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26「交流を深めます」③




「なんだとぉ、俺の娘が気に入らないって言うのか! ――なんてことは言わねえよ」

「じゃあ言うなよぉ」


 びっくりした。

 ジェーンがどうこうではなく、ジュラ公爵とオフェーリアの件もあるので、同時にこれ以上考えられないのが本音だ。

 貴族として血を残すことは十分理解しているが、リーゼたちと結婚し、お腹に子供がいるので、十分だと思うし、こんなときに妻を増やすのも不義理に思う。

 もっとも、リーゼたちが全然気にしていないどころか、妻を増やそうとしているのでなんとも言えない。


「冗談だ、とは言わないが、もし気が向いたら声をかけてくれよ」

「そんな気軽に」

「ここだけの話だけどよ」


 ダグラスは、談笑するジェーンを一瞥してからひっそりと呟く。


「ジェーンの母親に、いい男を見つけて結婚させると約束したからな。父親としても、そろそろ結婚して孫の顔を見せてほしいと言う願いもあるんだ」

「だからって、俺はないでしょうに」

「そうか? お前はいい男だ。見てくれ、の話ではなく、気構えがいい。お前さんは嫁が増えることを気にしているが、いい男にはいい女が集まるものだ。さほど問題でああるまい」

「問題だよぉ」

「はっはっはっ! 俺も、魔王に至り、王になったときにはサムのような悩みはあった。なんせ、様々な種族から女を送り込まれてきたものだ」


 へぇ、と興味を覚える。

 魔族も人間のようなことをするのか、と素直に思った。

 そんなサムの心中を察したのか、ダグラスが苦笑して続ける。


「魔族だって人と変わらんよ。魔王に至り、王となった俺に媚び諂う者もいる。中には、交渉として娘を差し出し、息子を人質にすることで俺への忠義を示そうとする者もいた」

「王様は大変だ」

「違いない。今だってジェーンが有能で支えてくれるからこそ続けていられる。でなければ、すべて放り出して友也やエヴァンジェリンのように自由気ままに生きてみたいと思うよ」


 思い返せば、魔王でちゃんとした立場なのは、ヴィヴィアンとダグラスぐらいの気がする。

 友也は言わずもがな、エヴァンジェリンも自由だし、ロボも王だが放置している。フランベルジュも三人に負けていない。


 ヴィヴィアンの「夜の国」も、彼女を中心に様々な種族が集まっただけであり、彼女が国を動かしているわけではない。

 そういう意味では、王としてちゃんとしているのはダグラスのみだった。


「魔王って適当な奴らだけかと思っていたけど、ダグラスはちゃんと王様しているんだね」

「……さすがにあの自由人たちと一緒にされたくはないな。奴らの自由な生き方は羨ましいが、俺は、なんというか、こういう性分なんだ」


 きっとダグラスは、他の魔王のように自由気ままに生きることはしないだろう。

 彼の言葉からは、国を大事にしているのがわかる。


「今度さ、ダグラスの国に遊びにいかせてよ」

「おお! 大歓迎だ! ジェーン以外にも娘はいるからな! サムが気に入りそうな娘を揃えておくぞ!」

「そういう気遣いはいらないですぅー! 美味しいものとか、そういうのを用意しておいてください!」


 結局、最後には女性の話になってしまったことに苦笑いしてしまう。

 面倒なので、ジョナサンのジョッキにビールを注いで酒の力で黙らすことに決めた。


「よかったら、お義父様も――って、静かだと思ったら寝てるし」

「はっはっはっ! ジョナサンは心労で胃痛だったようだからな。久しぶりに胃痛から解放されて飲みすぎたんだろう。たまにはいいだろうさ!」

「気持ちはわかるよ。陛下はビンビンだし、ギュンターをはじめ変態が荒ぶるし、最近じゃ魔王や魔族が遊びにくるから、お義父様もストレス溜まっていたんだろうなぁ」

「……そこで自分を勘定に入れていないサムも、なかなかだと思うぜ」


 ジョナサンが潰れてしまったことで、飲み会はお開きとなった。

 今日は泊まっていくのかと尋ねると、行きはカルが転移魔法で迎えにきてくれたらしい。

 帰りもそのつもりのようだが、仮に迎えがなければないで、三日くらいはのんびりできるよう仕事を片してきたらしい。


「そういえば……変態と変態魔王たちが静かだと思ったら、いなかったのか」


 ギュンターや友也の不在に、サムは今更ながら気づいたのだった。





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