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22「オフェーリア・ジュラは思う」




「――あれが、サミュエル・シャイト様」


 ウォーカー伯爵家で客間を用意してもらったオフェーリアは、椅子に座り熱い吐息を漏らした。


「あのように無邪気に笑うのですね。もっと怖い方だと思っていました」


 はっきり言って、オフェーリアにとってサムの印象は最悪だった。

 スカイ王国の変態の総元締めであり、良い歳をした母が入れ込む、よくわからない少年。

 わからなすぎて、怖いくらいだった。


 実際に会ってみると、意外と気安い。

 ジュラ公爵家の長女として生まれたオフェーリアに、気軽に軽口を叩いてくるのは新鮮でありくすぐったかった。


 そして、魔王ダグラス・エイドとの戦い。

 ――いや、本人たち曰く、喧嘩だ。

 サムもダグラスも、無邪気に笑い、殴り合っていた。


 途中で、サムが意識を飛ばしていたが、正気に戻ったあとの彼とダグラスの親しげな感じは、オフェーリアの知る男子では想像ができなかった。

 学園にこそ籍を置いているが、基本的に学園には行かず家庭教師をつけている。

 学力面で群を抜いている、というのもそうだが、一番の理由は同世代の生徒があまりにも子供で嫌なのだ。


 年齢を考えれば仕方がないことなのだが、中には親の名前を出して立場の弱い子をいじめるような低俗な輩もいる。

 結果として、オフェーリアは、同世代や、近い年齢の人間に興味を失った。


 自分はジュラ公爵家の長女なので、母が認めた年上の男性が婿になるだろうと思っていた。

 母のお眼鏡にかかるような男性なら、素敵な人に違いない。

 ――と、口には絶対に出さなかったが、勝手な理想と期待を抱いていた。


 それゆえに、サミュエル・シャイトの名が出たときには、酷くがっかりしたことを鮮明に覚えている。

 宮廷魔法使いであり、スカイ王国最強の魔法使いの座を若くして手に入れた少年。

 さぞ増長しているだろう、と思った。

 だが、会ってみて拍子抜けした。


 二歳年上の少年は、子供のようで大人のような曖昧な雰囲気だった。

 だが、なんとなく、今は彼の魅力がわかったような気がした。


 年相応のあどけなさを見せ、キラキラ瞳を輝かせて強さを追い求める。

 年長の魔王と友人のように接し、強く、怖く、それでいて心の底から楽しそうだ。


 羨ましいと思った。

 オフェーリアには、彼のように瞳を輝かせながらしたいことがない。

 領地運営も、自分の力を試してみたいだけなのだ。


 自分のやりたいことを見つけ、強くなり、そして輝いて見えるサミュエル・シャイトという少年に、オフェーリア・ジュラは――魅せられた。


「け、結婚に関しては諦めましたが、なんでしたらサミュエル様のことを好きになって差し上げてもよろしくてよ!」


 聞いている人間など誰一人としていないのもかかわらず、急につんけんした言葉を放つオフェーリア。

 彼女は、つい口から飛び出てしまった言葉の意味を理解すると、顔を赤くして、


「べ、別にサミュエル様なんて好きじゃないのですけど!」


 と、ツンデレるのだった。





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