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53「友也再びです」②




「貴様――遠藤友也」

「またてめぇ、覗き見していやがったな!」


 ゾーイが顔をしかめ、エヴァンジェリンが歯を剥き出しにして黒い鱗を首筋に浮かべた。

 サムも、降ってきた声が魔王遠藤友也のものだとすぐにわかった。


「いいえ、そんな。サムが吸血衝動を起こしたので心配になっただけです」

「嘘をつけ!」


 しれっと覗き見をごまかそうとした友也に、ゾーイが吠えた。

 だが、友也の声は彼女を無視して、サムに向かう。


「――久しぶりですね、サム」

「久しぶりだね」

「そして、初めまして、リーゼロッテ・シャイト殿。声だけで失礼します。なにせ、僕はなかなか人前に出ることができないので、ご不快でしょうがご容赦を」


 サムに挨拶した友也は、困惑気味のリーゼに声だけで挨拶をする。

 リーゼはどこに向かって話しかけたらいいのか戸惑いながら返事をした。


「お初にお目にかかります。サミュエル・シャイトの妻、リーゼロッテです。夫がお世話になったそうですね。お礼を申し上げます」


 声の聞こえる方向に丁寧に頭を下げたリーゼに、友也の声が響く。


「ご丁寧にありがとうございます。お世話になったのは僕の方です。彼とはいい友人ですから」

「待ちたまえ!」


 ここで割って入らずにいられなかったのはギュン子だった。


「ギュンター・イグナーツ殿、いいえ、ギュン子殿と呼ぶべきでしょうか」

「好きにしたまえ。君は、遠藤友也だったね」

「ええ」

「――君からはライバルの香りがする」


 よくわからないことを言い出したギュン子のせいで、沈黙が訪れる。

 しばらくして、友也がやや困ったように声を出した。


「あ、いえ、違います。すみません。やめてください」

「ふっ。そう謙遜することはない。君からは、僕と同じ香りがするよ」

「あの、本当に勘弁してくれませんか? 土下座ですか? 土下座すれば許してくれますか?」

「許す? なにを言っているのかな? ただ、僕は君を僕と同類だとわかっただけなのだがね」

「やめて、やめてください。確かに僕もしょうもない体質を持っていますが、さすがにあなたと一緒にされるのは抵抗があるというか、勘弁して欲しいと言うか、吐き気を催すというか」


 口調こそ丁寧だが、友也からギュン子の同類と見られたくないと言う意思がはっきりと感じ取れた。

 そんな友也にゾーイとエヴァンジェリンが爆笑した。


「いいぞ! こんなに友也が動揺したのは初めてだ! もっとやれ、ギュンター!」

「友也が弱気とか超ウケるんだけど! くっそウケる! ざまあみろ!」


 ギュン子を止めるどころか、もっとけしかけようとするふたりに、サムとリーゼが呆れた。


「……なんというか、魔王遠藤友也様の慕われ具合がわかるわね」

「あはははははは――気やすいこの感じが親しいということで」


 良くも悪くも友也の登場のおかげで、落ち込んでいた気持ちがマシになった。

 狙ったわけではないが、感謝する。

 しかし、友也が何も用がなく声を飛ばしてくるはずない。

 考えるまでもなく、サムの吸血衝動に関してなにか知っているのだろう。


「――さて、同僚たちに一頻り馬鹿にされたところで、サム」

「話は終わっていないぞ! 僕にはわかる! 君もサムの尻を狙っているのだろう! いや、僕同様に狙わせたいのだと見た!」

「狙ってませんし、狙わせません! というか、話させてくださいよ!」

「……追及はあとでさせてもらおう」

「……勘弁してくださいよ。なんですか、この人、情報以上に頭おかしくて怖いんですけど」


 魔王さえ怯えさせるギュン子だった。


「ごほん。さて、サム、真面目な話をしましょう。吸血衝動が出てしまった以上、予定を早めなければなりません」

「予定って?」


 サムの疑問に、一拍間を置いてから友也は告げた。





「――君を魔王に至らせます」





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