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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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レイナ、ダーツで異世界を引き当てる

 カフェが開店して、しばらく経った頃。

 某テレビ番組をオマージュしたダーツ旅は、いつの間にかこのチャンネルの人気コーナーとして定着していた。


「食材のみなさん、こんレイナ~! 本日はダーツ旅、久々にやっていきます!」


"こんレイナ~!!"

"ダーツ旅きた!!"

"またどこかのダンジョンが聖地になってしまうのか・・・"


 コメント欄がわいわいと盛り上がる。

 実は最近、ダンチューバー彩音レイナが訪れたダンジョンが、聖地巡礼スポットとして話題になるという現象が起き始めていたらしい。北海道・函館ダンジョンの観光者数が三倍になったと、地元のニュースで取り上げられていた──というのを食材さんから聞いてひっくり返ったものだ。

 もっとも当の私は、そんなことを全く知らなかったのだけれど。


(まあ私は、食材さんたちに癒やしを届けることだけを考えてればいいよね!)


 そんなことを考えながら、私はダーツを投げる世界地図に視線を送る。


「ではいきます! えいっ!」


 シュパッ。


(ヨシ! 今日こそ、ノーコンの汚名返上!)


 私の放ったダーツの矢は、ぷすりとアメリカのダンジョンに突き刺さっていた。

 それは、とっても見覚えのあるダンジョンで──


"《鈴木千佳》お、今日は地図に刺さったやん!"

"マネちゃん、そこに食いつくんだw"

"アメリカダンジョン!"

"これマインちゃん達と攻略したところだよね?"

"あ~、あの伝説にもなってるあれだよね?"

"え、ってことは異世界いくん?"


「う~ん。同じダンジョン行くのは違いますし、異世界もちょっと……。やり直しですかね?」


 私は、そう首をかしげる。


"同じダンジョンは駄目なのねw"

"いっそ異世界行こう!"

"異世界がちょっとだけ候補になってるw"

"レイナちゃんって異世界に興味ないんだっけ?"


「そうですね。いえ、異世界ってなんとなく癒やしとは程遠いイメージがありますよね。ほら、やっぱり私は癒し系のダンチューバーなので──」


"え?"

"は?"

"癒し・・・、系?"


「ほら! やっぱり、私、癒し系ダンチューバーなので!!」


"大切なことなので(ry"

"はい、レイナ様。私は癒やされています・・・"

"まあレイナちゃんらしいか"

"いやいや、ダーツの行き先は絶対だよ!!()"

"《鈴木千佳》まあ、やり直しが無難ちゃうか?"


 千佳の書き込みを見て、私がもう一度ダーツを手に取ろうとしたその時、


"そういえばレイナちゃんは、異世界グルメには興味ないん?"


 とあるコメントが、目に飛び込んできた。


「…………異世界グルメ!?」


 コメントに釘付けになる私。


"俺、今異世界にいるんだけど"

"えっ、異世界からコメントできるの!?"

"ネット通じてるじゃん!"

"今のところ一番のオススメは、異世界みたらしやな。独特の食感と風味が、まさに異世界って感じで最高や"


「異世界みたらし!?」


 私は、思わずリピートしてしまう。


"異世界みたらし、めちゃくちゃうまいらしいぞ"

"食文化は整ってないけど、食材だけは一級品って聞いたで"

"わいはキノコとって食べたことあるけど美味しかったしなあ。あれは地球じゃ食えないわ"

"《マイン》スライムアイスおすすめ"

"俺は腹壊したから持ち込み食材で生きてるなあ"

"いやいや!? ネット開通してレイナちゃん配信見てる異世界ニキ多すぎやん!?"


「マインちゃん!? スライムアイス、どんな味ですか!?」


"急に質問コーナー始まったw"

"【朗報】レイナちゃん、異世界グルメに興味津々"

"当たり前のようにレイナちゃん配信に張り付いてるマインちゃん草"

"《マイン》……ちょっと甘い。あと溶けない"


「え!? 溶けないアイス!?」


"《マイン》ん、食べてる間は溶けない。飲み込むと溶ける"

"すごい特性のアイス"

"食感どうなってるの"

"《マイン》うん、とにかく、おすすめ!"

"マインちゃんの食レポも大概だったw"

"いやまあファンタジーすぎてよう分からん"

"でもめちゃくちゃ美味しそうかも"


「…………!」


 異世界+グルメ→美味しい!

 私の中で、たった一つのシンプルな方程式が組み上がっていく。


「どうしてそんな大切な情報、今まで教えてくれなかったんですか~!!」


 私は思わず涙目で、コメント欄を睨みつける。


"ごめんてw"

"いやだってレイナちゃん、異世界興味ないって言ってたから・・・"

"ちな異世界の食材、割とこの世界でいう毒を含んでるから気を付けた方がいいぞ?"


「毒ですか! どんな毒ですか!?」


"毒にも食いつくのは草"

"食い気を見せるとこはそこじゃない"

"《マイン》……ナナドク、ぐらい。体感"

"体感でナナドク語れる人間がいるんか・・・(困惑)"

"マインも毒耐性はカンストしてたんか。さすがはレイナちゃん式ブートキャンプ・・・"

"レイナちゃんなら楽勝すぎる"

"《鈴木千佳》レイナが目を輝かせてる……やばい"

"《鈴木千佳》これはもう止まらん顔や"


 ものすごい勢いで流れていくコメント欄。

 私の頭の中には、異世界みたらしが通過していく。

 続いて、異世界キノコ。

 頭の中で、想像のマインちゃんが、スライムアイスにかぶりついたのを見て──


「ダーツは絶対ですよね! 決まりました、行きましょう!」


"キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!"

"唐突にレイナちゃん異世界侵略編はじまったwww"

"ダーツが決めたことだから仕方ない(?)"

"《鈴木千佳》……まあ手続きは、うちがなんとかするで"

"《鈴木千佳》初代ゲートの攻略メンバーやから、普通に資格は持っとるはずやしな"

"千佳ちゃんの諦めの早さよ"

"すごい理由で異世界行きが決まってて草"

"もっと早く異世界グルメのこと教えたれよww"

"これがダンジョンイーターズの、新たな一歩です"


 そうして何気ないダーツ配信は──急遽、異世界へのダンジョンアタックに繋がるのだった。

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