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竪琴宇宙のサクシード  作者: MAD-WMR
44/82

3-10 生産ステーション解放:対人戦闘と収束

「発見。」


ブロックの角から慎重に先を伺う宇宙服を着たギルドの者が小声で報告。

側で聞いたキリアトが手を右手を上から下に降ろして停止、待機を指示。

すぐにギルドの者が端末の地図を指でなぞって進行方向を示す。

キリアトは予定されていたB地点とされる攻撃ポイントを指示。

こちらの動きが始まればもうひとつの部隊も攻撃を始める予定だ。

今敵勢力は3×2列で並べられているこのブロックパーツの向こうを移動している。

一度ブロックの逆端まで戻り待ち伏せ、待ち伏せのポイントの移動しなかった時は後方から奇襲。

すぐに先頭で確認を行なう宇宙服を着たギルドの者が少し駆け足で移動。

他の者は色々な荷物を持ってそれに続いた。

曲がり角から3m程離れてキリアトの従業員たちが銃を構える。

照準を確認していたネット射出装置担当の者も準備完了。

しばらくこのまま待機。

全員が一度ずつ銃の発射は体験したがそれで不安が無くなる事はなく緊張した空気が蔓延している。

自身も緊張しており発見される訳には行かないから大きな声で安心させる事も出来ない。


「年寄りにはちょっと疲れるぞ。お前らはもうちょっと手加減しろ。」


ブロックパーツにもたれて呟いたキリアトのそんな行動に周囲は苦笑する。

普段から若いもんにはまだ譲らんと豪語しているから疲れたなんて言う人では無いと判っている。

それでも高い緊張感はあまり緩和されていない。

誰もが始めての事で死ぬかもしれないとなれば当然だろう。


「移動中。」


ギルドの者が顔を引っ込めて報告と合図を出した。

2ブロック、40m先の暗闇を敵勢力が歩いている。

全員が身を潜めて音にだけ集中する。

キリアトは静かに手にしている銃を待ち直す。

これを撃つとしたら最後の手段。

一定の大きさに広がる硬化ゴム弾を発射する制圧用装備。

銃弾のように殺傷力が高い訳ではないが打撃力としては高く場合によっては骨折くらいはありえる。

他の銃と比べると弾数が多く逃走時等の緊急手段として渡された。

何度も行っているが安全装置が外れているのを確認する。

自然とグリップを握る手に力が入る。


サトウ氏も動いておるはずじゃ。

慌てずともイストは助かる、助けられる。

急ぎの仕事は良いが慌てての仕事はしくじる。


ギルドの者が腕を上げ持っていた端末を指差す。

予定していた2分が過ぎた。

キリアトの合図が返って来たのを見たギルドの者が少し顔を出して状況確認。

2度進行方向を指差したのは前進の合図。

待ち伏せは無くなった。今度は敵勢力後方から奇襲する。

周囲の者たちは下ろしていた荷物を持ち直したり銃撃の構えを解いてすぐに移動。

ブロックの間にある通路を出来るだけ早く静かに歩く。

先程と同じく駆け足でギルドの者が十字路になっている通路まで進み様子を確認。

振り返り両手で急ぐように合図。

十字路にはまだ踏み込まず手前で梯子を伸ばして立て掛けそれを登り途中で待機する者。

キリアトが合図を出せば通路の逆側を4人が十字路の向こう側に向かって荷物を持って走る。

同時にギルドの者が大きな筒、ネット射出装置を持って十字路に出た。

ヘルメットのゴーグル越しに筒の上にある照準機で歩いている集団に合わせる。

少し上を狙う方が良いという指示を守ってちょっと持ち上げてから引き金を引く。

すぐに少し横にずらしてもう一度引き金を引いたら十字路から通路に向かって走る。

ポシュポシュとネットの射出された音が合図となり梯子の途中で待機していた者が作業用の照明を点灯。

ブロックに設置しつつ素早く角度を調整すれば通路の先でネットに絡まっている集団が見えた。

戸惑った声や慌てていて混乱している。

十字路の向こうに行った者も同じように照明設置の作業を進めていた。

角から身を乗り出した者と十字路に出た者は捕縛銃を構えた。

照明に照らされた集団にレーザーサイトと呼ばれる赤い光線を合わせて2発、発射。

すぐに一度通路側に戻って弾を交換、一人手間取っていたがギルドの者が交換作業をして手渡す。

交換したらもう一度通路に出て同じように2発撃つと通路に引っ込む。

ネットのように成果があったかどうか、命中したかどうかは判らない。

照明を設置した者は梯子に登ったまま高所から状況監視、下に向けて小さな照明を点滅させた。

点滅させるのは自由に動ける者がいる、銃をこちらに向けている者がいる合図。

全員通路側に隠れたままとなり十字路方向に銃を向けて待機。

キリアトはそんな者たちの後ろに位置して左手で支えながら両手で銃を構える。

監視している者から合図があるまでは待機。

周りを見れば従業員たちは全員十字路側を向いていた。

近くの1人の腕を引いて気が着かせると通路後方を指差して後方監視をさせる。

