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FREEDOM  作者: ホーリン・ホーク
FREEDOM
81/83

81.あとがき ※FA掲載

冒頭はサトミ☆ン様から頂いた美麗ファンアートを掲載させていただきました。

お力添え、感謝しています。

挿絵(By みてみん)

◾️【Porcorossoにて】のイメージイラスト。

 24話にこちらの料理監修も頂いてます。



 ****



 〝おお私よ 命よ

 幾度も思い悩む疑問

 信仰なき者の長い列

 愚か者に満ちた都会

 何の取り柄があろう 私よ 命よ

 答え…… それは君がここにいる事

 命が存在し自己があるという事

 力強い劇は続き 君も詩を寄せる事ができる〟



 そのホイットマンの詩は、ピーター・ウィアー監督の一九八九年映画〝いまを生きる (原題 dead poets society )〟で学んだ。

 伝統を重んじ規律の厳しい母校に赴任したロビン・ウィリアムズ演じる英語教師ジョン・キーティング。彼は生徒たちに詩を通して『今を生きろ』と説く。詩を理解するのに方式などいらないと教科書を破らせたり、物事を同じ視点で見るんじゃないと机の上に生徒を立たせたり、型破り。

 『真の自由は夢の中にある。昔も今もそしてこれからも』。

 情熱の詩人であり自由思想家キーティングに魅せられた。僕の中では、僕はずっとキーティング先生の生徒なのだ。



 拙作〝OUT OF HERE〟の前日譚としての〝FREEDOM〟。創作にあたってそこにはいつも歌があり、インスパイアされた。何を憂い何を願い歌っているのか、奏でられているのか。音楽の只中に想いを馳せながら。




 自由 自由

 時々俺は母親のいない子供のように感じる

 故郷から遠く離れて

 (リッチー・ヘヴンス〝FREEDOM〟)


 自分自身を解放するんだ

 精神の奴隷から

 自分自身でなければ

 精神を自由にすることはできない

 (ボブ・マーリー〝REDEMPTION SONG〟)


 全ての自由のために戦ったファイター

 私はあなたが与えてくれた希望と意思にしがみついて行くわ

 あなたは勇敢だった

 そしていつかあなたの子供たちの歌声がこだまする時

 自由の鐘が鳴り響くの 自由の鐘が!

 (ザ・プリテンダーズ〝REVOLUTION〟)



 (ひらめ)いている 戦わないことが強みの戦士のために

 閃いている 逃走の非武装の路上の避難民のために

 閃いている 夜の一人一人の負け犬の兵士のために

 …………………………

 鳴っていた

 癒されることのない傷の痛む者たちのために

 無数の、混乱させられ、非難され、虐待され、騙されたり、もっと悪くされた者たちのために

 またこの全世界の一人一人の挫折した者のために

 そして我々は閃く自由の鐘を見つめていた

 (ボブ・ディラン〝CHIMES OF FREEDOM 自由の鐘〟)


 この汽車は聖人と罪人を運ぶ

 この汽車は敗者と勝者を運ぶ

 この汽車は娼婦と賭博師を運ぶ

 この汽車は失った魂を運ぶ

 この汽車は絶望した者を運ぶ

 この汽車は泥棒と 今は亡き心優しき魂を運ぶ

 この汽車は愚者と王様を運ぶ

 この汽車は夢が実現する

 この汽車は信仰が報われる

 鉄の車輪が回っているのが聞こえるかい?

 この汽車は自由の鐘を鳴らしている

 (ブルース・スプリングスティーン〝LAND OF HOPE AND DREAMS〟)



 スプリングスティーンは一九八八年のライブでディランの〝自由の鐘〟を歌っている。そして後の九九年ライブで歌われる〝LAND OF HOPE AND DREAMS〟。

 『我々は閃く自由の鐘を見つめていた』とディランは自由の鐘がflashing=閃いている、と歌う。

 鐘の音が鳴り響く映像(ヴィジョン)。主題の〝慈悲〟あるいは〝救済〟といったヴィジョンを、スプリングスティーンは自国アメリカのあるべき姿として自作のこの歌に繋げているように思える。返し歌としても。

 『この汽車はどんな者でも乗せてくれる。どんな者でも救われる。善人も悪人も一緒に乗り合わせている。救済は誰にでも差し延べられる。慈悲の光は何人たりとも射す。自由の鐘が鳴っている。さぁ行こう、希望と夢の国へ』と。

 自国の在り方。あるべき姿は異なる者の排除や排斥ではなく共生と理解。自由と平等を約束された理想の国を願って、彼らは歌い続ける。



 転がる石の如くライク・ア・ローリング・ストーン苔むさないインスピレーションを与えてくれるディランの歌を聴き、アルバムジャケットを見ていると、あぁこれは旅なんだなぁと感じる。カテゴリーやビジネスにとらわれない、自由な表現の旅。閃きの旅。


 繊細かつ『力強い劇』は続けられ、そしてスプリングスティーンが目指すように石ころの土地(ロッキー・グラウンド)を越え、はるか道を行ったところで、いつか僕も僕の物語を持ち寄ることができるのだろうか。あの海辺であの裏山であの洞窟(死せる詩人の会)で友に会い、詩を寄せそれまで生きてきた中で感じてきたことを話せるだろうか……いつか。

 そう、夢見ている。



挿絵(By みてみん)


 二〇二一年 五月三十一日 ホーリン・ホーク

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[良い点]  堂々の完結、おつかれさまです!  80.自由   ラストシーンの美しさに言葉もありません。  想像した以上の華やかな旅立ちでした。  色彩豊かなリバの民族衣装や、コンメディアデラルテ団の…
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