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救援要請

 エストが失恋し、マリンと抱き合う中シオンが屋敷に入ってきた。


「グレー王国で事件が起きた!ダイグ王子が反乱を起こし、カシト王子が砦の中に包囲されつつある!」


「シオン、アッシュを向かわせる。すぐ手紙を書け!」


「分かっている!」


 そこからはあわただしくなった。


 王はハルトナイトに援軍の指揮を任せ、シオンに物資の用意とサポートを命じた。






 ◇





 シオンの兄、ハルトナイトがシオン領に到着すると、ゼンキが居た。


「マリン!レア!元気だったか?」


「パパ、私は元気よ」


「わたくしも元気ですわ」


 パパは私とマリンの頭をわしゃわしゃと撫でる。


 そこにハルトナイトが現れる。


「よお!レアか、美人になったな。マリンは……少し大きくなったか」


「ハルトナイト様、お久しぶりです」


「お久しぶりですわ。わたくしの背は結構伸びましたわ!」


「はっはっは!悪かった悪かった!シオンとエストで色々あったのは知っているが、今は援軍として参戦するのが先だ」


「分かっています。落ち着いたらまたシオンやエストと話をします」


「それじゃーな」


 ハルトナイトは馬で前に走って行った。


「先に行くが後でまた会おう」


 パパも先行して前に走っていく。









 先行したハルトナイトを追う様に軍備を整え、シオンはグレー王国の南部の都市に向かい進軍した。


 シオン・バートン・アッシュ・マリン・レアの他にエストも一緒に進軍に加わる。


 マリンと私がエストに声をかける。


「エスト、無理してついてこなくても良かったのよ」


「そうですわ、いつ死ぬか分かりませんの。戦場は恐ろしい所ですわ」


 エストはブンブンと頭を横に振った。


「今は誰かを助けて必要とされたいです。そうすれば少し、気が晴れるです」


 私はエストの傷が癒えていない事を悟った。


 マリンを見ると悲しそうな顔でエストを見ていた。


 私たちはあまり話さず歩を進める。






 ◇








 グレー王国の南の街にたどり着くと、ハルトナイト様とパパの部隊が居た。


 ハルトナイト様とシオンが話す。


「やられた、この都市の食料が奪われて飢餓が発生している。ダイグ王子の命令で物資を略奪したらしい」


「自国の民を犠牲にした?」


「そうだ、それでここに最低限の食料を配った。それでこっちは大軍での行軍は出来なくなった」


「少ない兵でも送ってグレー王国の王都の兵と協力するしかない」


「シオン、それも出来ない。王都の貴族街に奇襲をかけられたらしい。それで恐怖した貴族どもが無理に行軍しようとしたアースト王を幽閉して閉じ込めている」


 貴族は自身の首を人質に取られた。

 兵を王都の防衛に回す為出兵しようとした王を捕らえて兵に王都の警備をさせたのだ。


「ここの物資強奪もホワイト王国からの援軍への牽制の意味もあるんだろう。それと、貴族どもは自分たちが民に嫌われている事をよく分かっている。食料さえ奪えば民も行軍できなくなる。そこでだ、俺とゼンキは少ない兵を連れてカシト王子の援軍に向かう」


「危険だ!」

 シオンが叫ぶ。


「シオン、お前たちは補給をもう一度整えてからきてくれ」


「わ、私もハルトナイト様と一緒に行くです!治癒士の力が役に立つです!」

 エストが声を張り上げた。


「来てくれれば助かるが、死ぬかもしれないぞ」


「覚悟の上です!」


「エスト!早まってはいけない!」

 シオンが叫ぶ。


「簡単には死なせない。行ってくる」

 ハルトナイトはエストを馬に乗せて行軍を開始した。


 アッシュ・バートン・マリンは物資を補充する為反転して戻って行った。


 私とシオンは少ない兵を残してグレー王国の南部に残る。


 私はけが人の治癒を行い、シオンは兵士を連れて街の外の魔物狩りを行った。


 いつも冷静なシオンが苛立っている。







 私はその日の夜、シオンに会いに行った。


「シオン、大丈夫?」


「レア、ベランダで、風にあたって話がしたい」


「分かったわ」


 シオンは私の炎の指輪に魔力を込めてくれた。


「寒くないか?」


「冬なのに暖かいわ」


「レアには感謝している。レアが皆の治療を行ったおかげで私がこの中継地点に陣取っても皆好意的に受け入れてもらっている」


「少しでも役に立ててうれしいわ」


「レアの治癒のおかげでかなり助かっている」


「シオン、思い詰めないでね」


「エストやハルトナイト兄さんの事を気にしてないって言えばうそになる。でも、それよりも何も出来ないのがもどかしい。ここで指揮官として中間地点の指揮を執って戦いに参加せずにいるのが悔しい」


「私も同じ気持ちよ。本当は前線に行って皆を助けたいわ。ねえ、補給が届いたら、私も進軍について行くわ」


 今のシオンは危なっかしく見える。


 私もついて行く。


「レア、君は私の事を危なっかしいと思ってついてこようとしているね?」


「そ、そうね。それもあるわ」


「こうしよう。この闘いが終わるまでに、私と結婚するか、どうするか考えて決めておいて欲しい。レアと結婚出来るかもしれないと思ったら私は無茶をしにくい……と思う」


「分かったわ」


 もう答えは決まっている。


 生き残ったらシオンと結婚する。


 シオンは私の唇を強引に奪った。


 でも嫌じゃない。


 でも、私の考えが読まれている気がする。


 私はきっと、分かりやすい。


最後までお読み頂きありがとうございます!少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!


味方の動きについて

●グレー王国のアースト王は兵を出そうとして貴族に幽閉されています。

●グレー王国のカシト王子は砦で包囲されつつあります。

●シオンの兄ハルトナイトとパパゼンキ、そしてエストはカシト王子の援軍に向かってます。

●シオンはグレー王国南部のシオン領とカシトが包囲されている砦の中継地点で後方支援の要として情報統制をし、街を管理し、補給を整えつつ魔物を狩っています。レアは略奪で傷ついた者を癒す事で、本来他国の者であるシオンは好意的に受け入れられています



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