2-2 数学-2(プロセスの実行に必要な力)
お久しぶりです。エタってた訳ではないです。
●プロセスの実行に必要な力
数学での思考回路が分かったからといって、実際に問題が解けるとは限りません。俗に言う「数学力」がないとどうにもならない、ということです。筆者は、この得体の知れない数学力の正体を暴きました。ズバリ、数学力とは、「思考力」「知識力」「論証力」「計算力」です。いか、それぞれについての説明です。
●①~③:方針決定
・「思考力」
これについては説明は不要かと思います。文字通り「考える力」です。しかし、タチの悪いことに最も伸ばしにくく、かつ伸びが実感しづらいのです。また、最も「数学的センス†」「才能」に依存する力でもあります。先ほどの例題では、実験してから法則を掴むところに思考力を用いています。
・「知識力」
さて、上の「思考力」に対して、こちらは大部分を努力に依存します。そして、知識力によって思考力の不足をカバーすることができます。「いかに数学と言えども、定義を覚えていなければどうにもならんだろう」ということもありますが、ここで言いたいのはこれに限らず、「知っているからこそ思い付くことも多々ある」ということです。例えば、先の例題において、
【整数問題の主な手筋】
(i)約数、倍数の関係を利用する(因数分解を試みる)
(ii)不等式で範囲を絞る(無限にある整数を有限にする、有効な手段)
(iii)余りを分類して考える(ある数をnで割った余りは0を含めて高々n種類)
(iv)連続な関数と見て格子点に帰着する(この方針を自力で選ばせる問題は難問である)
を知識として用いました。整数問題を解くには、この解法体系は知識として持っている必要があります。また、さらに上位の解法体系として、
【素数の問題の手筋】
(i)素数pがあって、p=p×1または(-p)×(-1)
(ii)エラトステネスの篩††の利用
があり、これを知識として持っているなら、因数分解が見えないから(i)がボツで、ふるいの利用を確定できます。思考力がそれほど無くとも②まで処理できるのです。また、これは有名だから知っている人も多いと思いますが、
【倍数の証明】
(i)余りで分類
(ii)因数に着目
(iii)連続するn個の整数には、必ずnの倍数が1つ含まれる
を知っていると、この例題では(iii)の利用も可能になり、③を楽に決定できます。
ここで言いたいことは、「知識をどのレベルから持つか」は人により異なるということです。思考9 / 知識1 で行ける超人もいれば、思考1 / 知識9 の「和田式暗記数学†††」を採用する人もいます。
●④:答案作成
・論証力
答案は、採点者に対し行える唯一のアピールです。したがって、その答案が思い付きを書き並べただけのメモであってはいけません。数学的作文“Mathematical Composition”であるべきです。数学の素晴らしさは、論理という共通言語で、情報を欠くことなく伝えられるところにあります。その反面、論理に問題があれば話が通じないのですから、バッサリと減点されてしまいます。同値性は大丈夫か、など日頃から注意することが大切です。
・計算力
例えば、数Ⅲの積分で、体積を求める問題。積分を学んでいれば、ほぼ全ての人が方針を立てることができます。このような出題では、差が生まれるポイントは「結果が正しく出せるか」に尽きます。答えが合っていないとほとんど得点は入りません。また、方針決定の段階で、泥臭い方法しか見付けられなくても、計算力で押しきることができれば勝ちです。計算力は思考力、知識力の不足をカバーし得ることもあるのです。因みに、計算力は狙って伸ばせます。
† 思考力はセンスではない、という人もいますが、実際、センスに溢れる人はいます。
†† 知らなかったらググってください。簡単にいうと、1より大きい自然数の集合から、2より大きい2の倍数、3より大きい3の倍数、5より大きい5の倍数……を取り除くことで素数を発見する方法です。
††† 和田秀樹氏が提唱する方法で、数学を暗記科目と割り切る、というもの。誤解している人が多いが、解法を丸暗記するという訳ではない。理解して覚えて、その運用練習まで組み込まれている。




