80「いつも通りの扱いです」①
「間に合っ――――ってないっ!」
サミュエル・シャイトは魔王遠藤友也の転移によって神々のもとに現れると、すでに一線交えて満足した顔をしているウルを見て、叫んだ。
「おう、サム。先に始めているぞ!」
「先に飲んでるよ、みたいな感じで言われても困るんだけど!」
「だって、お前たち遅いから」
「ウルが早すぎたの! みんなに挨拶とかいろいろあるでしょう!」
「……何を言っているんだ、お前は? ちょっと出掛けて神殺ししてくるだけの遠足みたいなものだろう?」
「ウルの方が何言ってるの!? って、いうか、火傷しているじゃないか!」
ウルに遅れてかけつけたサムたちは、この地に残る炎の熱と、破壊され、抉られ、斬られている地面を見て相当の戦いがあったことを察した。
サムは、師匠でありいずれ越える相手でもあるウルに万が一のことはないと信じているが、それでも神々を相手にひとりで戦うなど無謀すぎる。
内心ではヒヤヒヤしていたが、どうやら無事のようで安心した。
「この程度の火傷なんて舐めていれば治る」
「足には届かないでしょう!」
「サム、舐めていいぞ」
「いや、そういうプレイはちょっと。というか唾液はそこまで万能じゃないからね! ヒールするからじっとしていて」
「はいはい」
サムはウルの治療に取り掛かる。
見る限り、右半身の火傷はひどいものだが、命に関わるわけではない。
神を相手にしてこれだけで済んだことに安堵するべきか、ウルにここまでダメージを与えた神に驚愕すべきか悩むところだ。
「サム、ウルくんの治療は任せます。する意味があるかどうか不明ですが、僕たちで話をしておきますから」
「任せた。ついでにラッキースケベしてなんだかんだとスカイ王国のノリに落とし込んでくれると助かる」
「この状況では流石に無理なんじゃないかなって思います!」
いつも通りの軽口を叩き、サムは友也に託した。
サムもウルと同じだ。
まどろっこしいことなどどうでもいい。
敵ならば倒す、それだけだ。
神々は明確に、世界の意思と敵対しているのだから話をするだけ無駄に思えるが、ウルを治療する時間も欲しいのでちょうどよかった。
「――お初にお目にかかります、神々よ」
友也が神々に向かい歩き始める。
カリアンとレプシーが友也の背後に控えた。
綾音はサムとウルの壁になるように立った。
「止まれ、魔王遠藤友也」
声が問題なく届く距離まで近づいた友也を、神が制止した。
「お前のことは知っている。どうやらいかがわしいことをすることが好きな男であると! 我々は神である前に戦士である! おまえのくだらぬ性癖に付き合うつもりはないっ!」
友也は悲しげな顔をして、くるりと背後を見た。
カリアンとレプシーがなんとも言えない顔をしていた。
綾音に至っては友也を指差して爆笑している。
「――神々にまでこんな扱いされてどうすればいいんですかねぇ!」




