13「家族が増えちゃうかもしれません?」
サムとスカイ王国の主要貴族たちは世界の意思がいる空間から現実へと戻ってきた。
彼女からお土産にもらった一輪の花は、それぞれが大事に手にしている。
「……世界の意思殿にここまでされてしまっては、何が何でも神々に勝たなければならないのである!」
クライドの言葉に、全員が頷く。
「世界の意思様はいわば我々の母親のような存在です。母を子が守るのは至極当然のこと!」
「どこぞのビンビン陛下と違いお守りしがいがありますなぁ!」
「いっそ、この国の女王になっていただくもよいのかもしれませんね」
「――卿の考えは素晴らしい。愉快な王家とぜひ交代してもらおうではないか」
「しかし、世界の意思様がこちらの世界にこられるかどうか」
「心配ないであろう。サミュエル・シャイト宮廷魔法使い殿とご結婚の約束をされているのだ。戦いが終われば、スカイ王国に来てくださるだろう」
「そうでしたな! いやいや、サミュエル・シャイト殿も羨ましい! ――しかし、待つのだ。世界の意思様が我々の母親のような存在だとすると、サミュエル・シャイト殿が義理の父親のなるのか?」
「――アリだな」
「アリですな。ショタパパですな。これはこれで心に響くものがございます」
「んぱぱぁあああああああああああああああああああああ!」
「――絶好調すぎるだろう、スカイ王国貴族ども!」
思考がどんどん斜めに進んでいくスカイ貴族たちに、ゾーイが呆れたように叫ぶ。
何かと縁を結びたがるのは貴族として仕方がないのかもしれないが、サムをパパと呼ぶのはいささかやりすぎだ。
「………………」
年上の貴族たち、それこそ初老の者にまでパパ扱いされかけたサムは言葉がないほどドン引きしていた。
スカイ王国に来て、早一年。何かと愉快な国ではあるし、貴族たちもなんだかんだとスカイ王国の人間だと知っていたつもりだったが、誤解だった。
サムが知った気になっていたのはまだ上澄だった。
――深淵はここからだ。
「待ちたまえ! その理屈であれば、サムの正妻であるこの僕ギュンター・イグナーツも君たちのママになってしまうではないか! これから子供が産まれてくるというのに、急に兄弟が増えても困ってしまう!」
「お前は心配の方向性が違いすぎるだろう!」
ママになること自体は問題ないような言い方をするギュンターに、ゾーイが空になったティーカップを投げつけた。
しかし、ギュンターは優雅な動作で受け取ってしまう。
「――ちっ」
「お転婆さんだね、ゾーイ。君だってサムの婚約者なのだから、いずれ彼らのママになるのだよ?」
「誰がなるものか!? ぞわっとしたぞ、ぞわっと!」
ゾーイが叫ぶが、貴族たちは真剣に考え始めた。
「ゾーイママ……アリですな」
「ええ、とてもアリです。幼いママ、とてもよろしいかと」
「私も常々ゾーイ殿からは母性を感じ取っておりました」
「ロリママとショタパパですか……こう、なんといいますか、たまりませんなぁ」
「んまままぁあああああああああああああああああああ!」
「……もう嫌だ、この変態国家! 女神ヴァルレインは本当にこの国が、世界が欲しいのか!?」
ビンビン陛下「つまり私はそなたたちのおじいちゃんであるな!」
貴族たち「――ちっ、しらけるなぁ」
カリアンじーじ「へ、陛下、さすがにそれはどうかと。その場合、私は曽祖父になってしまいますよ」
貴族たち「カリアンじーじ! ありですな! ええ、ありですな!」
シリアス先輩「スカイ王国貴族がもうシリアスじゃね?」
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