2-1 英語-6(リスニング)
●リスニング
非常に申し訳ないのですが、私は帰国子女的なので、受験生時代にリスニングでは困りませんでした。そのため、実際に受験時代にリスニング対策は行っておりません。この頁の具体的な方策の説明については、通訳者である友人の力を借りたことを断っておきます。
・会話における思考過程
ヒトという生物は、唯一、思考を言語によって行う生物です。そして、どう頑張っても処理に使う言語は自分の母語になってしまいます。実際に日本人が英会話を行う場合、
①耳から入った音が、
②英語として変換され、
③それを日本語に翻訳し、
④日本語で答えを導き出し、
⑤また英語に翻訳し、
⑥音として発信する
というプロセスを踏んでいます。
この変換の精度と速度を上げることで、スムーズな会話が可能となるのです。
・リスニングは何を測る試験なのか
リスニング試験では①~⑤までが求められていますが、③→④は常識問題であり、④→⑤は容易な文であることが多いから事実上障害になり得ません。実際に出題者が聞きたいのは①~③ですが、これを鍛えるのは容易ではありません。某有名英会話教材は、聞き流すだけで行けるぜ!などと供述していますが、そんなことはありえません。確かに、小さい子供なら聞き流すだけで英語を手に入れることもありますが、これはまだ思考に用いる母語が定まっていないから可能なのです。中高生の場合は、日本語が邪魔をするから無理です。ましてや大人など…
・筆者の考え
聞き流して無理なら、意識的にやるしかありません。世の中には「通訳者」という仕事が存在します。当然帰国子女の通訳者も多いのですが、そうでない人も多くいます。彼らに要求されるのは、リスニングで問われる能力、即ち①~③そのものです。彼らのトレーニング方法をそのまま応用すれば、必然的にリスニングが出来るようになると筆者は考えました。
・具体的な方法
幸い筆者には、同時通訳者や通訳養成学校の講師などに知人がいるので、具体的な方策を知ることは容易にできました。
(i)①→②を鍛える
まず、どうにも英語が聞き取れない、という方は、音と文を繋げる訓練を行って下さい。適当な英語の映画を1~2本用意して、英語音声&英語字幕で観ます。このとき、映画の選び方に注意が必要です。まず、自分が学びたいアクセントの英語が話されているものを選びましょう。アメリカ英語を学びたいのに、イギリス英語でハリーポッターを見るのは不味いということです。そして、自分が見ていて面白いものを選ぶのが良いです。聞き取れない英語を聞き取るのは容易ではありません。これを面白くないものでやろうとすると、モチベーションが保てません。また、難し過ぎるものを選ぶと詰みます。特にシャーロック・ホームズはヤバイです。異常に早口のイギリス英語で専門用語が飛び出すので、初心者には無理です。アメリカ人のネイティブでも厳しい(笑)
さて、ある程度聞き取れるようになれば、シャドウイングを行います。シャドウイングとは、スクリプトを見ながら、ネイティブの音声に被せて音読する学習法です。これにより、どういう単語が弱く読まれ、聞き取りにくくなるのかが分かります。自分で声に出さなくてはならない理由は、多くの人間は自分が読み上げるスピードを越える英文を聞き取ることができないからです。目で追えるだけではあまり意味がありません。音と文の世界を繋ぐ力を付けるという意味でも、音読は有用です。
(ii)②→③を鍛える
サイト・トランスレーションを利用します。これは、長文の意味をスピーディーに捕まえていく読み方で、前から「意味の塊」ごとに脳内で日本語を充てていきます。語順は気にしません。頭のなかで意味だけ分かれば良いのです。このトレーニングによって、書いてある文章を即解できるようになります。
読み方の例を挙げるなら、
Samantha said that she speaks English well but that she cannot write it so well.
という文を読むとき、
She said that/
(ほうほう、サム†が何か言ったのか。それは何だい?)
she speaks English well /
(おお!英語を喋るのが上手いのか!それでそれで?)
but/
(おっ、butではないか!じゃあ次に来るのは逆の内容だな?)
that she cannot write it so well.
(書くのはそんなに上手くないんだね。)
のようにするのです。
(iii)①→②→③の連係プレーを鋭くする
鋭くすると言っても、シャドウイングをする際に、サイトトランスレーションを意識的に同時に行うだけです。
・注意
こんなことを書いておいて何ですが、帰国子女でなくとも初めからリスニングに困らない人はいます。それは才能ではなく、今まで無意識な蓄積を行ってきたからです。このような人を見て、リスニングはセンスだ、と決めつけないで下さい。努力次第で十分伸ばせます。
† SamはSamanthaの略称。ケンドーコバヤシをケンコバと呼ぶノリ(ちょっと違う?)。