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【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》  作者: アトハ
6章

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フェニックス焼き鳥パーティー

 簡易テーブルの上に、焼き鳥が並んでいく。

 今日のコンセプトは焼き鳥――主役は、もちろんフェニックスだ。

 ほかにもダンジョンの下層や深層で取れた、美味しそうなモンスターのお肉を剛腕さんに捌いてもらっている。

 かなりの種類を取り揃えた豪勢な食卓だと言えるだろう。


「プハーッ、やっぱりこれだよな!」


 剛腕さんが、どこからかビールを取り出し楽しそうに口に運ぶ。


「ダンジョンイーターズの快進撃を祝して、乾杯!」

「乾杯~!」

「お酒、あたいも飲みたいッス~!」

「それは二十までダメです!」


"ただの飲み会始まったw"

"飲酒配信!"

"実際、スキルでアルコールぐらい簡単に分解されそう"

"え、じゃあ酔えないじゃん!"


 もちろん私とミライちゃんは、ジュースだ。

 剛腕さんは、大人の特権とばかりにキンキンに冷えた生ビールを手に持っている。

 いわく、激闘後のこれが最高に美味しいのだそう。

 私は一本、フェニックスの焼き鳥を手に取り口に運び……、


「う~ん! これもほっぺたが落ちそうなぐらい美味しいです!」


"いつもの!"

"相変わらず絶望的な食レポw"


 そんな感じでくつろいでいる私たち。

 一方、マインちゃんは居心地が悪そうに小さくなっていたが、


「あの……、私まで頂いて良いのでしょうか――」

「もちろんです! それに術式による後処理、助かりました」

「お役に立てて良かったです」


 マインちゃんは、おずおずとフェニックスの串焼きに手を出し、


「美味しい!」


 ぱっと表情を明るくする。


「でしょう! フェニックス、最高です!それに剛腕さんの料理は、世界一ですから!」

「おう、任せろ。どんな食材も、美味しく調理してやるからな!」


"頼もしい!"

"剛腕ニキのドヤ顔草"

"今日は流石にお疲れ様すぎるw"

"その場でスキル生やしてどうにかしたからな、この人"

"プロ意識がすごい"


 コメント欄でも絶賛の嵐。

 剛腕さんは上機嫌に、


「なあ三人とも? ビールも一杯、クイッとどうだ?」

「ダメですって!」

「いやいや。探索者たるもの、これぐらいは特権さ。何よりフェニックスの焼き鳥をつまみに、一気に生を飲むのが最高の味わい方さ。ダンジョンイーターズの食担当として、俺が太鼓判を推そう!」

(剛腕さん、酔ってるのかな?)

「や、やっぱりちょっとだけ――」

「ミライちゃん?」

「もらっていいですか?」

「マインちゃんまで~!?」


"アカン、カオスな配信はじまる?"

"飲酒配信解禁されたw"

"一応、生配信中だけど大丈夫なのかこれ!?"

"《鈴木 千佳》ダメに決まっとるやろ! 剛腕さん、後でお説教な"


「しゅん……」


 千佳のコメントが届き、剛腕さんは名残惜しそうにビールをハコベールに戻す(いや、なんでハコベールに入れるんですかね!?)。

 一方、マインちゃんは、


「アメリカは、探索者の飲酒は未成年でもオッケーなので」

「まさかの法の抜け穴! それ、美味しいですか?」

「いいえ、まったく。苦いだけで、オレンジジュースの方が美味しいです」

「な、なるほど――」

「はは、これの良さが分からないとは、探索者としての腕は一流でも、まだまだ舌はおこちゃまみたいだな」

「あ? 祟りますよ?」

「すみませんでした!!」


"キレイ過ぎる土下座w"

"マインちゃん、子ども扱いされるの死ぬほど嫌いだから(英語)"

"的確に地雷踏み抜くから!(英語)"

"シンプルな脅し文句スコ"


 面倒な絡みをした剛腕さんを、一蹴するマインちゃん。


「アメリカは、なんでそんな特例があるんですか?」

「いや、むしろ日本は、なんでまだダメなんですか?酔拳使う探索者とか、どうするんですか」


"なんか普通に真面目な理由だった!"

"その通りすぎる!"

"おい見てるかダンジョン庁。そんなんだから世界に後れを取るんだぞ!"

"そもっとアルコールなんて、探索者には効かへんやろ"


 そんなことを話しながら、私たちは剛腕さんの料理に舌鼓を打っていた。


 和気あいあいと食事を楽しむ私たち。

 この時間こそダンジョン探索の醍醐味の一つだと思う。

 だからこそ気になったこと……。


「マインちゃん、いったい何しに日本に来たんですか?」

「そ、それは――」

「遠慮しないで下さい。ダンジョンでこうしてご飯を食べた仲じゃないですか。何か困ってることがあるなら、聞きますよ?」


 どこかマインちゃんは、浮かない表情をしていたのだ。

 そもそもマインちゃんは、アメリカで有名な探索者なのだ。そう気楽に、日本まで来ることはないはずだと思う。

 きっと、こうして日本に来る用事があるはずで……、


「実はレイナちゃんに、お願いがあって――」

「はい」

「アメリカダンジョンの最深部攻略、手伝ってほしいの」


 ――そう、マインちゃんは爆弾を落とすのだった。

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