるは天転の試練 我は其の達成者なり」


 最終節を紡ぎ、舞を終える。夜空を回る朝焼けに似た光を宿す梟達から、少しずつ、少しずつ、零れた(りん)が金属粘土に吸い込まれる様に落ちていく。


 そんでもってダメ押しで最近真面目に祈ってたら取得した祈願術を使う。女神像に跪き、僕の羽根を持った両手を胸の前に結ぶ。後で祈願術用の触媒(キャレスト)を作るか、マジックと兼用できるようにしなければ。わざわざ持ち替えるのは戦闘中だと相手に隙を与える事になるので、兼用にしたい所。


「我、女神の敬愛なる使徒にして其の僕 我、代行者として世を救済する奇跡を願わん 呼び起こす奇跡は宵の境を侵す毒蛇を滅失する光 〈月光の奇跡 八節 黄泉焼きの白夜〉」


 効果は術者の精神(MID)に依存し、比例して其の効力と規模が増大する光に当たった対象の毒を消す、というもの。後、その対象は一定時間毒に罹らなくなる。こっちの効果が本体な気がしなくもない。


 今回は起点を大天使()の羽根で代用したが、触媒(キャレスト)としての効果は一度きり。祈願術で使う詠唱―聖句の通りに事前に閉じた瞼を超えて光が見える程の光量を発した後、灰のように崩れて指の中から落ちていった。


 今回ばかりは、奇跡の再演は人々に与えられる前に作業の為に使われる訳だが。……とてつも無く不敬な事をしている気がしてきた。


 ……本()は許してくれたからいいか。シスム教って妄信的でもないし。


 ――――――――――――――――――――


 その後、光を全て取り込んだ事で金属特有の重厚感が無くなった金属粘土をペタペタと、厚さが均等に成るように機械人形(オートマタ)の骨格に貼り付けていく。


 顔に関しては、世間一般に整った物にしておく。威圧は神鎧で十分だ。抑々フルプレートの鎧だから、顔なんて見えやしないけど。


 外せる様にはしてあるけどね。出ないと、態々胃的な物を作った意味が無くなる。


 最終的に、錬成陣で魔力を込めて完成。素材の時から変わった事と言えば、金属粘土の色がより肌色に近くなって人間味がました事と、冷えたことでスライムの核素材の真価が発揮されてくず餅の様な程よい弾力が着いた事だろう。


 人間の皮膚と同じとは言えないが、偽装兼対毒表層としては十分だろう。


 ム、マリルから送られてきた対神気用エネルギー流用術式が予想よりコンパクトだな……


 読めなくは無いけど…7割方人類種の解読が進んでいない魔法文字だな。解説は常識が崩れる事になるだろうから、聞かないでおく。


 何を感じ取ったか、マリルから魔法文字の訳文が豪速球が如く念話で投げつけられるがそんな物は無視する。


 僕は今の所常識の外側に行く予定は無い!!

短くなってしまった要因のご説明。

理由として、作者が三月三十日から四月三日まで熱を出していたからです。最高体温三十七度という微熱ではありましたが、何分作者に此処まで熱が長引いた経験が一度として無い物ですから、体調回復に努めていました。加えて、現在日本で流行している新型コロナ感染症を警戒していた事もありました。また、発熱時に味覚などに異変は一切無かった事をご報告させて頂きます。


………暇つぶしだけに費やす四日間は究極に退屈でした。基本、疲れないと昼寝しない体質の人間ですので。そして執筆を進めようとすれば、全く良い物が出来ませんでしたし。

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