74「帰宅の時間です」①
フォーン小国にいたスカイ王国の面々は、魔王遠藤友也の転移によってシューレン魔法国に来ていた。
フォーン小国を侵略していたシューレン魔法国をサムたちが制圧したこと、またフォーン小国内にいる敵となりうる人物をすべて拘束したため、民の安全が確保できたからだ。
「よう、サム。いろいろ大変だったようだな」
「デライトさん、お疲れ様です」
「おう。お互い様だな。いや、サムの方が大変だったんだろうがな」
ちょうど食事を終えていたデライトが、サムに手を挙げる。
デライトは明らかに疲れた顔をしている。フォーン小国もフォーン小国で大変だったようだ。
「どうだった、魔法王は?」
「雑魚でしたね」
「だろうなぁ。俺たちが若い頃には、それなりに強い魔法使いだったんだが、訓練や鍛錬という言葉と無縁の国だから、いずれこうなるとは思っていたぜ」
なんだかんだとシューレン魔法国で一番の魔法の使い手は、グライン・シューレンだろう。
「陛下はどうしている?」
「えっと、ローガン・イグナーツ様に怒られております。ちょっとはっちゃけちゃったので」
「相変わらずだなぁ。まあ、今の陛下の方が、らしいといえばらしいんだがな」
「ははは」
「それで、いろいろ話を聞いたんだが、なんというか、フォーン小国とシューレン魔法国を助けてやるそうだな」
「みたいですね」
「俺は政治には疎いから上手く言えないが、同盟国でもない敵国だった国を助けてやるとか、全くわが国の陛下はお優しいものだ」
デライトとしては、同盟国であるスノーデン王国ならいざ知らず、敵国であったフォーン小国、シューレン魔法国に対しての援助は少し懐疑的だった。
デライトでさえこうなのだから、他のスカイ王国の貴族も何色を示す可能性もある。
「その辺は陛下が上手くやるでしょうね」
「ま、俺の感情はさておき、陛下が助けるというのなら、全力で手伝うさ」
「さすがデライトさん」
「なんだよ、それ」
デライトとサムが苦笑していると、ゾーイが近づいてきた。
「ここにいたのか、サム」
「どうしたの?」
「いや、ローガン・イグナーツ公爵とビンビン陛下がスカイ王国に一度戻るそうだ。なので、綾音を連れて、サムも一度戻るように、とのことだ」
「俺と、綾音さんも?」
「サムは戦いが続いたからな。夜くらいゆっくり家で寝て欲しいとのことだ。安心しろ。私がいるし、エヴァンジェリン、カリアン殿もいる。よほどのことがない限り、戦力的にどうにかされることはないだろう」
「それは、そうだけど」
「綾音は、リーゼに意味深なことを言って心配をかけているからな。問題がないことは変態魔王が言伝ているようだが、本人の無事な姿を直接見せてやった方がリーゼも安心できるだろう」
「そうだね」
サムはせっかくなのでお言葉に甘えて、転移によって一時帰宅をさせてもらうことになった。
サムくん「ようやく国に帰れるー!」
シリアス先輩「シリアスじゃね!?」
サムくん「なんで!?」




