76「お風呂に入ります」①
サムがスキップしながらお風呂に向かった。
不審者よろしく潜んでいたエミル・アイル・スカイを張り倒して、メルシーたちに帰ってきたことを告げて熱烈な歓迎を受けた。
お風呂で三姉妹とお湯かけっこをしながら、きゃっきゃうふふしていると、なぜかギュンターが混ざっていたが、些細な問題だ。
お行儀が悪いが、一日の疲れを取るためだ。大きなお風呂を満喫したい。
「いやぁ、疲れた疲れた」
サムは、お湯の中で足を伸ばしてリラックする。
「大変だったようだね、サム」
「うん。綾音さんと白雪さんを止めるところまでは問題なかったんだけど、まさかそこからフォーン小国とシューレン魔法国を相手にするとは思ってもいなかったよ」
「ふふふ、そんなお疲れなサムにこのギュンギュンがローションマッサージを」
「しなくていいから! お風呂汚れちゃう! ていうか、なんでお前にそんなのことをされなきゃいけないの!?」
湯船に浮かぶメルシーたちを突きながら、サムが叫ぶ。
「――愛ゆえに」
「嫌ですー!」
「ところで」
「なによ!」
「全てを切り裂く者を想像以上に使いこなしたようだね」
「急に真面目になって……まあ、そうみたいだね。俺は、あまり覚えていないんだ。エヴァンジェリンがなんだか急にピンチだって伝わってきて、その光景まではっきりと見えたんだ。それで頭に血が上ったっていうか、感情が暴れて、気づいたらそこにいた」
サムは、エヴァンジェリンとの距離を斬った。
さらに、傷ついた青牙、青樹の傷を斬った。
どういう理屈で、どのように斬ったのか、今はわからない。
同じことをもう一度しろと言われても、困るだろう。
「全てを切り裂く者は、この世界の意思が与えた、この世界だけに許された力だよ」
「この世界にだけ?」
「そうさ。他の世界の人間にはこの力は宿らない。使えないのさ」
「だけど俺は転生者で」
「ふふふ、君はまだ本質をわかっていない。君の魂は、肉体は、すべてこの世界のものさ。転生者? そんなこと関係ないね。創造神としての仕事を丸投げして人間として転生しまくっているこの僕が保証しよう」
「……そこは仕事しろよって言いたい」
「もうっ、つれないわねぇ! ぎゅんぎゅん拗ねちゃうぞ!」
「うぜぇ!」
真面目な話をしているようだが、どうも続かない。
しかし、このくらいでいい。
変に緊張しながら話をするのは苦手だ。
「君の力は、君が望むままに成長する。君が斬りたいと思ったら、なんでも斬れのさ」
「……なんでも、ね」
「ただ、スカイ王国一の伊達男ぎゅんぎゅんとしては、サムには必要のない戦いはしてほしくない。強すぎる力は、いつか自身に向くこともある。どうかサムに戦いがなくなり、子作りばかりするえっちな日々が来ますように」
「最後のいる!?」
「いるさ! いるとも! すごくいるよ!」
「めっちゃ力入れるじゃん!」
「僕もいつでも受け入れ態勢なので、お声かけお待ちしていますわ!」
「しねーよ!」
ギュンターは今日も変わらずギュンターだ。
だが、それでいい。
創造神とかそういうのは関係ない。
ギュンターもギュンターとしてクリーと幸せになればいい。
サムはそう思って、でもちょっと口にするのは負けた気がしたので、代わりにお湯を救って彼の顔面にぶっかけた。
「――ありがとうございますっ! ふぅううううううううううううううううう!」
シリアス先輩「今回はシリアスはお休みで、まるで兄弟のようなふたりのきゃっきゃうふふする熱い友情、そして親愛をお届けしました!」
シリアス先輩(真)「え? こわっ」
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