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52「友也再びです」①




 ギュンターの活躍によって、吸血衝動を抑えることに成功したサムだが、愛しい妻を渇きに耐えられず襲おうとしてしまったことに自責の念に駆られていた。


「申し訳ありません。まさか、リーゼを襲おうとするなんて」

「気にしないで、サム。……それに、襲われたことに気づいてなかったの。そういうプレイを夜の国で覚えてきちゃったのかと思って」

「……えー」

「だから、気にしたら駄目よ」


 さすがにサムも、困った声を出してしまう。

 まさか、自分の中で、リーゼを襲わないよう苦しんでいたのに、当の彼女はプレイの一環だと思っていたとは予想外だった。


「ゾーイとエヴァンジェリンがあなたの魔力の変化に気づいてくれたおかげで、なんともなかったのよ。ついでにギュンターも」

「ありがとう、ゾーイ、エヴァンジェリン」

「気にすることはない。お前のその衝動はレプシー様の残された力のせいでもある。あの方の眷属として、お前を見守る義務がある」

「ま、同僚の残した問題くらい世話してやるよ。つーか、ダーリンのためなら、なんでもしてあげるし!」


 ゾーイは鼻を鳴らしてそっぽを向き、エヴァンジェリンは任せておけと言わんばかりの笑顔を向けてくれた。

 準魔王と魔王が自分の衝動を抑えてくれるのであれば、心強い。


「……僕にもなにかないのかな?」


 そわそわしているギュン子だが、なぜこいつはスケスケのネグリジェを身につけているのだろうか、と目に毒なので極力視界に入れないようにして、サムは礼を言った。


「あんがとー」

「雑ぅ! 僕の扱いが雑ぅ!」

「じゃあ、またー」

「ちょ、まだ帰らないよ! 今帰ったらママになにされるか!」


 一体、なにをされるんだか、と思ったが口にはしなかった。

 実際、王宮で生やしたクリーに連れて行かれたギュン子がどのような目に遭ったのか想像もしたくない。

 とはいえギュン子の結界のおかげで最悪の結果にならなかったことはサムも承知している。


「なんというか、ありがとう。ギュン子の結界のおかげでリーゼ様を襲わずにすんだよ」

「――っ、サムがデレただと!? これは、もうこれから合体する未来しか浮かばないね!」

「しねーよ!」


(それにしても、まさか血を吸いたくなるなんて……前から喉の渇きは覚えていたけど、こうくるとは思ってもいなかった)


 おそらくレプシーが散り際に力を渡してきたことと関係があるのだろう。

 とくに変化を自覚していなかったので、あまり気にしていなかったが、気にしておくべきだった。


(まさか、俺が吸血鬼になりかけるなんてね。ウルも不完全ながら吸血鬼に転化していたし、魔王も吸血鬼だった。なにか吸血鬼に縁があるのか、それとも意味があるのか?)


 無論、サムの疑問の答えは出ない。

 同時に、自分に起きる変化が怖かった。

 今回は大事にならなかったが、それはギュン子たちがいてくれたおかげだ。

 もし、彼女たちがいない場所で、他の誰かに、それこそ関係のない誰かを襲ったら、と思うだけでゾッとする。


「とりあえず、もう休みましょう」

「あ、でも、部屋が」

「片付けなんて明日でいいわ。あなたも動揺しているでしょうし、今日はもう、ね」


 リーゼがサムの腕を抱きしめ気遣ってくれる。

 ゾーイも同意するようにうなずいた。


「リーゼの言うように、まず休むといい。しばらく吸血衝動も起きないだろう」

「そうそう! それになにかあったら、また私たちがなんとかしてやるって!」

「女神様たちには劣るが、僕も力をいつでも貸すよ!」


 エヴァンジェリンもギュン子も、サムのためならと言ってくれた。

 彼女たちに感謝の言葉を伝えようと、サムが口を開こうとしたその時だった。





「――残念ですが、彼は連れていきます」





 聞き覚えのある声が、虚空から響き渡った。





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