キリアトの役目は直接の先頭よりもこうやって指示を守らせる事だ。

さっきの待ち伏せの時と比べれば周囲の者たちは興奮しているようで緊張感より高揚感が大きい。

飛び出していきそうだがさすがにそれはなく指示に従っていた。


「頭上から攻撃、退避。」


十字路の方からセリナの叫び、逃げろと言う声も続きキリアトが上を見れば赤い光が降って来ていた。

轟音が響き渡りキリアトもブロックパーツに叩きつけられ通路に炎が広がる。



 >着弾確認/成果:予定結果72%


「作戦開始です。」


キリアトたちの奇襲成果から作戦変更の必要は無しと判断。

作戦実行を指示すればネット射出、捕縛銃の射撃と続けられた。

照明に照らされた混乱した敵勢力が目標、落ち着いて狙い射撃が出来効果が高い。


 >移動物体感知/人間:高度21.3m


隠れていたブロックパーツから顔を出し視覚で確認。

感知したのはブロックパーツの上、敵勢力の居る北側のパーツの上。

ブロックパーツが多くレーダーによる探知が不安定であり探査範囲も減少している。

かなりのリソースを分析に使用しているが別の敵勢力の動きは把握出来ていない。

北側は残っていた敵勢力が居た方向、そちらから移動して来た確率は高い。

パーツの上の人間は下を見下ろし2度、何かを投擲。

それから燃焼している瓶を4本続けて投擲。

投擲の感知と同時に弾を交換中だったネット射出機と捕縛銃を手にして通路に飛び出す。


「全員、待機。」


落下軌道を計算、危険度、優先度を把握。

最初の投擲物が爆発物と推定しネットを放ち軌道を変更。

すでに走り出しておりネット射出機は放棄、通路は60m程、人間の速度でも6秒から7秒。

通路でまだ動ける危険度の高い敵勢力に対してゴム弾を2発射出。

頭上、ブロックパーツの上から投擲した人間に対しても射撃。

側頭部からの着弾で、死亡率は低いので問題無しと判断。


「頭上から攻撃、退避。」


周辺のすべてに聞こえるように警告。

キリアトたちのいる通路の上に人間を確認、南から3人、東から2人、北から4人が接近中。

すでに投擲されている物体、爆発物を捕縛銃で迎撃。

キリアトへの直撃コースにある火炎瓶のみゴム弾を射出。

後方で爆音が発生、上空で爆発、捕獲した敵勢力に被害発生。

投擲から爆発の時間が時限式の場合、回避警告は対応時間無。

警告を行なわず結果から対応。


爆発が通路に広がり着弾した火炎瓶から可燃性の粘着物質が飛び散り炎上。

少し軌道が変わったのは爆発の影響、爆発力の詳細が不明であった為計算にズレ、2名に被害。

発生した衝撃波による被害が多数。打撲各種、骨折、裂傷の可能性あり。

爆発に直接巻き込まれた被害は無し。


通路を走り倒れたキリアトの元へ。

実行予定ではなかった突発的な今回の行動。

準備も計画もなく状況対応しかない状況であれば被害は避けられません。

イストへの影響を考慮すれば心理的影響を及ぼす人物への被害は避けます。

感情理解にはむしろ犠牲となった方が良いかもしれませんが積極的に行なう事ではありません。

出来るだけ被害は抑えるように行動はしています。

キリアトの意識ははっきりとしており背中をブロックパーツに打ち付けたようで呻いています。


「キリアトさん、大丈夫ですか?」


「なんとかな。何があったんじゃ?」


「残っていた敵勢力が包囲して攻撃して来ました。

 あちらから3名が接近しています。キリアトさんたちの進行して来た方向。

 すぐに来ますから人を集めて迎撃をしてください。

 北からも敵が来ますからあちらの通路に全員で移動してください。

 もう来ます。すぐに移動を、銃には注意してください。」


説明はしましたが行動まではまだ少し時間が必要でしょう。

時間が無いので詳しく被害確認をしている時間はありません。

火炎瓶の燃焼物質は燃焼を続けさせるだけであり通常の燃焼温度と変わらず。

2名が炎上、背中側に粘着物質が付着した者と両足に付着した者。

宇宙服を着用しているギルド関係者の元に行き状態を確認、負傷軽微、行動に問題無し。

ヘルメットを叩いて反応を待てば少ししてこちらに向きました。

脳震盪なども無いようで倒れた衝撃程度のようです。


「消火対応をお願いします。出来ますか?」


火炎瓶に対して、火災、炎上についてはギルドの者から対応すると意見が出ています。

しっかりと頷き理解したのを確認。


「残った敵の襲撃があります。負傷者もあちらの通路に退避させてください。」


実行すべき事を伝達をしておきます。

もう少し時間が必要で接近中の敵勢力への対応が必要です。

南がキリアトさんに指示した敵、北4名は162m、東から接近中の2名は183m。

制圧銃を上に向けて残弾をすべて発射、ブロックパーツの上から覗いていた者に直撃。

銃を下に向けて構えようとしていた所への攻撃で予想被害としては行動不能のはずです。

人間離れした動きはしたく無いのですが爆発の衝撃や対応でこちらはあまり注目されていません。

