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5「重大報告です」②





「んんん?」


 サムは耳を疑い、リーゼたちと顔を見合わせた。

 彼女たちもジョナサンの言葉の意味をしっかり理解できなかったようで、首を傾げている。

 友也とギュンターが、いつものマイペースを崩し、口からコーヒーを垂らして絶句していた。そんなふたりに、やれやれ、とダフネがナプキンを投げつけた。


「あ、あの、旦那様、申し訳ございません。もう一度、お願いしてよろしいですか?」

「ちゃんと聞こえなかったのか? むう、あまり何度も言うのは気恥ずかしいのだが、グレイスが妊娠したのだ!」


 照れているジョナサンと満面の笑みのグレイス。

 サムは、義理の両親に当たるふたりを見て、硬直するリーゼたちを見て、再びジョナサンたちに目を向け、


「えぇええええええええええええええええええええええええええええ!?」


 つい叫んでしまった。


「ごごごご、ご懐妊なされたんですか!? それは、えっと、おめでとうございます!」


 驚きはしたが、祝事だ。

 サムはとりあえずお祝いの言葉を告げる。

 しかし、リーゼとアリシアは顔を思い切り引きつらせていた。


「と、歳が二十も離れた弟か妹ができるなんて」

「喜ばしいのですが、驚きが大きすぎますわ」


 貴族の結婚は早い。

 ジョナサンとグレイスも十代で結婚したと聞いている。

 ふたりもまだ四十を少しすぎたくらいなので、肉体面でもまだまだ現役だろう。

 グレイスは高齢出産と思われるが、こちらの世界でも年齢を重ねてから出産する女性はいるので珍しいわけではない。

 とはいえ、リーゼとアリシアには複雑だろう。


「きっとわたしも兄弟が生まれるでしょうね。お父様は毎日お元気のようですし」

「父だってそうよ。レイチェル様がお盛んだから、きっとそろそろ困った顔で報告してくるんじゃないかしら」


 ステラとフランが、人ごとではないとばかりにため息をつく。

 確かに、と彼女たちの呟きを聞き納得してしまう。

 ステラの父クライドは、レプシーから解放されてからビンビンに変貌してしまった。王妃たちの話では昔に戻ったようだが、夫婦揃って実年齢よりも若々しいのだ。そのうち末の王子か王女ができるだろう。


 フランの父デライトは、先日王女レイチェルを娶った。

 かつて宮廷魔法使いであり、王国最強の座にいながら落ちぶれてしまったデライトだが、今ではすっかり立ち直っている。全盛期以上の力を得ており、さすがに準魔王には届かないが最近ではボーウッドといい勝負をしている。

 そんなデライトがレイチェルの相手であることに不満があったが、これはどちらかというと王家の血を取り込みたいもの、王家と縁戚になりたい者の抵抗のようだが、国王に結婚を許可されたと同時に合体しているので反対してもすでに遅い。

 年齢的にはもちろん、デライトへの愛情が振り切っているレイチェルとの夜の関係は想像にたやすい。

 以前も、痩せこけたデライトを見ているので絞り取られているのだろう。


 スカイ王家、シナトラ伯爵家で赤ちゃんができました、といつ報告を受けても不思議ではなかった。


「……うちのパパとママは普通の夫婦だから。精力剤を差し入れるべき?」

「父上も母上をなくして時間も経つし、僕はお嫁に来ちゃって、ことみもいずれお嫁に行くだろうから……誰か良い人がいればいいんだけど」

「わたくしの母は未亡人ですが、父親候補が娘の婚約者という地獄ですわ」


 花蓮のご両親は、スカイ王国の貴族には珍しく人の良さそうなご夫婦だ。

 戦闘狂の花蓮、宮廷魔法使い筆頭の木蓮という家族がいるので苦労していそうだが、サムが会ったときはニコニコした感じのよい方達だった。


 水樹の父蔵人は、サムに斬られた腕を治さなかったので隻腕のままだが、問題なく生活している。最近では、元気になった次女ことみと料理をしたり、剣一本で森をサバイバルしたりと楽しそうだ。ことみも剣をならいつつ、サムに魔法を習っているので、いつか魔法剣士となる日が来るだろう。

 水樹としては、苦労を重ねた父にもそろそろ良い人を、と思っているのだろう。


 オフェーリアの母イーディス・ジュラ公爵に関しては、サムは聞こえないフリをした。

 サムの実父である王弟ロイグとかつて婚約していたものの、紆余曲折あり、別の男性と結婚し、オフェーリアと妹を設けている。しかし、その夫も死別。

 先日、サムと顔を合わせて以来、いろいろな意味で手を出そうとしている。その結果、娘のオフェーリアをサムの婚約者にした挙句、自分も加わろうとしているので少々怖い。

 ただ、サムとしても年上の美人に明確な好意を寄せられてしまえば、困るよりも嬉しいし、照れもあるのだ。

 今後に関しては未定だが、良い関係を築きたいと思っている。


「と、とにかくおめでとうございます!」


 サムが改めてお祝いの言葉を述べると、リーゼたちも笑顔で続く。

 驚きはしたがいいことだ。


「……そろそろ僕も妊娠したいのだが、なかなかできなくてね」

「君のところにコウノトリは飛んできませんよ」


 そんなやりとりをしながら、ギュンターと友也もジョナサンたちに喜びを伝えた。


「みんな、ありがとう。正直、祝福してもらえるか不安もあったので、嬉しいよ」

「みなさん、ありがとうございます。リーゼ、アリシア、ステラ様、水樹、花蓮、フラン、これからは私も編み物に混ぜてね」


 二人の言葉に、拍手で全員が応えた。


「よし。では、次にサムが先日会ったと言う神聖ディザイア国の話にしよう」

「マジですか!? この流れで、その話するんですか!?」






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