↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

秋が深まる ー特別の存在ー side:Boy


秋が深まる。


作物が実り、


木の葉が色染まり、散っていく。


四季の中では、僕にとって一番過ごしやすい季節だ。


だけど、少しだけ嫌いな季節。


なんだか、取り残されるような気がするから。









秋に入った。


どんどん、気温が下がってかなり過ごしやすくなった。


院内は一定の気温だって言っても、それでも外気温は分かるもの。


時折、病院の前の道路を駆けていく小学生の服も


半袖のものから、長袖に、その上にコートと厚着になっていった。


それに、半比例するみたいに、僕の病状は、悪くなっていた。


肺にも、何か細菌が入ったらしい。


俗にいう、院内感染らしい。


病院側は、隠そうとしたけど、ライナさんが、裏からリークしたらしい。


らしいというのは、病院が騒がしいことと、病院の前の報道陣のことを


不思議に思った僕が、姉さんに聞いたら、


「誰かリークしたみたいよ、マスコミに。


 ま、そのおかげで、他からの治療が入って来てるからね。」


だって、聞いたから。


あの春の生活の中で、ライナさんの仕事がそう言う関係だって思ったから。


だから、そうだと思った。


看護婦さんに深刻な様子で何かを聞いてい足りしたのは見たことがあるし。


でも、ライナさんは、あんまり来なくなった。


一週間に一回どころか、二週間に一回来るかどうか。


しかも、すぐに帰ってしまうんだ。


なんでだろう?


よく解んない。


解んないと言えば、ライナさんへのキモチ。


礼凪さんが、病院の前で、誰か男性に道案内したり、


看護士のお兄さんに、話しているだけでも、


胸がギューって、苦しくなる。


ライナさんと話してると、


頭がぐらぐらして、ぶっ倒れそうになる。


どっちも、病気の発作とは違う。


心臓の方で、倒れそうになる発作のときも、


肺の方で、吐血をするときも、


全然、まったく、違う。


ライナさんの時のは、


苦しいんだけど、苦しくない、


なんなんだろう、このキモチ。


今度、ライナさんが来たら、聞いてみようかな。














『・・・・・・・・・・×××っ。


 航、悪い、用事想い出した、今日は帰る。』



ライナさんが、来た時に、『これって、どういうこと?』って聞いたら、


彼女は、茹で蛸でもそこまで赤くならないだろうって


それぐらいに、顔を真っ赤にして、全速力で、病室から居なくなった。


その後すぐ、来た七海姉さんに、同じことを聞いたら、


うわ、ライナさん、気の毒だわ。って言ってから、


悪戯っぽく、こう言った。


『航は、きっと、ライナさんのことが好きなのよ。』


嘘だと、思いたかった。


だけど、すっと、それは胸にしみ込んだ。


ライナさんのことが大好きだって。


それが、僕にとっての真実だって。


次に、ライナさんが来た時に、


ちゃんと告白しようって心に決めた。


だけど、それ以降、ライナさんは、病室に来なかった。


来ないまま、十一月終わりに近づいていったんだ。


雪も降った。


もう冬になっちゃった。


ねぇ、ライナさん、なんで来てくれないの?


僕、ライナさんに会いたい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。