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61話::囁く風、瓦礫の深淵より

どれほどの時が流れたのか。

闇の中で、意識が緩やかに浮上していく。


「……っが……」


喉が渇き、全身が痛む。

だが、それでも彼は生きていた。


瓦礫に埋もれた王の間の深部、倒壊した石材の隙間に僅かに空いた空洞。

その中で、ハクは意識を取り戻した。


彼の肩にはナギが寄り添って眠っており、ジノのかすれた呼吸がすぐ隣から聞こえてくる。

どうやら、三人とも命は繋がっているようだった。


「……ここは……」


体を少しだけ動かし、周囲を確認する。

地響きのような音が遠くで続いている。

外では未だ何かが起こっているのだ。


そのとき、微かに風が吹いた。


瓦礫の間から、ひとすじの風が流れ込んできた。


「風……」


それは確かに“導き”の風だった。


ハクは懐から砕けた木刀の柄を取り出す。

先の戦いで折れたそれは、もう使えるものではない。


「まだ……終わっちゃいない」


かすれた声で、だが確かな意志を持って彼は呟いた。


その瞬間、崩れた石の向こうから光が差し込む。


そして——


「ハク……!」


ナギが目を覚まし、名を呼ぶ。


「生きてる……生きてたんだ……!」


涙をこぼしながら、彼女は彼にすがりついた。


その姿に、ハクは微かに笑いながら応えた。


「行こう……この風が、俺たちを導いてくれる」


こうして、瓦礫の深淵から“風の継承者”たちは再び立ち上がる。


次なる戦いのために——



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