何か言われれば戦闘の高揚、無我夢中だったと誤魔化す予定です。

一番の懸念であった上方の敵は排除出来ましたが状況は危険でしかありません。

走り出しながらゴム弾の弾は交換。


「各対応と移動をお願いします。」


全員に告げておきますが果たして効果があるでしょうか。

正面、北側に捕縛銃を1発射撃、さきほどの同じ牽制てしかありません。

当てられますがさすがにやめておきましょう。

同様に東側にも牽制として射撃。

これで捕縛銃は弾切れ、一度補充が必要です。

通信が使えず音声指示は相手にも聞こる可能性があります。

最初に奇襲された敵勢力はネットと粘着物で動けないまま火炎瓶での被害も出ています。

ネットが燃えてしまうと解放されるので危険ですから対応が必要となっています。

彼らの横を走り抜けこちらが指揮していた部隊、人員と合流。

キリアトさんの部隊は被害が出ていますがこちらで指揮していた人員に被害はありません。


「状況変更、指示に従ってください。」


ギルドの者を案内役として4名を北側から来る敵の後方へ回り込むように指示。

2名を最初に捕らえた敵勢力の対応、消火と救出、捕獲を命令。

残った者は東側通路から接近している敵への対応。

ネットを撃ちこみ危険ですが2名を東側に走らせて捕縛指示。

北側からそれに対して射撃が行なわれて2度鳴り響く発砲音。

38m程の距離からさらに接近中。

南側通路にキリアトさんの部隊は移動、そちらからも発砲音が聞こえ戦闘中です。

十字路から北側に銃口だけ出してゴム弾を2発射撃して牽制。

少し距離を開け伏せておき十字路に出てくる敵が居れば射撃する体制。

1人飛び出して来ましたがゴム弾の餌食。

東側通路に吹き飛ばせばそちらで敵の捕縛を終えた者が素早く捕縛。

もう1人がこちらと同じように伏せて待ち伏せの体制。

指示がなくても動けるのは優秀です。

南側からもゴム弾が射撃されているのでそちらも片付いたのでしょう。

この時点的勢力は壊滅状態、降伏してもおかしくはありません。

テロリストなどはこのような状態で降伏はせず最後まで抵抗する事態が多かったようです。

相手も状況は判っているはずでまだ対抗するのであれば対応するしかないでしょう。

3方からの攻撃で敵勢力は動きを止められ散発的な銃撃で抵抗。

最終的には北側から送り込んだ者によって捕縛。


この時に一名が銃撃で負傷、南側でも銃撃された者がいました。

最終的には銃撃で死者1名、最初に撃たれたキリアトさんの従業員。

重傷4名、銃撃の負傷者と火炎瓶での火傷を負った者。

敵勢力は死者4名、重傷8名。

結果としてこのブロックパーツ保管エリアでの戦闘が生産ステーション解放戦で最も大きな戦闘でした。


この後負傷者への対応など事後対応の指示、相談。

ギルドマスター、ギルドの責任者が戦闘に参加しており後で紹介されました。

各種権限を実行出来る事で以降の行動について対応がスムーズとなり時間を短縮。

中央管理室の制圧はカイヨウマルを使用。

封鎖された港から出航させるのは手段を問わないのなら5分で可能という事で実行。

こちらは一度ガーランド23に向かい武装の補充。

結果的にガーランドに保管していた武装も持ち出す事になりました。

カイヨウマルで突入部隊を輸送、エアロックからチューブ式の移動通路を使用。

サトウ氏が作った中央管理室からの直通脱出路から突入。

制圧については持ち込んだスタングレネード、閃光や音などで行動を一時的に封じるもの。

そちらを投入する事で負傷者は無くスムーズに制圧。

戦闘を体験した者を投入したのが効果的だったのでしょう。

生産ステーションの管理についてはサトウ氏のプログラムで奪還。

制御を回復したものの通信関連は封鎖したまま。

軌道エレベーターステーションへの連絡をさせないための措置。

捕らえた者たちは船の乗員でありそれぞれの船を割り出し。

所在地を確認した所2隻を生産ステーションで確認。

人員を搭載したカイヨウマルを向かわせつつ降伏勧告を行なうが一隻は脱出を開始。

これについてはこちらからの指示、制御を行いレールガンによる攻撃を敢行。

すぐに始まるフリーダム船戦闘に向けてのデモンストレーション。

画像などは計画参加船に送信しその威力を十分に知らせて起きます。

ステーションの陰でありフリーダム船に観測されない角度なのも良タイミングでした。

射撃については制御しており攻撃した船の死者は無し。

そちらの乗員も逃亡は諦め捕らわれました。


終了時刻としては6:12。すでに朝の時間帯。

ステーション内の混乱は少なく事故による機能停止であったと通達。

生産ステーションの占拠についてはこの時点で解決しました。

ただ状況はまだ続いています。

予約掲載が上手く出来ていなかったようで更新できておらずすみません。

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